ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった 作:なんちゃってメカニック
俺はソラール・エクスプローラーの改造に着手し3日の時が過ぎ、
片や水星からの実力者、片や全てのメンバーが成績下位中位で
「目ぇしょぼしょぼする…………あれから寝てない」
「た、太一、大丈夫か?」
「おー心配すんな、完璧に仕上げたから。そっちもシミュレーターは回したんだろうな?」
「実際乗ったらどうなるか分からないけど、操作は完璧!」
自信満々に親指を立てる流星に、不安そうなアリアさん。そろそろフライトの時間だ、バトルの場所である月へと向かうための宇宙船に俺達3人は乗り込んだ。
最終のパイロットフィッティングはギリギリまで詰める。そのために俺と流星は宇宙船のガレージに向かった。
「あんなの…………まともに動くわけがないじゃないですか」
アリアさんがそう言ったのを無視して、俺達はガレージに籠った。
時間にして30分ほどで闘争の場所まで着いて、俺の仕事はもう終わった。
しかし
「そういえば、こいつ名前は何にするんだ?」
「え? 基本構成は地球機だから『ゲイザー』そのまんまだぞ?」
地球の
とにかく普通なのだが、徹底した画一規格の中で一部装備や四肢の装備を変える事によってちょっとだけ名前が変わる。例えば、パワー重視の巨大なバックパックと馬力のある四肢に交換して鈍重だがパワーのあるSE『パワーゲイザー』軽量化した四肢にすれば『スターゲイザー』とか。
塗装も整備士の手が空いていれば千差万別、完成度はともかく弄っていて楽しい機体だ。
前世にはない、AI補正と3Dプリンターが標準装備されている分、個人的には完成度の高いプラモデルを作るより簡単でカッコよく出来る。
「結構元型無いだろコレ」
「じゃあ、『スモウゲイザー』…………あだ名として『オヤカタ』だな」
「おっけー! オヤカタね! アリア、真壁流星『オヤカタ』発進準備完了」
『はい、カタパルト展開、進路良好システムオールグリーン。
所変わってVR空間。俺はVRゴーグルを被り
バトルは学園内で配信を義務付けられている、技術の共有をすることでより高みへ行く為だ。
「うお、騒がし」
俺の場合は、改造したオヤカタの様子を見る為だ。だが、配信に入った瞬間大騒ぎになっていた。
「変態じゃ」
「おい、どこのバカだバケモンみてーな改造した奴」
「なんであれで水星機とやり合えてんだよ」
「変態だ…………変態以外の何物でもない」
「てか、あのゲイザーの設計図既に公開してるぞ」
「ばっかじゃねえの? パイロットもメカニックも」
「水星機もう1機撃墜した!?」
なんか思ったより注目されてるみたいだ。あと極東のパイロットやメカニックで変態は誉め言葉だ。
「あ、見に来てたんだ」
「ミーシャ、こっちのセリフだ」
「なんで? 一応チームでしょ?」
ミーシャ・クロイテフ、女子寮寮長室に住み着く守銭奴の化け物であり、俺らのチームの会計を一手に任せている
「んで、何アレ」
「今さっき考えたスモウゲイザーあだ名は『オヤカタ』だ」
「じゃなくてゲイザーの原型が無いって言っているの」
俺が改造したゲイザーの改造機は原型のそれとは大きく異なっている。
「まあ、簡単に言えばゲイザーを5体分くっ付けた」
「はぁ!?」
実際にはジャンクとかかき集めてもうちょっと7機ぐらいじゃないかな?
「そんでただくっつけるだけだと推力が足らなかったから、大型のプロペラントタンクを2個くっつけて水星機に負けない位には機動力を確保した」
見た目はぶっちゃけ考えなかった。
アームユニットやレッグユニットを並列に配置して、ボディですらくっ付けて。あれだ、エルデンリングの接ぎ木のゴドリックにデカイ柱が二本ぶっ刺さっている感じだ。
「それでどうやって戦ってるの!?」
「大型機の突撃による宙域からの強制離脱。意外にも小回りは効くぞ?」
「しかも、パイロットは成績下位のパッとしない奴だったでしょ!?」
「俺のダチを舐めるなよ?
