ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった 作:なんちゃってメカニック
文化祭の出し物が喫茶店に決まった次の日。スマホが鳴り響き、寝ぼけ眼で画面を見ると、流星の文字。いきなりどうしたんだろうかと思いながら、着信に出る。
「おはよ、どうした?」
「太一、そろそろ依頼の時間だぞ?」
「げ、完全に忘れてた!」
ミーティングの後、少しSEを弄りたくてあの後すぐに隊室を出た為流星が決めた依頼の内容が、全体連絡で送られて来たのを忘れて居た。
いそいそと服を着替えながら、肩と耳でスマホを支えて通話を続けると、流星が笑いながら俺を宥めた。
「仕方ないよ、結構急に決まった事だし、実際に依頼人を見たのは俺とミーシャだけだ。記憶に残らなくても仕方ない」
「そういえば依頼って何だっけ?」
「商船デブリ帯突破護衛だ、そこまで忘れちゃったのか?」
「わりわり」
流星の言葉に生返事をしながら、その依頼の内容を思い出す。
確か、Cランクから初めて受注できるような依頼で、言葉通り商船のデブリ帯突破を護衛する依頼だ。何から護衛するのかと言えば、デブリとの衝突を避けたり、どの星でも来れる宇宙領域、公宙のデブリ帯だと、他惑星の企業や政府の任務に巻き込まれる可能性がある。
何故そんな物を学生に依頼するのかと言えば、学生は全惑星の政府組織から干渉されない事になっているからだ。政府組織から干渉されないだけで、企業からは間接的に干渉されたりするから、そこら辺のトラブルの対処が出来る、と言う意味でCランクが足切りラインだ。
「てかいつの間にCランクになったんだ?」
「夏休み中の審査でなったらしい」
「ああ、なら記憶にないのは当然だわ」
本当に遊ぶのに忙しかったからな、まあ、でも今はいい思い出だ。
「選出メンバーは?」
「俺とイルシアとベローナ」
「おっけ、俺も準備できたしボチボチそっちに行くわ。あ、そうそう、流星のヘルメットの方にTabooシステムを簡易版とは言え仕込んで置いた」
「マジで!? ありがとう! …………最初っからそれ出しとけばよかったじゃn」
俺は通話を切って、寮から飛び出した。
時間が飛んで、既に依頼が始まっている。
Taboo改造に手間取って、純正の
「連携の練度も上がったな」
「夏休み中、彗星さんにしごかれましたもの、あれぐらい出来て当然ですわ」
俺の感想に、メリルが遠い目をしながらそういった。このロボット全盛時代に、テストパイロットで飯を食べている彗星さんの腕は伊達じゃない。
「そういえば、護衛対象は何運んでるんだろうな?」
「そう言うのは、相手から言わない限り詮索しないのがベターだ」
それもそうかと、納得してモニターを見続けた。
かなりの操作技術の上昇で、危なげなく依頼を遂行する3人。もう少ししたら、デブリ帯から脱出できそうだ。
そんな中、依頼元の商船から通信が入った。
「こちら、商船コロンボ。見事な腕前だ、オウムアムアに依頼して良かった」
「こちらこそ、いい経験を積めました」
商船のオペレーターの言葉を笑顔で返す流星。
「これより、商船コロンボはデブリ宙域から離脱する。…………だまして悪いが、仕事なんでな」
「え゛?」
終わりを告げる言葉が出て来たと思ったら、有名どころのロボゲーを嗜んでいたら絶対に耳にするセリフが、何のカッコつけも無く通信で言われた事に驚愕した。
そして、アリアが悲鳴のように叫ぶ。
「商船コロンボからSE反応! これは、
「
俺の言葉を無視して、アリアが帰投する様に促すが、流星が拒否する。
「まだイルシアが居る!」
「行って!」
「でも!」
そう言いながらも、流星は機体を切り返して母艦の方へ加速するが、
目の前は戦場になっているのにも関わらず、広域通信でこちらに通告をしている。
「こちら水星所属、
「嘘、だろ? こんなことがまかり通っていいはずがない…………」
ミーシャが顔を引きつらせながらそう呟いて、早口で説明するのを要約すると。
学園所属の
それに、ここは公宙。全部の惑星が自由に行き来でき、太陽系法以外の法律が存在しない場所である。
最悪の場合、水星で事故として処理されれば、奴らはお咎め無しで俺達を殺しに来るかもしれない。
「アリア、ミーシャ、俺は戦って良いのか!?」
「無茶ですよ!」
「良いんだな! ネル、母艦にウォール頼む!! それに太一! 120!!」
そう言って、背中越しに射撃しながら母艦へと近づく流星。意外と当たりかけているが、向こうの腕もいいようで紙一重で躱している。120はTabooシステムのモニタリングをして、メンタルゲージ120まで上昇したら伝えろと言っているらしい。
俺は何も言わずにTabooのモニターを取り出した。
「無茶でもなんでもやるよ! 仲間を売るような真似をするくらいなら!!」
「ッ!? 総員出撃!! 迎撃しましょう!!」
アリアの号令でパイロット組全員、無言でドックへと走って行った。
「ん?」
俺は全員の背中を見送った、はずだったが、その中にメリルだけ居ない。そもそも、俺が見た瞬間には居なかったのか?
「あれ? 俺がジョークで持ってきたメイド服は?」
「今何言ってるんだ!? そんな状況じゃない事位分かってるだろう!?」
ミーシャは俺を怒って、一人で考え事をしていた。この局面を乗り越えられるか、どうやって軟着地させるか、そして、最悪の場合の想定から、最高の想定まで脳内でシミュレーションしているようだ。
Tabooモニターを見ながら、俺は、猛烈に嫌な予感を感じ取っていた。