ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった   作:なんちゃってメカニック

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終業式

 テラマキナ学園では、終業式が各学科に分かれて行われる。地球最高峰の学園とはいえ、そもそも受け入れている母数が多く、1つの学科だけで学校が作れるほどだ。

 

(そういえば成績悪くて、去年は終業式も出れなかったな、補習してくれた先生には感謝しないと)

 

 搭乗科(パイロット)の流星は内心でそう思いながら、終業式の進行を眺めていると、表彰授与の番になった。優秀な成績を収めた者、自身の星進隊(プロトン)活動に大きな影響を与えた者、部活動で好成績を残していった者、輝かしい功績を残した者達の名前が呼ばれ次々と表彰状を与えられていく。

 

(結構頑張ったけど表彰はもらえなかったか)

 

 流星が肩を落とした。次に生徒会長挨拶の番になった。

 

「あまりこういうのが得意じゃないから手短に行かせてもらおう。搭乗科(パイロット)の諸君、よく頑張った。夏休みを存分に満喫してくれ」

 

 ステージ上に立っている生徒会長が端的に挨拶をした。次に生徒会長は大きく深呼吸をして、緊張した面持ちで言葉を発した。

 

「次が本題だ、星進隊(プロトン)オウムアムア、チームリーダー真壁流星。ステージに来てくれ」

 

「俺?」

 

 困惑しながら歩いてステージに立つ流星。

 

「彼らオウムアムアは、過去最高の速さでランクを上げた星進隊(プロトン)で、我々生徒会とも一戦交えた星進隊(プロトン)でもある」

 

 オウムアムアの事を知らなかった人間もいる、その言葉に講堂がざわついた。

 

「静粛に。知っての通りランクの上昇速度に関する表彰は無く、我々と戦った事による表彰も無い。だが、目覚ましい程の躍進と我々との健闘を称え、生徒会から賞を与える事にした」

 

(俺何にも聞いてない!!)

 

 大勢に注目され、流星は混乱しながら次の言葉を待った。生徒会長が取り出したのは、折り紙で作られたバッチを高々と掲げた。

 

「この頑張ったで賞をじゅy」

 

 ミラに飛び蹴りされ1mほど吹っ飛ぶ生徒会長。

 額に青筋を立て、小声で「満足に挨拶も出来ないのですか?」と呟き、睨みを効かせている。

 

「えー生徒会より、生徒会特別敢闘賞の設立の発表、そして、こちらの真壁流星君に同賞を授与します。正式な物はまだ用意出来てませんので後日送ります。生徒会長挨拶は以上になります」

 

 長台詞をまくしたてるように言い切るミラは、のびている会長の足を引きずって舞台袖に下がった。

 

「とりあえず降りて良いですか?」

 

 その後はつつがなく終業式が進み、閉式の辞を持って全員が解散した。

 オウムアムアのパイロットたちが皆集まって、先ほどの出来事を眉間に皺を寄せながら話した。

 

「何? どういう事?」

 

「俺も分かんない」

 

「わたくしの感覚ですと生徒会が表彰とはかなり珍しい事ですわ」

 

「火星でもあまり無いな」

 

 ゼリアとピールは無言で首を横に振り、ネルは流星の背中で眠っている。

 全員が体験した事無い出来事で、全員が首をひねっている。

 

「とりまアリアかミーシャに相談するっしょ」

「良く分かんないし~?」

 

 2人の言葉に頷いて隊室に向かおうとしたその時、ミラに呼び止められた。

 

「先ほどはすみません、会長(バカ)から何も連絡が無かったようで」

 

「いえ、驚いただけで別に。逆にありがとうございます、みんな頑張ったのに表彰されないって、ちょっと寂しかったんで」

 

 ミラは流星の言葉に驚きを隠せなかった。目を丸くしながら流星に真剣な顔で言った。

 

「生徒会による賞の設立とその授与、これは史上初めての快挙です。そのことをお忘れなきよう」

 

 そう言って立ち去るミラ。その背中を見送って流星たちは改めて隊室に向かおうとした。

 そしてその道中、怪しげな人間を見かけた。

 

 大量のバッチを全身に付けられ、その重みで動くことに苦戦している生徒がいたのだ。

 その生徒を遠巻きに見ながら小声で相談する。

 

「なんだアレは? 場合によっては戦うぞ?」

 

「なんかバッチいっぱいつけてる?」

 

