ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった 作:なんちゃってメカニック
「じゃ、乾杯」
「早い早い」
俺達は大会用依頼を終えて打ち上げにバーベキューをしていた。発案者は俺だし乾杯の音頭を取ったのだが、それを流星は咎めた。
「だが、早く始めないとコルデーが死にそうだぞ?」
「え?」
「栄養ドリンクで腹タプタプっス」
「コルデー!?」
本末転倒な状況になっていた。青い顔をしたコルデーを介抱しながらバーベキューが始まった。
各々適当に食事を楽しみながら雑談をしている。フィッティング中だとSEの話しかしないから、こういう機会は貴重だと思い、話しかけない奴に声をかけた。
「よっ、ベローナ来てくれてありがとうな」
「こちらこそ、誘ってくれてありがとう」
適当に考えて誘ったから迷惑かと思ったが口元にBBQソースを付けたまま喋るくらいには楽しんでくれているようだ。コルデーの亡骸がそこで喜んでいる。
「こういう機会でもないと、あんまり話せないからな…………」
「確かに、太一はいつも忙しそうだ」
「不本意だがな」
軽く笑うとベローナは顔を引き締めて俺に向き直って頭を下げた。
「改めてだが本当にありがとう」
「素直に受け取っておく。だが、引け目を感じる必要はないぞ?」
「バレていたか、しかしそういう訳にもな」
そう言って顔を伏せるベローナ。しかし、俺にも火星機の持ち込みを許したのも訳がある。と言うかこっちの方が本命。
「リーチャー弄ってみたくなっただけだし」
「ハハハ、君も方向性は違えど流星に劣らずSE馬鹿だな」
「そうともだから、ずっと
「ん?」
俺はホログラムを投影し複数の改造案を出した。
「まずこっちはサーフリーチャー!見た目はデカい剣を左腕部に装着したような見た目だが、この剣はサブフライトシステムになる!巨大なサーフボードを振り回すコンセプトで作った!!」
「…………」
「そしてこっちがアモンリーチャー!下半身が膨れているように見えるが装甲とスラスターを増設し足技主体で戦いながらスラスターの推進力で相手を焼ける!そんなコンセプトで作った!」
「………あの」
「最後にシップリーチャー!いっそのこと船に乗せてしまえ!拡張ユニットとして巨大工船を装着する事により巨大な火力と堅牢性をコンセプトに作った!!」
「………ちょっと」
「これらは俺が考えた火星教義に抵触しない改造案!サーフィンは寝そべれる!手が足り無いなら足で戦え!船に乗らない人間は居ない!!さあ!どれにする!?」
俺は一体、何が悪かったんだろうか?とデコピンでヒリヒリとしたおでこを擦った。
ベローナは遠慮しておくとだけ言って他の人に話しかけて行った。
「怒らせてしまいましわたね?」
「メリルか、俺、何が悪かったんだろう?」
「サーフボードを左腕にくっ付ける人間は居ませんし、足から火を噴く人間も居ませんし、左腕を船にドッキングする人間も居ないからじゃないでしょうか?」
「…………盲点だったな」
い、いや、一人ぐらい左腕サーフボードの奴とか居ないか!?居ないわ!!
「それはもはや節穴ですわよ?」
「うぐぅ…………一応
「変なのは理解していたのですね」
「
と言ってまた別のホログラムを投影した。
「肩のスラスターを2枚から4枚に増やして安定用に尻尾のように見えるアンカーを生やしただけだ」
「…………最初からこういうのだしておけばよかったのではなくて?」
メリルが呆れたように俺を見つめている。どうやら俺のメカニックの腕に失望しているようだ。
「なまじ完成度が高い分あまり弄らずに協働性を高めた結果になる」
「…………協働性?」
「ああ、
「そうですわね」
「このアンカーは電力供給用のケーブルになるように設計してあって、重力圏内でも気兼ねなくスラスターを吹かして
アンカーに関しては結構いい出来だと思う。
「あと、追加したスラスターからでもソーラーウィンドを出せるようにした。使った後はデットウェイトになるから切り離してもらう必要があるけど」
「なんで最初からこういうのを出さなかったのですか!?」
…………え?
