ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった   作:なんちゃってメカニック

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Taboo(タブー)

 俺は親父と一緒にシミュレーターの調整をしていた。とは言っても中にデータをぶち込むだけ。俺は全員の情報は持っている為、それをぶち込むだけの簡単なお仕事。

 

「やっぱこうなったか」

 

「そう思うんだったら止めてくれよ親父」

 

 親父と他愛無い話をしながら、コンソールを叩く。

 

「いいや? ご飯食べるの待ったから辛抱強いほうだ」

 

「比較がおかしい」

 

 笑いながら俺の言葉を無視して作業を進めている。

 地井製作所にあるのは旧式のシミュレーターで、戦場で絆を深められそうな筐体をしている。

 

「しっかし、こいつも年季が入って来たな」

 

「中身が無事ならいいだろ? Gの再現が無いだけで、まだまだ使えるんだし」

 

「中身の心配はしてねえよ、整備の事に関しちゃまだ親父を超えられないしな」

 

「でへへへへへ」

 

「出来ればもっとまともに喜んでください」

 

 無駄話が終わったと同時に、機体のインストールが終わり、皆に声をかけて集合させた。

 

「こちらでルールを纏めました、1対6の変則タイマン戦、場所は指定宙域MG329でお願いします」

 

「分かった、用意する」

 

 アリアの指定通りに俺はコンソールを叩いて、条件の変更をした。

 コルデーの持っている土星機(シャニヌス)のデータは、まだ手に入っておらず、ネルが入ればたぶんウラヌススパークで終わるからだと思う。

 

「よーし! 纏めてかかってこい!!」

 

 その言葉で、彗星さんとオウムアムアの戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 始まってすぐ、彗星と会敵したオウムアムア。彗星の駆る機体はスターゲイザー、地球機(ゲイザー)のバリエーションの一つ、軽量で素早い動きに特化した地球機。

 会敵の後に、流星が叫ぶように言い放つ。

 

「よそ見するなよ! まずは動いて攪乱だ!」

 

 その言葉を言い終わるか終わらないかで、全員がスラスターを吹かす。そして、流星以外の全員が似たような事を思う。

 

()()()()()

 

 困惑の中、振り払うように、戦闘を続け──────。

 

 

 

 

 

 

 戦闘開始から25分後。流星と彗星さん以外の全員が不思議な顔をして、筐体から出て来た。

 

「お嬢ちゃんたち強いな! 初めて彗星さんと戦ったにしてはもった方だよ!!」

 

「え、ええ」

 

 メリルが困惑を持って返答した。俺も続けて撃破時の事を褒めてみる。

 

「なんかお前達強くなったな?」

 

「うん、だけど…………」

 

 何処か口ごもる全員だった。そして、イルシアが俺に質問する。

 

「太一? SEは本当に生徒会戦と同じ設定?」

 

「ああ、そうだけど?」

 

 そう言われて、コンソールを確認するが、生徒会戦から一切変わっていない。なんでだ? と首を捻っていると、親父が口を開いた。

 

「極東マジックだな」

 

「ふざけている場合じゃ」

 

「いいや? 稀によくあるんだよ」

 

 そう言うと、親父はつらつらと説明した。

 

 曰く、GCに乗るとその反応速度の遅さから、予測が必須であるそうで。SEに慣れ親しんでいる奴ほど、SEからGCの乗り換えに苦戦するが、それを乗り越えた先で起こるのが普通とは違う予測。

 感覚としては、物理演算エンジンがそのまま頭に入っているような感覚に陥るらしい。

 

 加えて、極東の環境は旧世紀から、あまり変わっていない。自然、建物、人や動物が雑多に入り組んでいる環境は、予測を加速させるようだ。

 

「にわかには信じがたいが、遅すぎて動かし難いと思ったのは久しぶりだ」

 

「うん、それになんかメンタル面も安定しているような…………」

 

「めっちゃメンタリオンやっただろ? あれだな。ブラフにハッタリのやり方だったり、熱くなりやすい奴だったり冷静すぎる奴を戦いに最適化する事がある」

 

 メンタリオンにそんな効果が!?

 

「…………考えてみれば、オウムアムアとして一番最初に戦った時、流星さんは広域回線使ってブラフ張ってましたわね?」

 

「そんな事してたの!?」

「イメージ沸かないね~?」

 

 メリルの言葉に、ゼリアとピールが驚きの声を上げる。なんだか、俺は近くに居たから、流星の事を良く見えていなかったのかも。

 

「そう言われれば釣りも、強さの一因だったりするのかな? 妙に視覚外の情報が取れるって言うか?」

 

 コイツら、遊んでいただけで強くなっているって事か!?

 強さへの執念、そして、それだけこの極東旅行を楽しんでもらった事に少し涙した。

 

「流星と彗星さんの一騎打ちは、まだ終わって無い。見ようぜ? 得るもんは一杯ある」

 

 15分後、彗星さんの勝利で幕を閉じた。

 

「まだ勝てないか…………」

 

「流星! なかなかの腕になったね!」

 

 親子水入らずで話している中で、俺は親父に話かける。もしかしたら、今のこいつらだったら、アレを使えるかもしれない。

 

「親父、Taboo(タブー)をSEに搭載してもいいか?」

 

「こんだけやれるなら、良いんじゃねえか?」

 

 親父の言質は取った、なら、俺はやるしかない。流星に声をかける。

 

「流星、許可が出たTaboo(タブー)を入れるぞ」

 

「マジで!? 入れよう! 今すぐ!!」

 

 せめてこの2か月間の休暇が終わってからにしようぜ…………。肩を落としながらそう伝えると、横からベローナが俺に質問する。

 

「タブー? SEに何をする気だ?」

 

TaitiBooster(太一ブースター)、略してTaboo(タブー)。感情に呼応して機体の限界を引き上げる、俺のオリジナルのシステムだ」

 

 これは、もう機体に人間が付いてこいと言わんばかりのシステム。この休暇が終わった後が楽しみだという様にわざとらしくにっこりと笑うと、流星を除いた全員の顔が引きつっていた。

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