テラマキナの評価基準は連携、連帯。
個人で勝つのではなく戦略的に勝利する、それがテラマキナの評価基準だ。
「腹立たしいがアイツは天才だ、いがみ合ってるだけの平和な時にあいつは劇毒なんだよ」
「つまり、戦車に勝てないから装甲車5台くっ付けましたって事? そしてそれを縦横無尽に動かせますよと? …………ありえない」
「出来たからな」
「君も大概バケモンだよ」
「そんなバカな。低重力圏でのスラスター制御が難しかっただけで、発想としては木星機に近いし、まだ突飛な発想て訳じゃないぞ?」
「はぁ、勝っても負けても地獄か」
ミーシャはため息を吐きながら黙って試合を見始めた。
そろそろ決着が着く様だ。
◇ ◇ ◇
バトル開始時には
「馬鹿じゃないの!? アハハッ! 破れかぶれであんなブサイクな機体を持ってきたのかしら! お笑い芸人としては一流ですわね!」
水星機の特徴はデカイ速い堅い、それを模したのかパッと見れば唯々、
地球機におけるSEを侮っている訳ではないが数の暴力を抜いた地球機には、それも1対5の超劣勢の戦場で負けるはずがない、しかも、子供のような改造で何ができると思っていたのだ。
次の瞬間までは。
始まってすぐ、流星が広域回線で何か言っている。
「はっけよい」
水星の星進隊の知識だけにある、極東の未開のスポーツの掛け声。
その言葉に自軍のパイロットはもれなく眉をひそめたが、それが失敗だったと気づく。
「のこった!」
一条の閃光。プロペラントタンクから燃料が唸りを上げて燃え盛り、殺人的な加速、まさに流星だった。
真正面からの想定外のスピードという奇襲によって水星機は1機撃墜判定を喰らった。
「まずは1人」
その言葉を聞いて呆然としていると、叫ぶように自軍のオペレーターが警戒を促す声を出す。
「はっけよい、のこった!」
「っちょ!?」
次にメリル以外のもう一人に直線的に向かうが、それを避けた。
「貰い」
だが、伸びる。複数の腕を接続したうちの一本が水星機の頭を握り、腕だけ自爆させメインカメラを破壊し撃破判定を与える。
「はっけよい」
「くそ!」
その言葉に過剰に反応した、異形のSEにロックオンされた水星機はビームサーベルを展開した。
「のこった!」
お構いなく突進してきたそれに向かってサーベルを突くが、それを身を捩って躱し離脱した。
「決まり手押し出し」
プロペラントタンクを
ただなされるがままに、水星機は戦闘宙域から外されていった。
「はっけよい」
「撃て!」
水星機は混乱の中でも、ライフルを構えた。
「のこった!」
流星はそう叫ぶが一切動かない、だが、反射的に水星機は引き金を引いてしまった。
偏差射撃の為に少しずれた照準では、流星の機体を捉えられない。
今までの掛け声はブラフ、試合後に落とされた2機は歯噛みしたという。
「べーだ」
そして、またも背中からパージしたプロペラントタンクを水星機の方向に向かわせそれを自ら撃ち抜く。
プロペラントタンクは爆発し、その爆炎を目くらましにした上で流星は射撃して水星機2機を戦闘不能状態にさせた。
「勝負!」
「何を!」
オヤカタから全てのプロペラントタンクが失われ、先ほどとは推力は落ちたが戦いを諦めるには及ばない。
射撃武装で追撃する流星に引き撃ちをしながら逃げるメリル。しかし。
(嫌な所を撃ってきますわね!)
パイロットの技量によって徐々に追い詰められていくメリルは奥の手を出した。
「太陽風は知ってまして?」
ビームミサイルの全弾発射。ほぼ全てのエネルギーを消費して放たれる追尾ビーム、水星の太陽風を模した圧倒的な量の追尾ビームを流星は躱せず、機体が爆発した。
「やった!」
「やってない」
またも爆炎の中から飛び出てくるSE。
しかし、先ほどとは打って変わって非常にスリム。見慣れない装備…………刀を水星機に振りかぶり、メインカメラを破壊した。
「いいそよ風だった、今度は台風を持ってこい」
戦闘終了、前情報など役に立たず蓋を開けてみれば一方的な戦いで終わった。
英雄が生まれ、オウムアムアを中心として学園に嵐を巻き起こすその第一歩。
そしてここからが地井太一の地獄の始まりだった。
ちょっとした設定
Ⅰ-3:星進闘争補填規定
①星進闘争で破壊されたソラール・エクスプローラーは学園側で補填しない。
※学園側に明らかな過失があった場合はその限りではない。
②星進闘争において破壊された学園側で貸し出した母艦については学園側で補填する。
③星進闘争の勝敗での賭けにおいて、学園側はその損失については補填しない。
④星進闘争において死亡事故が発生した場合、死亡規定において補填する。
※ただし、留学生においては所属惑星の死亡規定に準ずる事。