ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった   作:なんちゃってメカニック

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星壁《ほしかべ》 真流流《まるる》

 オウムアムアの隊室で、太一を除いた全員が、神妙な面持ちで集合している。

 

「太一と連絡が取れないんだが、誰か連絡取れた奴は居るか?」

 

「全く持って音沙汰がありませんわ」

 

 ミーティングから2日間、太一と連絡が取れなかったのである。

 その間、生徒会との連絡や、その他こまごまとした雑務を入れて糊口を凌いだのだが、やはり、太一が居なければ動けない現状からは変わっていなかった。

 

 脳内で嫌な想像が広がっていく。数が減ったとは言え、ハニトラ式片道切符ハネムーンと言う最悪の状況も視野に入れていた。

 それを払拭するかのように、ミーシャが口を開く。

 

「そもそも、寮から出て来てないようでな」

 

「この時期の整備科(メカニック)寮は近づきたくないですからね。しばらく、とはいっても、これ以上の活動となるとシミュレーター模擬戦しか出来ませんね」

 

 アリアの言葉に全員が俯く。2日とはいえ、唯一のメカニックが居なくなると、満足に活動が出来ない物かと実感してしまった。

 実際、太一のメカニックの腕はピカイチ。性格の方も、減点方式で評価すればドブ、だが加点方式で評価すれば悪くないくらいには収まっている。

 そんな優秀なメカニックなど、どの星進隊(プロトン)に留まらず、企業、政府すら欲しがる故に、強引な手法で引き抜くことだってあり得ない話ではないのだ。

 

 空元気を出しながらコルデーが、悪い流れを断ち切るように声を上げた。

 

「いつ太一が帰ってきても良いように準備だけはばっちりっスよ!」

 

「そうだね、私も腕が落ちないように頑張らなくちゃ!」

 

 イルシアも呼応するように声を張り上げ、纏めるように流星も口を開く。

 

「そうだな、それに最悪の場合、俺が整備科(メカニック)寮に行ってくるよ」

 

「もう2日まで連絡が付かなかったら、よろしく頼んだ流星」

 

 そう言って、今日の所は解散の流れになり、隊室を出ようとして扉を開ける。

 

「うわっ!? たいっちじゃん!!」

「居たなら来てくれて良いのに~。一体どうしたの~?」

 

「う、うっす」

 

 開けた先には太一が所在なさげに立っていた。その姿を見て、流星が喜びながらゼリアとピールをかき分けて、目の前に立った。

 

「おお! 待ってたよ! どうしたんだ太一?」

 

「あー、いやー。あのその、ちょっとばかり入りたくなかったというか…………」

 

 流星を前にして太一は、口をもごもごと動かし、視線は泳いでいる。そんな太一を喜びのままに、無理やり隊室に引き込んでソファーに座らせた。ついでにネルも太一の膝に座った。

 何も言わず、取り囲むように全員の視線が太一に雪崩れ込んだ。それに、耐えきれなくなったかのように、明るい口調で話し始めた。

 

「良いニュースと、悪いニュースがある。どっちから聞きたい?」

 

「なんで口調がアメリカン? 良いニュースからでお願い」

 

 口癖が感染った。そう呟きながら太一が口を開く。

 

Taboo(タブー)がネルと土星機(シャニヌス)以外の機体に搭載出来て、専用のヘルメットも用意出来た」

 

「おお! アレカッコいいんだよな~」

 

 流星の言葉を遮るように、太一は話を続ける。

 

「それに、生徒会整備科(メカニック)から整備を引き継いだ。3時間くれれば、土星機(シャニヌス)以外の全機発進出来る状態だ。ハードの改造にはもう少し時間がかかるがね」

 

「ベストタイミングだな、でもどうして?」

 

 ベローナの言葉に、これからが悪いニュースだ。と前置きをして、つらつらと語り始めた。

 

整備科(メカニック)の連中に捕まってな、Tabooの情報を聞かれてしまったんだ」

 

「何か問題でも? 別に、技術流出なら何とかできますよ?」

 

