ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった 作:なんちゃってメカニック
解散したその足で、俺はオウムアムアに割り振られたドックに向かう事にした。
実のところ、昨日の時点で様子を見て置けばよかったのだが、疲れて普通に寝てしまった。
ドックへ入ると、SE達が理路整然と並んでいる。…………久しぶりに見たら、大きさもさることながら、ロマンを感じる。んほぉ~、たまんねぇ~。
「ニヤケ面して何してんのさ?」
「んおっ!? スミスパイセンじゃないっすか!!」
いきなり視界外から話かけられ、その声の主を見ると、1年の時世話になったスミス先輩だった。
「こっちは会いたく無かったよ!」
「そんな事言わずに~、肩でも揉みますか? やっぱいいや」
「何がしたいんだよ!?」
このように打てば響く最高の先輩だ。最近、俺ボケてもスルーされるようになったから、なんか新鮮だ。
「それはそうと、どうしてこんな所に?」
「誰が音頭取って直したと思ってるんだ? 整備記録の引継ぎだよ」
そう言って情報媒体を手渡してくれたスミスパイセン。物凄い律儀だ。
「別に言ってくれたら取りに行ってましたよ?」
「はぁ…………どこで情報が洩れるか分かったもんじゃないんだから、こっちの方が安全だ」
情報漏洩を危惧して、手渡してくれたみたいだ。ありがてぇありがてぇ。
「口頭でも伝えておくよ、サイゴウゲイザーは完璧な修理は無理だったから、改造以外の部分を取り換えた」
「ああ、ミーシャが有料ソースとしてアップロードしてるみたいですよ?」
「…………先に言え」
怒りを含んだ両目が俺を見ていた。
「次に
「あら? シンデレラ? ヘルメスの脚部バーニアが焦げ付いておりましてよ?」
「ほぼつっただろうがよ、え────っ!?」
青筋立てたスミスパイセンが俺の胸倉をつかもうとするが、身長が届かず腹の辺りの服を掴んでいた。
掴まれながら俺は見た情報を、スミス先輩に伝える。
「後は、
「分かってんだったら説明さすなや」
いやぁ、と頭をポリポリとかいて適当にごまかした。なんだか面倒見て貰ってたから、結構甘えてしまうな。
俺はお礼の言葉を言った。
「ありがとうございます」
「素直に礼を言うな、調子崩れちゃうだろ?」
「そんな事言われましても、あ、そうだ、これまでの整備記録とか要ります?」
「渡すな渡すなそんなもん!!
そう言われてもピンと来なかった。別に、他の人の整備記録貰えるんだったら貰うけど、何が生命線なんだろうか?
「文化祭も近いって言うのに、なにしてんのさ?」
「あ、文化祭でちょっと相談したい事あるんですけど、良いですか?」
「藪から棒に、んで何?」
めちゃめちゃ面倒見のいい先輩で良かったと、俺は泣きそうになりながら、かくかくしかじかと、オウムアムアの問題点を話した。
「贅沢な悩みだねぇ…………あ、そうか。マジで喫茶店はナイスアイディアかも?」
「マジっすか?」
「特に君の所ではね」
そう言うと、スミス先輩は説明し始める。
「食べ物系の出店って、数が少なくてね、特に休憩に一苦労するんだよ」
「休憩所とかあったでしょ? それでいいんじゃないっすか?」
1年の頃の事を思い出して、そう質問した。
「同じ考えの奴がわんさか居るし、混むから疲れが取れなくてね。しかし、それだけじゃないよ、
「横って言っても、ミーシャは結構頑張ってますよ? 企業とか政府依頼とかも顔が利きますし…………」
「学園内って言っただろ? 君たちの場合は人数が少ないからね、
確かに、在籍している
どうしようも無くなった時に、親父に依頼を出すように頼むつもりだが、金を使わないならそれに越したことはない。
「ただ、難しい事もある。君らの場合、
「うーん、なるほどなぁ。めちゃめちゃ参考になりました、ありがとうございます」
「ああ、別に良いんだよ。それに、ね?」
と言って片手をひょいひょいと動かすスミス先輩。くれってか?
「どうぞ! 整備記録です!」
「冗談だよ!? 実は喉から手が出る程欲しいけど、後輩からもらう程困窮してないよ」
「ものすごい本音が出ましたね」
欲しい物ではあるのか…………。
大きく咳払いをして、スミス先輩が仕切りなおした。
「まあ、今回の整備は僕たちにとっても有意義な物だったし、それ以上に貰うのも悪いって言うだけの話。それじゃ、またどっかで」
「相談ありがとうございました!!」
帰ろうとする背中に向けて大きな声で礼を言った。スミス先輩は、背中越しに手を振ってこういった。
「会長じゃないけど、君も文化祭楽しみなよ? 僕も君たちの出店、結構楽しみにしてるんだからさ」
そう言ってドックから姿を消した。
めちゃめちゃいい先輩だ…………。それだけに、本当に
「ふんふんふんふんふんふんふんふん!!!」
「お前の大胸筋、めちゃくちゃ色っぽいな…………」
「やっぱり性欲って爆発なんだよ」
「おい! 洗脳アプリが開発出来たぞ!!」
「試作ミサイルがそっち行ったぞ!! 早く回収しろ! 退学になる前に!!」
「土星アンドロイド分解させてくれ! 頼む! もう辛抱たまらん!!」
「誰か助けて! 早くスパーリングしないとぉ! 俺の血がたぎっちゃうぅぅ!!」
「あの喧嘩、どっちが勝つか賭けません?」
「俺の部屋ゲーミングにしたやつは誰だぁ!!」
「もしかしたら、明日、俺の部屋が爆発するかもしれないから気を付けて」
寮に帰ったら、怒声と罵声とトトカルチョ。
この中で、まともな奴を探して、それを入れるのか? …………やっぱりまともじゃないか俺。