ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった 作:なんちゃってメカニック
あの後逃げるように部屋を出て行った、ミーシャに追いつき、俺は声をかける。
「ミーシャさん、お話があります」
「待つんだ太一、説明をしよう」
「なんか丸め込まれそうだから男女平等チョークスリーパー!!」
「ギブギブギブ!」
タップしているがまだ終わらない!
「男女平等オクトパスホールド!!」
「いだだだだ!! 太一お前女に手を上げるなとか言ってなかったっけ!?」
「サブミッションこそ王の技よ! 古事記にも書かれている! 男女平等四の字固め!!
」
男女平等と言えば許される、と古事記にも書かれている。便利だな古事記。
「お前そんなんだから両親と不仲なんだ!!」
「痛い! 心と体が痛い!! 逆四の字!!!」
「いでーっ!!!」
両者とも床に倒れ込んで、ぜえはあと呼吸を乱す。
「んで、何であんな事したんだ?」
「はぁはぁ、第1にメカニックの確保。君は、ドロップアウトの
「なんで?」
「感覚がマヒしているが、
信じて送り出した? 惑星の威信が、チョリーッスとか言ってる成績不振な奴に弄られたとしたら…………あれ、ちょっとやだかも。
「その点、極東出身の技術者なら問題ない、流出しないしな。武生さんだけじゃなくて、その繋がりで直せる人を探せばいい」
「理屈は分かったが、何で地井製作所に依頼をするんだ?」
「実績作りだ、訳の分からん企業に修理や整備の依頼をしてみろ。情報流出させて、コピー品を出回らせよう。って思われても仕方ないぞ?」
お
「でも、天海冥機デスウラヌスは他の星からしたら所属不明機体だ、それで、対外的に問題はないのか?」
「問題ないな、既に、生徒会が整備出来ないと突っ返した挙句、
「そんな物かね? 俺の親父は…………」
そう言いながら親父のこれまでの仕事ぶりを、改めて考えてみる。
「近くの
「え、お隣さんのコックマシーン壊れたの? …………はい、直った」
「太一! ミサイル作ったって本当か!? 馬鹿野郎! 危ないだろ! 貸せ! 兵器はこうやって作るんだ!!」
「GCの修理に20分掛ったって? 10分で直せよ」
「あーあ、俺なら太一の車もっと性能上げられるのにな~。あー、それ使っちゃうんだ~。お父さん手出さなくていい? あ、そう、フーン」
「太一、立派な変態になれよ」
「見ろ! アレお父さんが作ったんだぞ! 水中専用GC沈没丸!!」「ガイアでもクロウラーでもねえ!?」
改めて考えた結果、俺の親父は頭がおかしかった事が判明した。
「技術力だけはあるな…………」
「こっそり見たここの帳簿から分かってはいた、それに、遠隔で整備した記録もあったからな…………別に、今からなら取り下げる事だって出来るぞ?」
それを聞いた途端、親父がやりそうな事が脳裏に広がる。
「あー、やらないんだ。じゃあ、右手がドリルで左手がシャベルかぁ」
「胸部広域拡散粒子砲ソーラーバーナー! 太陽を焼く者!」
「ネプチューンウォール、攻性防御に出来ないかな」
「よし! もっと関節駆動を複雑にしよう!」
…………なんというか、俺がやった方がマシな気がしてきた。そう結論づけると、俺はため息を吐いてミーシャを許した。
「はぁ、分かった分かった。冷静に考えれば、親父がウザいだけで特に問題なかったわ、2か月もあるし、ゆっくり修理すればいいさ」
「…………ごめん、前みたいに1週間で直す気だったのか!?」
「えっ? 1週間で直さなくて良いんですか!?」
決定的な認識のすれ違い。社畜根性が生み出したデスマーチの幻想。ミーシャの額に青筋が見える。
「じゃあ関節技された意味ないだろ!」
「イジメヌンデ!!」
ミーシャに馬乗りになられながら、攻撃を受け止めていると、近くの扉が開かれる。
「あ、そういうお楽しみ? お父さん、そう言うのは日が落ちてからにした方が、良いと思うな…………そういう事で」
「「まって!!」」
説得に30分ぐらいかかった。
次の日、太陽が上がった直後、俺は流星とベローナを引き連れて散歩をしていた。
「ってな事があってさ、ま、ゆっくりやる分には腕が落ちなくていいけど」
「うーん、どっちもどっち」
