ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった 作:なんちゃってメカニック
釣りを楽しんだ次の日、俺達は今日1日をダラダラと過ごす事にした。
俺はと言うと、昨日の20時から10時頃まで寝ていた。全く持って素晴らしいかな惰眠生活。
しかし、これ以上の睡眠は逆に疲れる。精神に鞭打ちながら、リビングへと向かうと、アリア、ミーシャ、コルデー、ネルたちが思い思いの事をして過ごしている。
「おはよう」
あくびをしながら、リビングの全員に挨拶を投げかける。大体の人間が生返事を返して、俺はコックマシーンで朝食を作る。
今日は、親父とお袋が不在だ。お袋は西日本食材協会の方面の沿岸部へ、商談と試運転のテストパイロット、親父は北海共和組合の沿岸部へ整備しに行っている。
例年なら俺も全国を飛び回っていたのだが、気を利かせてくれたのか2人だけでどうにかやっているようだ。
考え事をしていると、コックマシーンからコーヒーにトーストとスクランブルエッグ、ちょっとした野菜が添えられた簡単な料理が出て来て、それをもそもそと食い漁った。
リビングを見回すと、流星がいない。
「そういえばパイロット共は?」
リビングに居た人間に問いかけると、遠い目をしたアリアが答えた。
「…………工場破りと戦ってくるって言ってました」
俺はコーヒーを噴き出した。
「…………ちょっと見て来るわ」
朝食を食べながら整備服に着替え、急いで俺んちの地下へとエレベーターで降りて行った。
工場破り。極東の学生が、武者修行として
今、この場には整備出来るのが俺しかいない。
工場破りをする学生側は、かなりのメリットがある。負けても生の技術を目に出来る、勝てばそこの技術を教えて貰える。それだけでなく、挑むだけで顔を売ることになるから、腕さえあればやればやるだけ就職にも有利だ。
だが、工場側は違う。負けたら「学生に負けた工場」のレッテルを張られ打撃を受ける。「えー? あそこ学生に負けたんでしょ?」とか言われて仕事が減った工場が幾つもある。
俺は猛ダッシュして、観戦室まで走った。間に合ってくれと願いを込めながら、扉を開けると。
「もう勝ってるぅ!?」
床には袖がギザギザになった、柔道着っぽい物を着た男たちが、悔し涙を流しながら床を叩いている。
因みに袖ギザギザの柔道着は、工場破りの制服だ。それを着て歩けば地域の皆様方から支援を受けさせてもらえる。
「うん、武生さんには、話通してあったから」
「そうじゃん…………俺がやる必要ないじゃん。そろそろ、このワーカーホリックも何とかしなきゃいけないな」
親父ように整備されたドックがあるなら、親父がやればよかった。
…………てか親父丸くなってない? 昔は「俺いない時お前が負けたらこの工場潰れるから」とか脅しをかけて、中学生の夏休みの1/3が潰れていたような気がする。
そんな事を考えていると、流星が笑顔で語りかける。
「久しぶりに温泉丸使ったよ! やっぱり太一は凄いな!」
「あれ、戦闘用じゃねえけど!?」
温泉丸はGCをベースに中学の俺が改造した、お湯放出機。なんかそれで勝っているらしい。
そう言うと、床に転がっている工場破りたちが、恨めしそうに話しかける。
「戦闘用じゃなかったんですか!?」
「旧式のリアクターを最大稼働させて、背負った貯水タンクで強制的に冷却、蒸気の噴出によって光学センサーと熱源の攪乱するって言うコンセプトじゃ?」
「クソ、旧式のリアクターか。パワーは強いが熱排出がネック…………それを逆手に取るとは」
「どこでも温泉入れる様にですけど!?」
全国回っていると、あのワゴン車だけじゃ風呂入れなくなって来たから作った奴ですけど?
因みに、極東では、領土上空ではGCやSEと小型無人機以外は、空を飛んではいけない決まりになっている。ワゴン車に括りつけて全国に行った物だ。
「皆には性能のいい奴を使わせて、残ったのがそれだったんだよ」
「だけどねぇ…………」
戦闘用でもない奴を使って、戦って勝てるあたり、操縦技術に関してこいつも変態だった。
温泉丸を久しぶりに見たら、どことなく粗が見える。
「うわ、久しぶりに見たら、クソブサイクな改造しているな、貯水タンクもなんでこんなに堅牢にしてあるのか分かんねぇし、今だったらボールジョイントにして…………」
「ボールジョイント!? それだ!!」
「な、何か私達のGCに改造案を!!」
俺の独り言で、工場破りたちが一斉に顔を上げる。
「ええ? うーん、上半身は良い、だが、GCならSEの後追いのように
「スコープドック? なんか訳の分からない事は良いからどうぞこちらへ!!」
「うわぁ!? 運ぶな!!」
俺は神輿のように運ばれて、長い間GCの話をしていた。
…………何というか、同年代の整備士と喋っていなかったからか、ものすごい白熱してしまった。出来る事なら学園でも似たような事はしたいものだ。
仕事か趣味か区別も出来ないまま、工場破りたちは帰り、昼食を食べ損ねてしまったのだった。