ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった 作:なんちゃってメカニック
メンタリオンで遊んだ次の日。朝食を終えてリビングを見ていると、全員が家族のアルバムを見ている。主人公の実家に入ったら起こるイベントを、当然の如く消化している。
アルバムとはいえ、アルバムの写真を押すと背表紙から無線が飛び、リビングのモニターに動画が映し出される。
今映しだされているのは2、3歳の時、俺に流星がハイハイしながら追いかけている動画だ。
『追いかけっこかー頑張れー、アレなんか太一君必死じゃない?』
『超逃げてない?』
流星の親父さんとお袋さんが、そんな事を言って動画が終わる。確か俺の指をくわえるのが当時の流星の趣味で、それから必死に逃げてたような気が…………。
「わー可愛いー」
「2人もこんな時もあったんだな」
俺の内心を知らず動画が終わり、次の動画へ。小学校入学の時、俺と流星と両親の6人で映っている動画だ、俺はムスッとした表情で、流星はニコニコ。
『よっしゃ帰ろう』
『太一、お前もうちょっと小学校に期待とか無いんか?』
『晩飯は寿司とかが良いな』
「お寿司!? やったー!!」
『勝手に決まってるし…………まあいっか』
そんな会話をしながら動画が終わる。
「なんかこういう時から変わって無いんだ~」
「ムスッとし過ぎでしょ、ウケる」
「仏頂面は元からだ」
遠めに見ながら、その感想に突っ込みを入れる。次の動画に移るかと思ったが、どうやら向こう側が変だ。
「なにこれ」
「ウケる! 何!? 魔王と主人公じゃん!?」
「個性的だね~」
そう言って再生された動画。魔王のような鎧を着た顔面白塗りの少年と、髪が赤と青の2色に分かれた、主人公っぽい見た目の少年がメンタリオンをやっている動画だ。
『熱き心と冷たき知性が今、1つになる! メンタライズ! 氷炎のゼムゲイヴァー降臨!』
『来るか、切り札! だが、俺も条件が整った!』
『何!?』
『その瞬間!
『そんな! この土壇場でループが成立した!?』
『ルール処理により、5回以上無限回のループは無効化され、ループトークンがこれで3つ!!』
『くっ! そんな! この領収書は使えない!!』
『俺の場の
『俺は負けない!!』
『『うおおおおおおおお!!!』』
そこで動画は途切れた。
「ごめん、途中で切っちゃった」
「なんというか、傍から見たらあんな風に見えてたんだな…………」
いや、分かるよ? 俺も恥ずかしくなってきたし、メンタリオンは楽しいからやってる分には気にならないんだよな。
「太一のセンスはここから来てたのか」
「太一さん、なかなかの魔王っぷりですね?」
「あ、そっち俺」
「「「え゛!?」」」
全員が俺と流星の方を、交互に見て目を丸くしている。そんなに意外か?
「昨日は遠慮してたが、流星はループデッキ使いだぞ?」
「…………イメージが無いですわね」
俺は速効デッキ、理由は疲れるからだ。
なんか微妙な雰囲気になって次の動画へ。小学校5年生の年だな、俺が初めてGCの
オーバーホールの姿はタイムラプスで映り、流星の模擬戦の様子は、流星の声が入っていない。
「こんな時から機械を弄っているのか!?」
「なんか、2人の技量の元が伺えますわね」
「ん? これ以前よりGC弄ってたし乗って…………あっ」
「どうしたんだ?」
満10歳まで搭乗も整備も禁止されているんだった…………。何でもないと言いながら、俺と流星は口笛を吹いてごまかした。
「…………あまり深堀はしない方が良いみたいっスね」
「コルデー?」
同じ極東に居た者として分かっているようだ。そのまま誤魔化し切ってくれ。
小学校卒業式、中学校入学式の時は、あまり面白い事も無かった。次は…………ああ、中1の運動会の動画だ。
俺に加えて中学の級友、
『これ見るたびに思うんだけどさ』
『太一?』
『運動って何だっけ?』
動画では俺達の後ろで、5m級の
『運動か、やはり俺は回転運動が一番美しいと思うな』
『そういう意味じゃねえよ!? かけっことか綱引きとか!!』
中学生の俺は、
『そんな物、小学生で卒業さ』
『クラス対抗GC合戦にどこが運動要素あるってんだよ!?』
前髪を弄る
『俺達、汗水たらして頑張った結晶がこうして動いているんじゃないか。ああっ!? 俺のチェーンマインが!!』
『チェーンマイン如きでガタガタ言ってんじゃねえ!! 機体ほぼ全部整備したの俺だぞ! ああああ! 関節系が悲鳴上げてるぅ!!』
損傷したGCを見て頭を掻きむしる俺。
『それはお前が悪い』
『もっと人頼った方が良いと思うぞ?』
『なまじ技術ある分苦労するよね、まあ、でも頼らない太一が悪いけど』
『なんでぇ?』
ガヤガヤと言い合いながら時は進みGC戦が終了した。勝利を収めた流星が、コクピットからこちらに向かってピースしている所で動画は終わった。
「太一さん、この時からやっている事変わりませんね?」
「今自覚した所だよ!!」
アリアの言葉に、何故だかコーヒーが目に染みた。
その後しばらく動画を眺め続けていた全員に、俺は声をかける。
「買い出しに、近くの商店街に行くけど、来るか?」
「あ! 行きたいっス!
「いいジャン! うちらは外出てないしそろそろカビるっしょ?」
「出不精になっちゃうよ~」
気軽に誘ったのだが、思わず全員ついてくる事になった。
商店街は前世じゃ考えられないほど盛況で、その光景も極東ならではだろう。近くの観光がてら、俺はゆっくりと車を走らせるのだった。