ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった 作:なんちゃってメカニック
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木星衛星軌道上超巨大機動宇宙母艦。それが木星の人類生存圏である。
学園が保有する母艦の、10倍じゃ効かない大きさのそれは、たった今、俺達が乗って来た母艦を飲み込むように受け入れた。
「いやー、壮観だった」
俺は、少しばかり興奮しながらそう言って、額に汗をにじませている。
入港の様子は、軽く
「凄かった」
流星も同じようで、たった一言そう呟いた。
「流星もたいっちも、こんな所で驚いてちゃ心臓が持たないっしょ」
「木星には、まだまだ凄い所が一杯あるよ~」
胸を張ってそう答えるのはゼリアとピール、2人はニコニコしながら故郷を誇るように胸を張っている。
俺も極東観光案内していた時も、内心こんな気持ちだった、此方が悪いとか思う反面、お国自慢はやっている者にとってすごく心地いい。
「じゃ、寄港した所で、皆に棟梁紹介するし、ついてきて!」
「太一は気になる所があっても、悪戯しないでね~?」
「俺は子供か、しねぇわそんな事」
全然、全く持って、そんな事しようだなんて思ってませんけどね?
「その顔してて説得力ありませんわ!?」
「ハッ!?」
メリルに言われて、俺は急いで口角を両手で下げる。もしかしたら口角が突き刺さってたかもしれない。
「みんなゼリアについて行ってるよ~?」
はっ!?
「じゃあな、お先!」
「ちょっとお待ちになって!?」
そう言って、俺は急いでゼリアについて行った人たちの背中を追いかけた。
◇ ◇ ◇
「一体いつまでそうしてるつもりだ?」
クワトロと名乗った女が話しかけたシャワールームでは、尋常じゃないほどの摩擦音が聞こえる。
「汚れが! 落ちないんですよ! いくら洗っても!!!」
異常なまでの摩擦で全身を洗っている様が、音だけでありありと聞こえる。そこに艶やかさなど一つも無かった。
歯を食いしばりながら全身を擦りまくっている少女に向かって、クワトロと名乗った少女が、呆れたように話しかける。
「前から思っていたが、アレの話題が耳に入った瞬間鼓膜を破り、アレの顔を見たら目を擦りまくって失明一歩手前。無理は言わないが、今からでも関わるのを辞めたらどうだ? 土星にでも行けば、関わりも無くなるだろう?」
諭すように言った内容を聞いた少女は、その擦る手を止めた。
「なんで私が! アレの為に約束された地位まで捨てて! おめおめと逃げるような真似をしなきゃいけないんだよ!!」
普段の口調とは似ても似つかない、ヒステリックな声を少女が上げた。
「アレは太陽なんだ! 何もしなきゃこっちに来るに決まっている! 人間以下のくせして! 人間みたいな面して! こっちの気も知らずに! なんで私が! なんで私を助けたんだよ!!! 助けんな! 助けろよぉぉぉぉッ!!」
怒りか、悲しみか分からない叫び声を上げた後、シャワールームでの破壊音。
一時の静寂と、出しっぱなしのシャワーの音が聞こえる。
「…………これが無きゃ結構いい奴なんだけどなぁ」
クワトロは独り言を言った。それと同時に、力なく体を擦る音が聞こえて来る。
「ま、そうでも無きゃ、私達に合流してくれないか」
目を伏せながら、その場を去るクワトロ。
彼女らが向かう先は地球。彼女たちは、敵としてすれ違う。