ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった 作:なんちゃってメカニック
デブリ回収のトラブル受けてから数日。俺はまた大忙し…………と言っても、今回は俺のせいなのだが。
正確には思いついたと言うか思い出したというか…………。
「太一! コイツの名前は!?」
「ふっふっふっふ。今回は決めてある! その名も! サーペントゲイザーあだ名は『コアトル』だッ!!」
「カッコいいー!!」
そう言って見せたコアトルのホログラム。
オヤカタと同じく基本構成は変わっていない。だが全身に大蛇が巻き付いたような金色の装飾と手と全身の関節部も金色になっている。
これはただの装飾ではなく
「イシュタロイトの荷電性を磁力に変換することで! 通常のゲイザーの3倍以上の反応速度と1.5倍のパワーゲインを得られるようになったのだ!」
「なぁにぃぃぃぃい!? 3倍強いじゃん!!」
「あんまり褒めるなよ、ちょっと申し訳ないんだから」
完全にマグネットコーティングをパクった。正確にはコーティング技術じゃなくて関節そのものに磁界を付与して似たような事を再現しているだけなので、完全にパクリと言われると、はい、パクリです。
「アレ、もうちょっと寝かせた方が良いんじゃないの?」
「あはは…………オペレーターに止める気力はありません…………」
「そこ! 俺はおかしくなってない! 丸一日睡眠で元気ハツラツさ!」
「四徹してたでしょうが」と言ったイルシアを無視して俺は流星にシュミレーターに行くように促した。
こんな一幕がある中でようやく
「今回の星進闘争のルールはタイマン戦です」
「眠い…………」
「大丈夫か太一?」
俺は無言でサムズアップして大丈夫だと伝えた。
問題点を洗い出して直す改造機はその繰り返しだ。どんどんとシュミレーター上で改造機に慣れていく流星のフッティングを行うのは骨が折れるのだ。
「タイマン戦ではオペレーターも参加できませんので、私達はここから見ているだけですが。頑張ってくださいね!」
「任せろ!」
口々に流星へエールを送る。
骨が折れるだけであればまだよかったのだ。俺がこんなに寝不足になっている理由はもう一つ。
「頑張れよ、デブリ」
…………卑怯とは言うまいね。
◇ ◇ ◇
SEを1機だけ乗せたロケットが打ち上げられ、試合制定AIが、宙域に近づいた事を流星に知らせた。
ヘルメットのバイザーにカウントダウンが反射されていた。
「イルシア、準備は良い?」
「もちろんよ、長期休暇はもうおしまい!」
宙域まで残り1分。
「あ、でも、私は今デブリ扱いだし。オペレート位しか仕事しないけどね!」
「頼りにしてる。メリルも上手かったけどイルシアも上手かったしな!」
「当然! 1ヵ月35連勤してたから!」
「1ヵ月は31日しかないだろ!?」
和やかに会話は進んでいくが精神は次第に研ぎ澄まされていく。
「ん、ほらカウントするよ5、4、3、2、1ミッションスタート!」
その合図と同時にロケットから飛び出るコアトル。そして目にしたものは…………。
「汚ねぇ!?」「卑怯よ!?」「ルールを守りなさい!?」「恥ずかしくないの!?」「そこまでして勝ちたいの!?」
タイマン戦と言われて相対した両チームの選手
◇◇◇
所変わってプライベートのVR空間で流星とアリアのタイマン戦を観戦していた、俺、メリル、ミーシャにアリアさん。
タイマン戦試合開始直後の2対3のタイマンという状況に俺たちは吼えた。
「汚ったねえですわ!?」
「なんて卑怯な! 許せん!」
「こちらの作戦も了承したの貴方達ですよね!?」
アリアさんにそう言われてハッとした。
戦場に卑怯という言葉は存在せず、戦法に汚いという概念は無い。それは紛れもなく鎌倉武士の心意気そのものだった。
「アリアさん、あんたサムライだよ」
「違いますけど!?」
そんなに恥ずかしがらなくても良いんだぜ?