「なんというか判断に困るな…………」
なんでぇ? …………俺が許したんだし別にいいけど。河川敷を歩いていると、流星が話を切り出す。
「ここら辺散歩するのも久しぶりだな」
「そうだな、ベローナは無理してついてこなくてもよかったんだぞ?」
「散歩はしないが、こう見えても毎日鍛えているし、気分転換にも丁度良い」
確かに、散歩は気分転換に良い。1年ぶりに歩いているのは河川敷、川のせせらぎが心地よかった。
「それに、街並みが学園近郊や火星とも違って新鮮だ」
「確かに」
その言葉を聞いて、周囲を見回すと、住宅街は前世と大差ない建築様式で河川もある。学園はヨーロッパの建築を混ぜ合わせ、河川は無く全部地中に追いやられている。
そう言われれば、この光景もしばらく見ていなかった。
「川の音、虫の声、風のさざめき、山の雄大さ、そしてそれが融合している光景は、極東に来なければ見れなかっただろう」
「そうだな、お、ベローナ。あそこで夏の風物詩が見れるぞ?」
「夏祭りでもやっているのか? こんな早い時間に?」
俺は橋の下を指さして言った。
「ドローの練習をしている小学生だ」
「どういう事だ!?」
「なつかしー、俺もやったな~」
「流星まで!?」
極東、夏の風物詩。ドローの練習をしている小学生がそんなに珍しいのか、ベローナは大声を上げている。
「メンタルカードバトル、メンタリオン。極東だけで流行っているホログラム投影型ARカードゲームだな」
「カードゲームでドローの練習をして何になるんだ!?」
「元々あったARカードゲームが、インフレにインフレを重ねてな、先攻後攻だけで勝敗が決まったんだ」
「ゲームとして破綻している!?」
ベローナ、それは多くを敵に回すぞ。俺はとりあえず説明を続けた。
「問題はそれだけじゃなかった、カードデータは投影用の器材でネットワーク管理されてたんだが、チートが横行してな」
「…………トンチキな物にも歴史ありだな」
「んで、そこに思考反射入力デバイスのダウングレード版を合わせ、同時にカード1枚当たりの強さをさらにインフレさせて行った結果、純粋な意味でのメンタルゲームになった」
「それがなんで夏の風物詩になるんだ?」
突っ込み切れなくなったベローナが、普通のテンションで質問してくる。
「小学生の時に爆発的に流行ってその上はぼちぼちなんだよ、で、小学生でメンタリオンに出会って本気で練習し始めるのが夏って訳」
小学生の方がメンタルは弱いけど、感情の爆発力が高いから有利だ。ドローの練習はルーティン行動だな、一定のメンタル安定を約束してくれる。
「やってみる? 結構面白いよ?」
「遠慮しておこう」
「そうした方が良い」
そう言って俺達は河川敷を進もうとしたが、流星が余計な事を言った。
「SEの操縦の時、メンタル安定するんだけどなぁ」
「やろう」
その後、家に帰った俺達は、古いメンタリオンを引っ張り出し、メンタリオンに興じる事になる。
1回だけやるなら楽しい物だ。
モンスターがホログラムで飛び出し、攻撃や防御をするのを見ているだけで心躍る。その上、ノリノリになればなるだけ、メンタルが上がって強くなれる。
メンタリオンは最初の1回だけなら、ものすごく楽しい。メンタリオンを知らない外惑星の人間たちには、爆発的にヒットした。
「ほどほどにしとけよー」
そう言って俺は途中で切り上げて、デスウラヌスの整備に行った。
忠告はしておいたが、盛り上がりまくっている彼女らに聞こえたのか、それは分からない。
メンタリオンが小学生以上で流行らない理由は、めちゃ疲れるからだ。1戦2戦なら大丈夫だが5回もやれば体力まで疲弊する、プレイ中深夜テンションがかなりの間持続するような感覚を覚えるのだ。
考えても見て欲しい、1回1回ドロー!! と言えるのだろうか? 俺には無理だ。
しばらく経って、俺はラムネとサイダーを持ってみんなの元へ戻る。
「頭痛い…………」
「あそこでもっとテンションを上げていれば…………頭痛い」
コルデーと流星以外の人間全員が、ブドウ糖不足で頭を抱えていたが、それでもなおカードをプレイする様はリビングデットさながらだった。
「ほどほどにしろって言っただろ…………」
全員の介抱する頃には夕飯の時間になっていた。