ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった   作:なんちゃってメカニック

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天空は熱く燃えている

 終業式が終わって次の日。俺は勲章を寮のこやしにしながら、校門前に車を停めた。

 全員には個人チャットで連絡済みで、後はこのワゴン車の調整をしている所だった。

 

「コイツも久しぶりに動かすな」

 

 独り言をつぶやきながら、俺の愛車を丁寧に整備していると、校舎の方からイルシアとメリルが手を振っているのが見えた。

 俺は軽く手を振り返して2人を迎えた。

 

「車の準備は出来てる、後ろに荷物を置いてくれ」

 

「わかりましたわ…………車はもう珍しいですが、特段変な車じゃありませんわね?」

 

「ヤバいって話を聞いて居たのですが、少し肩透かしですね」

 

 俺のワゴン車をしげしげと見つめた2人に、俺は弁明をした。

 

「流星は大げさなんだよ、SEより格段に遅いし宇宙での依頼より安全だ」

 

「ですわよねぇ、どうしてあんなに嫌がっているのか…………」

 

 何故か流星は車に乗るのを嫌がる。別に特段変わった事は、全くしてないんだが。

 

「太一さんは免許を持っているんですね?」

 

整備科(メカニック)だと各種免許、資格は1年の時に取らされるからな、俺は中学の時から持ってたが、まあ、そんな事はいいや、腹とか空いてるか? コックマシーン用意してあるから、なんかつまんどけば?」

 

 俺はそう言って、車のスライドドアを開けてコップを渡す。代わりに、2人の荷物を預かって後部座席に入れる。

 

「ありがとうございます」

 

「おう。残りの奴らは?」

 

「流星さんが非常に嫌がっていたので回収を。あ、来ましたよ」

 

 アリアが指さして、見えたのは残り全員。だが、ぐるぐる巻きにされた流星が、ベローナに担がれている。

 

「ちょっとビビったけどフツーの車じゃん!」

 

「別に変った所はないね、何であんなに嫌がっているのか…………」

 

 イルシアと、仕事時間外で口調が砕けたミーシャがそう言ってると、ベローナが顔を曇らせた。

 

「…………私達と一緒に行きたくなくなったのか?」

 

「そんな事は無い! だけど太一の車は嫌だ!」

 

「じゃあ乗るっしょ?」

「往生際が悪いね~」

 

 手際よく流星を助手席に乗せるベローナ。なんで手際が良いんだ?

 

「やめろー! 死にたくない! 死にたくない!」

 

「もうあきらめろ」

 

 流星の肩に手を置いてシートベルトを付ける。6点式で超安全だ。

 全員の荷物を後部座席に乗せて、きちんと縛る。やっぱワゴン車はこういう所が良い。

 

「じゃ、みんなシートベルト付けてくれ」

 

 そう言うと素直にみんな付けてくれた。

 

「パパそっちがいい」

 

 そう言って助手席を指さすネル。

 

「だめ、ネルにちょうどいい座席も作ったし。特等席だぞ? お外も見える」

 

「むー…………」

 

「むくれてもダメなもんはだめ。コルデー様子を見てやってくれ」

 

「ネルちゃんはこっちでお姉ちゃんと遊ぶっスよ?」

 

 コルデーがそう言うと渋々とネルが乗った。ちょっとごたついたが、ようやく出発できそうだ。

 運転席に座って、全員に話しかける。

 

「チャットで言ったが6時間の長旅だ、途中で飯食うが、陸海空、どこがいい?」

 

「陸海空…………うーん、近くなったら教えてくれ」

 

「おっけ、分かった」

 

 ミーシャと話を終えた。

 その後、緩くアクセルを踏んで、ゆっくりとした速度で走り始める。どうやらみんな楽しみにしてくれたみたいで雑談に花を咲かせている。

 

「…………コルデー、ちょっといいか?」

 

「なんスか?」

 

「あまり車には乗らないが、このシートベルトは一般的なのか?」

 

「あんまり見ないっスね、太一の趣味なんじゃないっスか?」

 

「次にもう1つ質問。ヨーロッパから日本からで6時間と言うと、遅い方か?」

 

「ジェットとかだと、その位っスね。別に、珍しくも無いっスよ?」

 

「最後の質問だ。この車は今どこにいる?」

 

「え、学園の滑走路っスけど…………滑走路!?」

 

 何やら後ろが騒がしい。気にせずにハンドルのコンソールを弄った。

 

「あ、そろそろ飛ぶぞ。舌噛むなよ」

 

 ガシャン! と車から飛行機の翼が生えた。気持ちいい~、やっぱ変形って男のロマンだよね。まあ、木星機(ヴァリアブル)程じゃないけど。

 

「どういう事どういう事!?」

 

「だから言ったじゃん!! 太一はヤバいって!!」

 

「別に普通の…………」

 

「これは言いたくなかったけど! 太一だぞ!?」

 

 バックミラーを見れば全員顔を青くしている。

 

「それでは快適な空の旅をお楽しみください」

 

「あっ──────!?」

 

 アクセルを思いっきり踏み込んで空へ飛び立った。地上用のメーターが振り切れ! 古き良きジェットエンジンが甲高い声を上げ! 空を切る振動が車に伝わる! 奏でる!奏でる!青空(そら)の歌!!

 

「もう車じゃないっスよ!!」

 

「なんでこんな小さいのでこんな早く飛べるの!?」

 

「うーん」バタリ

 

「あばばば!」

 

「心頭滅却心頭滅却心頭滅却心頭滅却!!」

 

 うっひょーはやーい!! バックミラーを見れば3人は楽しんでいた。

 

「パパ! パパ! たのしい!」

 

「木星じゃ子供の時から乗ってたし、余裕っしょ」

「懐かしいね、みんな元気にしてるかな~」

 

 うんうん。この青い空は地球にしかないし、みんな喜んでくれているようだ。

 速度を上げ、マッハに到達!

 

「ん? あれなに?」

「二輪車?」

 

「ああ、モーターサイクル部だ。バイク(空を飛ぶものを指す)作って走らそうって言う整備科(メカニック)系の部活だ」

 

 バイクから通信が入ると、やかましい声が聞こえてくる。

 

「太一! ゥ我がライバルよ! 今日こそ決着をつける時だ!!」

 

「同乗者が10人も居るんだぞ? 勝負はお預けだ」

 

「なんだとゥ!? それは済まなかった! また会おう!!」

 

 相手はモーターサイクル部の顔見知りだ。素直に高度を下げて去っていくバイカーにネルは手を振っている。

 

「何今のウケる」

 

「学園に来た時に勝負吹っ掛けてきやがったんだ、ま、負ける気はないが」

 

「ちょっと!?」

 

 イルシアの静止を右から左へ流した。ハンドルのボタンを叩いて通信を再度入れなおす。

 

「バーカ!! お前なんか100人いても勝てるわ!! お先ぃ!!!」

 

「卑怯な! まてぇい!!」

 

 通信と同時に、中継地であるアラスカの座標を送る。それが狼煙だった。

 

 天空は熱く燃えている!!

 

 己のプライドを賭けて、整備科(メカニック)達(と愉快な仲間たち(被害者))が空を飛ぶ!!

 

 

 

 

 程なくしてアラスカに到着した。

 

「前が見えねえ」

 

「自業自得だ」

 

 ボッコボコにされた。

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