ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった 作:なんちゃってメカニック
「たいっち、ちょっと話があるんだけど?」
「ん? 良いけどどうした?」
夜中にゼリアが、単品で俺に訪ねて来た。珍しい事もあるもんだ、ピールと2人でセットのイメージが強くて、少し戸惑った。
「あー、相談って言うか何というか?」
言いづらそうにしているゼリアを見て、俺は首を傾げた。まあ年下の頼みを無下にするほど、人間は腐っちゃいない。誘いを快諾して、俺はゼリアに付いて行って屋上に行った。
サシで話すのかという予想と反して、先客が2人。流星とピールが座っていた。
「集まったね~」
「4人集めて何がしたいんだ?」
「決意表明かな~?」
その言葉に疑問を覚えた俺は、流星を見る、表情からして流星も詳細を聞かされていないようだった。
ゼリアに促され、ベンチに座る。ピール、流星、ゼリア、俺、の順番で座る事になった。
「本当ならみんなの前でやりたいけど、ちょっと恥ずかしいし」
「何をするんだ?」
流星がそう聞くと、ゼリアとピールが口をそろえて、感謝を述べた。
「ありがとう」
「ありがとうね~」
「ど、どういたしまして?」
「どういたしまして…………いきなりなんだ?」
俺達の困惑を含んだ返答に、2人はクスクスと笑った。
「みんなには本当に感謝してるの~」
「こんな所で、家族みたいに思える人が出来るとは思わなかったし」
若干重めな話が出て来て、面食らった。しかし、流星は物怖じせずに質問を続ける。
「家族みたいって、思ってくれてるんだ」
「うん、最近はめちゃくちゃな毎日だけど~。どこか安心できるんだよね~」
「これ、ゼッタイみんながいるお蔭っしょ」
その言葉に胸が熱くなる。流星を見ると、真剣な顔をして2人に言い放つ。
「じゃあ、遠慮は無しだ」
2人はその言葉に押し黙る。流星の目を見れば、目の奥に真剣だけじゃない、どこか剣呑さを孕んだ目をして、そんな目のまま流星は2人に話しかける。
「ゼリアとピールは、木星建築作業団に育てられたって言ってた。きっと太一の事を知っていたのも、そういう繋がりがあって知っていたんだろう」
「いや~、たいっちの事は学園でも有名だよ?」
「そうそう、大会用の依頼で木星と繋がりがあるって知ってたし?」
「それだけで、太一の腕がいいなんてことが、分かるはず無いんだ。そして太一、木星建築作業団につながりがあるなら、太一ならテラマキナ学園に留学するか?」
その質問にはNOだ。木星建築作業団はかなりのエリートな上、繋がりがあって、それを家族と呼ぶ位慕っているのなら、俺だったらそこから動こうとは思わない。
その旨を伝えると、流星は追い詰めるように呟く。
「学園に来る特別な理由があった。違うか?」
その言葉に2人は押し黙る。…………流星は普段ポヤポヤしている癖に、なんか妙な所で鋭い。
10秒にも満たない程だったか、3分も過ぎていたか分からないほど、緊張で時間が過ぎ、ピールが口を開く。
「私達、両親の死の真相を知りたいの」
「ピール!?」
「ゼリア、隠し事はナシだよ~」
両親の死の真相か…………確かに、テラマキナ学園は随一の留学生の多さだ。人の生存圏が全星にあり、受け入れがしやすいからだ。
「作業団のみんなは、両親の事を隠してたから、一度離れて情報を集めやすい地球に来た」
「ルーツなんて、みんな知りたいっしょ?」
その言葉の節々に、どうか否定しないでくれと言う、懇願が見える。親を亡くした事が無いからわからないが、自身のルーツが分からないのは、きっとすごくストレスな事なんだろう。
そう思っている間に、流星が重く口を開く。
「…………復讐なら止めない」
「「!?」」
2人は激しく動揺した。俺も動揺して、流星に怒鳴りつける。
「流星!」
「学園に居る間や、俺達と一緒にいる間なら、俺は…………それに付き合うよ。俺は、両親がいなかった時、寂しかったから」
そう言われれば、俺が口出しする事ではなかった。俺の両親はピンピンで、流星の両親はあまり帰ってこない、思えば、流星の呑気な性格もそう言う状態からの、逃避行だったのかもしれない。
「巻き込むのも申し訳ない…………って言ってももう戻れないし?」
「そうだね~、隠しているのも申し訳ないって思っちゃったしね~」
その言葉で、俺の腹も括った。
「分かったよ、俺も協力する。ただし、その復讐で人生を棒に振るなよ? 目覚めが悪いし、適当に痛めつけた後は放っておけ」
「フフフッ『やるな』じゃないのがたいっちらしい」
そうは言われても、俺には復讐を止める力も、復讐をする動機も、復讐を後押しする権利すらない。俺はメカニック、その復讐の先で、最もましな地獄を作るしかない。
そう腹を括って、総括をした。
「まあ、それならこれまでと、方針は変わらない。
「ああ」
「うん」
「そうだね~」
適当に頑張ろうぜと言って、俺はその場を去ろうとしたが、ゼリアに止められる。
「じゃ、気持ちも伝えた事だし、円陣しよーよ」
「そうだな! 太一、ほら」
恥ずかしげもなく、一瞬で肩を組んでいる流星。こういうのちょっと恥ずかしいんだけど?
渋々と俺も円陣に加わり、さっき座っていた順番で円陣を組んだ。
夜空に、決意が吸い込まれていった。