ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった   作:なんちゃってメカニック

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整備科はソラール・エクスプローラーに対戦相手を殺傷もしくは重篤な障害を与える兵器を搭載してはならない。

「なんでそんな事しちゃうかね?」

 

「だってさぁ…………」

 

 俺はチームリーダーに極東式土下座をさせながらため息を吐いた。オペレーターのアリアさんは、俺をなだめようとしているが、俺は聞く耳を持たない。

 

「喧嘩売るのは良いけど相手を考えろよ」

「なんで、小悪党みたいなセリフを言っている奴に俺は怒られているんだ…………ッ!?」

 

 別に星進隊(プロトン)結成1日でどっかに喧嘩売るのは構わないんだけどさ。相手が相手なのよ。

 

 この世界のロボット…………ソラール・エクスプローラー(SE)は軍用から転じた太陽系探索機であり、もはや戦場は人を殺すものではなくこの広大な宇宙の太陽系そのものを資源にして犯し尽くす物になっていて。

 太陽系内に向けて資源を取りながら、技術躍進によって太陽系外に飛び立とうとしている過渡期、もしくは太陽そのものを資源にしてやると言わんばかりの技術の蟲毒を生み出している。

 

 そうなってから人類は幾星霜、太陽系惑星圏にそれぞれ移住まで完了し、独自の文化を生み出すまで時は進んでいる。

 

 そして相手が名乗った水星王城(マーキュリーパレス)、水星における政府の名だ。

 

 独自発達させた王政による強権によって人類の出生調整などで地球より小さい土地の資源の枯渇を食い止め、太陽に一番近い惑星である水星による独自の太陽風発電システムは、かなりの利益を出して王権を強固にしている。

 

「まあ、立てよ。やっちまったもんはしょうがねえし、しっかり負けて来い」

 

「なんて事言うんだ!?」

 

「だってさぁ」

 

 王政とかなんとか言っているけど、普通にヤクザなのである。

 火星との経済的小競り合いも激しく、地球以上にハイスペックな機体ばっかりで、その上プライドが高い。

 

「地球における他惑星からの留学はそこそこ居るけど、どいつもこいつもクソ強いだろ?」

 

 大前提として地球におけるソラール・エクスプローラー(SE)は数の暴力と連携と人的資源でぶっ潰すやり方が正義とされ、徹底した共通部品規格と適正化した戦術を是とする。

 

 対して(火星はギリギリ違うが)他の惑星は人間の生存圏が少ない代わりに一部の資源が圧倒的に入手できる上に技術躍進の結果モノを作るだけなら超高性能巨大3Dプリンターもある為、先鋭化されたワンオフ機になりやすいのだ。

 

「あ、そう言えば水星機は5機出てくるって。5機ぐらいなら何とか」

 

「終わりだよ!!」

 

 無理です、水星機はタイマンだったらほぼほぼ勝ち目がないです。

 

「はぁ、てかなんで喧嘩売ったんだよ」

 

「先に向こうが日本のみんなの事や俺の親や太一までも馬鹿にしてきてさ、我慢ならなかった」

 

 主人公だねぇ。

 

「こ、これからどうすれば…………」

 

 アリアさんが不安そうにつぶやく。確か所属していた星進隊(プロトン)の消滅は取得単位が減らされた記憶がある。進級も結構厳しかったのだろう、俺だって単位は欲しいし。

 

「流星、お前死ぬ覚悟はあるか?」

 

「それで名誉挽回出来るなら」

 

「おーけぇ、日本舐めんなファンタジー見せてやっか」

 

 それに何より、買った喧嘩だ盛大にボコしてやる。って位の意気込みは無いといけないですよね。

 

「あの、どうやって勝つつもりですか? あのお世辞にも流星さんは成績はよくないですし」

 

「グハッ!?」

 

 アリアの言葉がクリティカルヒットしたな、結構毒舌か?

 少々の同情を込めて流星に檄を飛ばす。

 

「…………対水星機用、そして流星用にカリカリに改造してやるからそれで何とか勝て」

 

 俺は手近にあったVRゴーグルを装着して、しばらく思考を巡らす。VRゴーグルと言ったが実はこれは思考反射入力デバイス、勝つ為の機体の絵空事を電脳世界で描く整備科(メカニック)の必需品。

 

 その時間は数十秒。俺は思考反射入力デバイスを取って、流星の学園専用端末に送る。

 

「水星機の特徴はデカい早い堅い、だが地球の重力圏内でも燃費がバカ悪いのが弱点だ。お前なら使いこなせると思ってるよ」

 

 水星は低重力で地球の約33%ぐらいしかなく機体を大型化しても作りやすい…………など、それぞれの惑星の生活圏における様に先鋭化していっている。

 

 俺が送った改造案を端末で見た二人は別々の反応を見せた、アリアさんは顔をしかめて、流星は深く笑った。

 

「太一!」

 

「ん?」

 

「勝とうぜ! 信じてる!」

 

 その言葉に俺は笑って部屋を出ながら上腕を叩いて応えた。

 

「おうよ!」

 

 搭乗者(パイロット)に頼られて嬉しくない整備士(メカニック)は居ない。無駄に体に力がが入ったような気がした。

 

「太一!」

 

「おお?」

 

「正座辞めて良い!?」

 

「いいよ!!」

 

 どうにも締まらなかったが、肩の力は抜けたから良いとしようか。




ちょっとした設定

Ⅰー2:星進闘争使用機体規定
①星進闘争で使用されるソラール・エクスプローラーは全て事前に登録しなければならない。

②整備科はソラール・エクスプローラーに対戦相手を殺傷もしくは重篤な障害を与える兵器を搭載してはならない。搭載した場合は全単位を没収する。

③整備科の生徒による改造における制限は無い、しかし②に違反する物は同様の処分とする。

④使用したソラール・エクスプローラーについて守秘義務や秘匿技術が存在していた場合、その流出の補填は行わない。
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