「見た所整備科(メカニック)っぽいっしょ」

「ちょっと怖いね~」

 

 ネルはまだ流星の背中で寝ている。

 メリルがベローナを抑えながら、その生徒を避けるようにして端っこを通った。

 

「太一じゃん!?」

 

「お、おうそっちは、はぁはぁ、終業式、はぁはぁ、終わったのか?」

 

 バッチの重みで息が絶え絶えになっている太一。

 

「みんな、ちょっと持ってあげて!」

 

「やめろ、勲章外したら爆発する」

 

「どんな勲章!?」

 

「勲章授与してから爆殺する気ですの!?」

 

「おれが、俺が悪いんだ」

 

 そう言って太一は自分の身に起こった事を説明し始めた。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 整備科(メカニック)の終業式は凄く騒がしい、全員が全員こんな式典どうでもよくて、思い思いの事を語り合っている。

 それを上書きする様な大音量が、マイクを通してスピーカーから放たれているカオス空間。

 

 バカみたいな速さで進む終業式だったが、表彰授与…………整備科(メカニック)では()()授与の番になると、話は変わってクソほど盛り上がっている。

 

「ボディビルコンテストU20の部、準優勝4年サクロン・テリヨキーノ」

 

「学生パンクラチオンヨーロッパ大会、優勝3年ゼノン・グラディウス」

 

 などと紹介された者が壇上に上がるたびに、フゥー!! みたいな歓声上がって、ぴゅーぴゅーと指笛が鳴る。てか男臭すぎないか?

 ロボコン部等の整備科(メカニック)系の部活や星進隊(プロトン)系の表彰も同じように盛り上がった。

 

「えー、最後に2年地井太一。これは詳細は省くが結論から言うと、お疲れさま、よく頑張ったな。あとで職員室に来い」

 

「何されるんだよ!?」

 

 よく知らないだろうに、聴衆たちの歓声や拍手が鳴りやまない。俺だってよく知らないのに、何でそんなに盛り上がれるんだ!!

 その後爆速で終業式が終わり、足取りは重かったが足早に整備科(メカニック)職員室に向かった。

 

「静先生! なんですか一体!!」

 

「おー、早いな。ちょっとまってくれ、プロテインの時間だ」

 

「飲んどる場合か!!」

 

 俺が話しかけたのはオールデストロイヤー静先生。俺達(2年)の学年主任を担当している29歳独身女性、190cm、髪は茶、筋肉モリモリ、マッチョウーマンの変人だ。

 

「んで、何用ですか?」

 

「私にそんな口きくのはお前位だぞ太一、お前が得た勲章の事についてなんだがな」

 

「要らないですよそんなもん」

 

「そういう訳にも行かない理由があってだな」

 

 そう言って静先生が物置からマネキンを持ち上げて持ってきた。マネキンが来ている服には大量の勲章が張り付けられていて、勲章に勲章を付けて居る始末だ。

 

「なんですかコレ?」

 

「全部お前の勲章だ」

 

「マジすか?」

 

 軽く首を振って肯定した静先生。

 

「あー、元々学園が、宇宙大戦戦後のドタバタした時に作られている、って言うのは知ってるだろ? その時の名残でな、別の惑星のSEを整備した時の勲章が多いんだ」

 

「にしたって多くないですか!? 少ないですけど、他星SE持ってる星進隊(プロトン)もあるでしょ!?」

 

「そういう所は整備チームとして星進隊(プロトン)自体に授与される」

 

「じゃあ俺もそうすればいいじゃないですか!?」

 

「…………だって整備科(メカニック)お前1人じゃん。だから個人に与えるしかないんだよ」

 

「いやだぁ! せめて1個に纏められないですか!?」

 

「無理だ、許可出来ない」

 

「クソ! 柔軟性が無い! そんなんだから婚期逃すんだ!」

 

 

 

 

 

 

「で、ぶん殴られて気絶して、無理やり着させられてこうなった、学園黎明期系の整備科(メカニック)勲章って逃亡防止や誘拐防止のために爆発するらしくって、仕方なくこうやって足で戻っているって訳。婚期弄りしただけなのに酷いよな、自由と横暴をはき違えているように思えるわクソが、あれ? みんな待って、俺置いてかないで! ノリだったんです! 俺も頭追いつかなかったんです! お願いだから助けてください!」

 

 みなもと(オールデストロイヤー)静先生を煽った代償は高くついた。

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