ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった   作:なんちゃってメカニック

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水切り

 俺と流星、メリルとイルシアで散歩していた。どうやら、俺達の思い出の地を巡りたいらしい。

 

「少々驚いた事もありましたが、こう見るとのどかな場所ですわね?」

 

「そうね、ゆっくり時間が流れているみたい」

 

 感想を言っていく2人。少し歩くと、河原の方で人だかりが出来ている。

 

「アレはなんですの?」

 

「んー? あれは水切り会場だな」

 

 俺はそう言うと、2人は首を傾げている。確かに、金星や水星に河川は無い、だから水切りを知らないのも無理はない。

 流星が補足説明を入れてくれた。

 

「平べったい石を回転をかけながら投げると、水面で跳ねるんだよ。それを楽しむ遊びだ」

 

「へえ、ちょっと見て行ってもいい?」

 

 イルシアの言葉に全員が同意した。河川敷から降りて水切り会場まで進む。

 

「人が結構多いですわね」

 

「中学生から人気の遊びで、射出部門と加工部門、ミックス部門の3つに分かれているんだ」

 

 へえ、と呟きながら会場へと近づく2人。近づけば近づくほど、2人の雰囲気が硬直した物になっていく。

 

「なんか、物々しいですわね?」

 

「銃器じゃないの?」

 

 近づけば、男だらけなのに加えて、片手に銃器のような物を持って佇んでいる人達。顔つきも真剣そのもので少し怖い。

 小声で俺達に耳打ちする2人の顔は、どこか青ざめている。

 

「射出部門の人たちだな、アレは回転を掛けて射出する機械だよ」

 

「け、結構真剣ですわね」

 

「冷やかしに来たのは間違いだったかも…………」

 

 そんな事は無い、優しく話かければ心を開いてくれる。

 因みに、射出部門は拾った石を回転して放つ射出機を作り上げ、跳ねた回数や時間を競う部門。

 加工部門は石や合金を跳ねそうな形状に加工して、跳ねた回数や時間を競う部門。

 ミックスはそのどちらもだ。

 俺が矢面に立って、主催者に説明しようとすると、川が大爆発を起こした。

 

「なんですの!?」

 

「川が爆発した!?」

 

「マグネシウム系だね、うん、風流だなぁ」

 

「誤用じゃない!?」

 

 後ろが騒がしいが、続けて主催者に話かけようとして、友達に出会った。

 

貫太郎(かんたろう)じゃねえか、久しぶりだな」

 

「回転同志太一か、こっち戻ってきてたのか?」

 

 変な称号で呼んだ俺と流星の中学時代の級友、貫貫太郎がそこに居た。服を見れば、貫太郎が主催者になって会場を回しているようだ。

 

「ちょっと冷やかして良いか? 金星と水星の友達が来てるんだ」

 

「もちろん! 飛び入り参加も良いぞ? 回転同志が増えるのは喜ばしい事だ!」

 

「ありがと。じゃあ、ちょっと呼んでくるわ」

 

 その場を離れて流星たちと合流した。

 

「参加して良いってさ、せっかくだからやって行けば?」

 

「ちょっと怖いですわね…………」

 

「爆発するのは加工部門だけ、射出部門だったら滅多に爆発はしないよ?」

 

「爆発が絡んでくるのがおかしいって言ってるの」

 

 突っ込みを入れたイルシアを、どうにか宥めながら水切りする事にした。

 俺と流星はコツを教えて、2人は近くの石を投げる。数回の練習で水切り出来るようになった。

 

「6回ですわね」

 

「7回ね! でも、どうしてこれがこんなに人気なの?」

 

 イルシアの疑問に、俺は無言で指をさす。

 

「回転機関良好、角度調整良好、システムオールグリーン。…………発射ぁ!!」

 

 射出機から物凄い勢いで回転しながら飛んでいく石。もはや、回数なんかではなく、川の水面を一直線に切っていく。

 

「どちらかと言えばメカニックの分野だからな、中学生から出来る機械工学分野の登竜門なんだよ」

 

「なるほど…………」

 

 水切りの原理は大気圏突入時などの宇宙分野で活用されている。それも、大気が薄い水星や金星ではなじみがない。

 水切りの光景を見て、頷きながらイルシアは呟いた。

 

「こう見ると極東の人達って、遊びながら技術を磨いてるんだね」

 

「遊び?」

 

「アッハイ、スミマセン」

 

 遊びと言う単語に全員の視線が刺さり、イルシアは謝った。あぶねー、事によっては射出機がこっちに向く所だった。

 そしてその視線を遮るように、流星が割って入る。

 

「それにメカニックだけじゃないぞ? 要は流体と固体の衝突現象なんだから、ビームサーベルをどういう風に当てるとダメージが行きやすくなるのか? って言う所にも繋がってくる」

 

「基本と応用ですか…………奥が深いですわね」

 

 しばらく見学してその場は去った。どうにも食指は動かなかったようで、2人は肩を落としながら歩いている。

 

「そういえば、向こう岸にでっかいクレーターがあったけど、あれも水切り?」

 

 あ、その話題は不味い。

 

「あれ? うん、そう。太一が中学生の時に調整ミスってああなっちゃった」

 

「恥ずかしい…………」

 

「恐ろしいですわよ!?」

 

 黒歴史を掘り起こされながらも、散歩を切り上げて家に帰った。

 

「ただいまー、あ?」

 

「お帰りなsきゃあ!」

 

 アリアが迎えに来てくれた玄関には、The.飲んだくれの女性が転がっていた。

 

「彗星さん?」

 

「母さん!?」

 

 俺と流星が急いで駆け寄り介抱しようとした。よく見れば酒瓶を抱きしめながら眠っている。

 

「ん? おお、りゅーせーとたいちだー」

 

 と言って寝ぼけ眼で、ガバッと起き上がり俺と流星を抱きしめる彗星さん。

 

「お前らひさしぶりだなー! きょねん帰ってこなくて寂しかったんだぞー!?」

 

「くるしいっす」

 

 そう言いながらも、彗星さんの抱きしめる腕にさらに力が入る

 

「む? んあんだ? 見知らぬおんなー? 2人の彼女かぁ?」

 

「流星、もう早くこの酔っ払いを部屋にぶち込もう」

 

 この酔っ払いは話せない、そう判断して拘束から逃れて、2人で抱えて回れ右。

 

「もー1人ぃ? どっちの彼女だー?」

 

「はやーく!! 話がややこしくなる前に!!」

 

「わかった!!」

 

 嵐のように連れ去る男2人。俺の背後から声が聞こえてきた。

 

「アルバムの写真と全く変わりませんでしたわね」

 

「美人だったね」

 

 どうやら、3人の方にも説明をしなければならない。なんか胃が痛くなってくるのを感じた。

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