なんて脳内で思っているとミーシャが感心したように呟く。
「なるほどねぇ、こちらもデブリとしてイルシアをポン付けしたように、向こうもワイヤーでつないだ機体を1機ですと言い張る事で3機にした訳ね」
「ミーシャさん、あなたが提案者です…………」
「そうだった?」
悪戯っぽくベロを出しながらそう言ったミーシャ。
「金星側は問題ないのですか? とても卑怯ですわ!」
「
ミーシャの言葉にメリルは気が付いた様に質問する。
「口調砕けてますわね?」
「勤務時間外だから」
「…………あとは数的不利をどう覆すか、と言った所でしょうか」
アリアさんはため息を付きながら、俺達は食い入るように試合の成り行きを見守った。
◇ ◇ ◇
一方で流星たちは苦戦を強いられる。
流星たちは逃走し、
「分離は!?」
「まだしない! 1機落としてからだ!」
背中合わせの形でポン付されたコアトルとマクスウェルは意外にも推力を確保している。
イシュタロイトの性質が巨大なバッテリーの機能を果たしてアクセルを全開にしても多少の余裕はあったからだ。
まだ撃墜されずに済んでいるのは改造のたまものだったが、流星はそれも長くは続かない事を察知していた。
「デブリ帯まで
「デブリ!? マクスウェルの独壇場よ!?」
「射線を通されている方が負ける!」
(最初から想定外だったもの、私が何とかしなきゃ!)
イルシアの機体を背負っていても3機の射撃を躱し続けているが、その技量があってもおそらく
そう考えてイルシアは了承した。
「デブリ帯で分離する! そのままイルシアはデブリ帯へ!」
「4秒で戻るさ」
スピードを少しだけ緩めてデブリ帯まで到着した時、コアトルは逆に攻めた。
「流星!? 早すぎ!! ぶつかる!」
緩めたスピードをトップスピードまで戻してデブリにぶつかる軌道を描きながら加速する。
「分離する! 3! 2! 1!」
「もう!!」
ヤケクソになりながら流星のカウントダウンを聞いて指示通りに動くイルシア。デブリに着地した瞬間にコアトルとマスクウェルは切り離され、マスクウェルが慣性ですっ飛んでいく。
「デブリを蹴って反転した!?」
「そのまま射撃!」
コアトルはデブリを蹴って反転して敵
「システムエラー! 復帰に時間かかります!」
敵の
「デブリ帯は中規模、3人で囲めば」
「ッどうして!? 撃破判定を喰らいました!」
流星は反転してデブリ帯に戻っていく姿を確認した、ならば一体誰が? と疑問を持つ前にデブリの中から見知った
「まさか、あのデブリの中から狙撃したって言うの!?」
「四の五の言ってないでデブリに突っ込むよ!」
緊急事態。詳細は知らされていないが、相手は相当射撃戦が上手い。不利と判断した
「やるじゃん私! 私もね、私が機体動かしてればこの位余裕なのよ!」
「ナイス! イルシア! これでイーブン!」
称えながらデブリの中で待ち構えるコアトルとマスクウェル。ここからが本番。
一騎討ちの状態になった流星は、相手の技量が高かった事に歯噛みした。
「猿かよ!」
デブリを蹴り、デブリを投げつけ、デブリに背を預けて戦うマスクウェルの相手は流星の体験した事のない戦いだった。
「女の子に猿は無いんじゃない?」
「そんなに矢鱈に撃って!」
「クソっ!」
悪態をつきながらデブリに身を隠した流星、それを追った
コアトルは片手が取れていたからだ。
それでも
SEは片手が無ければ操作性が激変する。
それに慣れる訓練をしなければまともに動かせるパイロットは居ない。
「貰った!」
ビームソードを構えて切りかかるがコアトルは身を捩って躱す。コアトルは片腕だけで
流星が担当したのはベテランのパイロットが乗った
「そろそろ落ちなさいよ!」
「元々ここまでが作戦だよ」
その言葉と同時に大きな音が
「ッ!? 何!?」
混乱の中で即座にパイロットは撃破判定の要因を考えたがすぐには出てこない。
「
「その為に片腕を切り離したの!?」
まともなパイロットであれば、片手が取れた理由はデッドウェイトになった腕部を切り離したからだ。としか考えられない。
「もう一人は!?」
「ああ、逃げている最中に
「片手落ちしながら私の攻撃を掻い潜っておきながら味方の援護ォ!? …………アッハッハッハ!! 完敗よ、本当に」
こうして、2対3のタイマン戦は終わった。試合だけは晴れやかな空気で終わったのだけが救いだろう。
ちょっとした設定。
①
②
③