「ま、待ってくれ!流星なら『デカい剣!?使いたい!!』って言うだろ!?」
「あの人は規格外なんですわ!!」
「つ、使いたくないの?」
「有用性も分からなくはないのですが、そもそもいきなり装備を変えて十全に扱えるのは流星さん位で…………そういえば、太一さんは流星さんと幼馴染と言っていましたわね?」
「ああ、赤ちゃんの時からのな」
「いつからSEに触れていたのですか?」
「そりゃ、赤ちゃんの時からだ」
生まれが同じ病院で、両家の距離も目と鼻の先。SEに関して触れようとするたび両親から褒められた物だ。まあ、俺は整備してアイツは乗ったんだが。
「ど、どうしてそんな早くから?」
「極東は関東自治区、北海共和組合、西日本食材協会、薩摩藩の4つに分かれてSE…………正確には前身の軍用人型機動兵器ガイアクロウラーを作って戦わせてるって言うのは知っているか?」
「知りませんわ!?」
「俺の町工場もそれに噛んでてさ、ちっちゃい頃からSEみたいな物には触れていたんだ」
「…………流星さんは異常ですわ」
「俺の友達を悪く言うなよ」
「流星さんは変態ですわ」
「そんな褒めてやるなよ」
「ーッ!?ともかく!あまり流星さん基準で考えない事ですわね!!」
そう言って頭を抱えるメリルはハッと気が付いたように俺の顔を見た。
「イルシアさんに改造の話を振らないで上げてくださいね!?」
「ああ、おじいちゃんの代からの
「なんでその配慮が出来てベローナさんには出来なかったのですか!?」
「いやぁ、興が乗ったというか」
嘘だ。ベローナは強さを求めている。それに応えようとした結果があれだ。
火星教義に則った上で強さを求めたいと思っているのだから、それを補う形であれば何でもいいはずなのだが。
「冗談はさて置いて、
「であればよろしいですけど」
そう言うとメリルはため息を付いた。俺はふと思いついた事を喋ってみる。
「さっき配慮とか言ったな、それをちょっとしてみるが。メリルはもうちょっと協力をしたいんじゃないのか?」
「へ?」
ぽかんとした顔をこちらに向けるメリル。
「思えば最初から周囲がよく
「あ…………」
「機体も庇い傷が多かったし、ずっと誰かと協力したかったんじゃないのか?」
そう言うとメリルは目を泳がせていた。しばらく待っていると、決心したように口を開く。
「皆さんの事、頼ってもいいのですか?」
「その質問、流星なら即答だぜ?」
その言葉を鼻で笑ってそう言い返す。メリルは顔を明るくして、皆いる人だかりに向かって行った。
誰もが何かを背負っている。何かを隠すため、何かに手を伸ばすため、何かに夢を求めるために。何を背負っているのかは分からないが、一緒にいるならそれを持ち上げたって構わないだろう。
そんなセンチメンタルな事を思ってしまうくらいには、このオウムアムアは気に入っていた。そのことを自覚するだけでもこのバーベキューは意味があったのだろう。
「パパだっこ」
「パパじゃない、だっこはしない」
全く、この
「とれない」
「ごめんよぉ」
人は何かを背負っているが、俺はネルを抱っこしていた。こういう星の元に生まれてきてしまっては仕方ないのだと、俺は泣きながら笑った。
ちょっとした設定。
学園校則:敷地使用許可について。
①敷地の私的使用に関して全学生は学園に許可を取らねばならない。
②
③
④どのような理由があっても校庭を爆破してはならない。
⑤初代校長の銅像を破壊する目的で周辺の敷地に使用許可を取ってはならない。