 アリアがそう語るが、それを首を横に振って否定する。

 

「前に、感情に応じて機体限界を引き上げるって言っただろ? メンタリオンの技術を転用してるから、パイロットスーツを改造しなくちゃいけなくてな」

 

「へえ、まあ問題なさそうなら、早くシミュレーター回そうぜ!!」

 

 流星の言葉すら無視して、続けて話を始める太一。

 

「そのパイロットスーツの改造が、他の整備科(メカニック)にバレちまってな。なんやかんやあって、流星が女装する事になってしまった」

 

 

 

「ああ、そんな事か、流星が女装する事になるなんて、問題ないな! 全く持って問題なし! 俺が女装するなんて…………なんで!!?? 

 

 

 

 流星が叫ぶと同時にお出しされた、ミニスカートタイプのメイド服。よく見れば、生足の部分が肌色ソックスになっており、脚部全体をカバーしている。

 騒ぐ流星を他所に、説明を続ける太一。

 

「従来のパイロットスーツは、耐Gの為にボディラインが浮き出るピッチリタイプだったが、形状記憶合金の応用と、自立思考系のAIを両立する事がTabooによって出来てな、降りればフリフリ、乗ればピッチリして、パイロットスーツと同様の効果を得られるようにした」

 

「凄い技術ですわ!! ボディライン出るのが嫌なパイロットもいらっしゃいますのよ!? 太一さん! あなたは天才ですわ!!」

 

「どうでもいいけど! なんで俺が女装する事になったの!?」

 

 メリルが驚きの声を上げて、流星が抗議する。太一は目が泳いだままだった。

 

「パイロットスーツの上から服を着ようとも、コクピット内の干渉が怖くてな…………。それが改善できるとなれば、かなりの革命だ。太一は凄いな」

 

「だからなんで俺が女装する事になったの!?」

 

 ベローナが噛みしめるように技術をほめたたえ、流星が抗議する。太一は下手くそな口笛を吹いていた。

 

「大隊長ォ!! 軍服は!! 軍服はあるのですか!!??」

「提言、早急に私達の軍服を作るべきです」

 

「ゼリアにピールまで食いついた!? どうして俺が女装しなきゃいけないんだよ!!」

 

 軍服に並々ならぬ熱意を込めた2人、そして三度抗議する流星。太一は手の爪を弄っている。

 

「うわー、私はどんなのにしようかな?」

 

「みんな聞いてよ…………どうして俺が女装するの?」

 

 イルシアが目を輝かせながら、パイロットスーツのデザインを考えて、流星は力なく抗議した。太一はようやく、申し訳なさそうな顔をしながら謝った。

 

「パイロットスーツ作る時に、元になるサイズを流星ので作っちゃったんだよ…………」

 

「それがどうしてミニスカメイドになるんだよ!!」

 

「流星には、Taboo搭載したSEをいち早く乗って欲しくて…………ごめんなさい」

 

 妙にしおらしく謝る太一。流星が出した結論は…………。

 

 

 

 

 

 

 

 後日、オウムアムアが、模擬戦を行った。模擬戦相手を探していただけの広域依頼であるが…………。

 

 

 

 

「やってやろうじゃねえかよこの野郎! ドスケベエロメイド! 星壁(ほしかべ) 真流流(まるる)出撃()るぞ!!」

 

 

 

 

 変態が変態機動をしながら編隊を蹂躙する、そんな大変な地獄絵図が出来上がってしまったのだった。




TSではありません。女装です。



おまけ。

「そういえば、あれ作っちゃった理由は聞いたけど、太一なら別のパイロットスーツ出来たんじゃない?」

「いや、整備科(メカニック)寮にその時居た全員に協力してもらって作ったから、約束破るのはなんか違うって言うか?」

「約束?」

「最初は間違って、流星のサイズで作っちゃったのは、本当なんだが」

「うっかりだね」

「それを口滑らせて言っちゃったら、整備科(メカニック)の連中、『絶対に流星に着させろ』…………ってさ」

「文化祭だけじゃなく、もう整備科(メカニック)寮には近づかないよ…………」
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