ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった 作:なんちゃってメカニック
水星学園襲撃事件から1日。俺はホクホクで働いていた。
敗戦処理的な
「金食い虫がしばらくタダで修理出来るぞ」
そのことは本当に大きい。
嘘です。ケチりながら使えば10カ月って所か。
「しかし、Taboo使った後は損耗が激しいな」
リミッターを解除する関係上、どうしても動力系や関節系にガタが来る。しばらくは使わないでいてもらうか?
『Tabooは使うなよ!』
『了解! Taboo touch up!!』
突如としてあふれた存在しない記憶。あ、無理だこれ。
リミッター解除幅を狭くすればいいか。なんて考えながら作業をしていると、ドックの扉が開かれた。
「よっ。太一、今ちょっと良いか?」
「お邪魔します」
開いた扉の前に居たのは、流星とアリアだった。
「流星にアリア? 珍しい組み合わせだな」
「俺か?」
「んな訳ない」
軽くボケた流星に突っ込みを入れる。流星はともかく、アリアに関してはオペレーターだから、あまりドックに顔を出さなかった。
「それが、最近ハッキングを受けまして」
「マジ? だ、大丈夫なのか!?」
それが本当なら一大事だ。この時代に電子攻撃を受けた場合、最も厄介なのがその数。AIを使ってプログラムを走らせるから、多種多様の攻撃をうけることになる。
S、A、Bくらいの高ランクな
「いえ、問題は無かった、いやあったんですが…………」
「どういう事だ?」
アリアは視線を反らしながら俺の質問に答えない。何か言いにくい事でもあるのだろうか?
「つい、
「凄いよな!」
「ついじゃねえよ!? すごいじゃねえよ!? いや、すげえけど!!」
なんかとんでもない事をしているような気がする。
「ぎゃ、逆に考えれば、これでしばらくは電子攻撃は来ないでしょうし?」
どれだけボコボコにハッキングしたんだ!? アリアの言葉に割り込むように流星が言う。
「それで太一に相談しに来たって訳だ」
俺は流星の一言で納得した。
コードには癖がある。ハッカーとしてのプログラムと、システムエンジニアのプログラムには大きな差異がある。それはどっちが優れているという訳でもなく、同じ刃物でも、刀と包丁には違いがあるように用法の違いだ。優劣が付くわけじゃない。
とどのつまり、攻撃用のプログラムじゃなく、防衛用のプログラムを走らせるコンピューターが欲しいという訳だ。
「なるほどな、うーんそうなると結構金がかかりそう?」
「ミーシャにはもう許可は取ってある」
「手が早いなオイ」
それより俺の許可を取ってくれと言いたいが、オウムアムアの財布を握っているのは奴だ。うっすと言うしかない。
ただ、それで言うならもう少し別の選択肢がある。
「ちょっとアリアに頑張ってもらう必要があるが、阿修羅ウーマンの中身をそのまま転用すれば良いんじゃないか?」
「あ、その手がありましたね」
確かコイツは超精密機器であり、バカみたいな演算能力を持つSEを生徒会戦でハッキングした事もある。それなら、中身を全部消去してそのままデカイコンピューターとして使えば、全部解決じゃないか? 中身引っこ抜いて冷却装置でも付けとけばスペックは十分すぎる程あるし。
「なんというか強引と言うか…………」
「
俺がそう言っても、なんか流星はぶつぶつと言っている。おそらく、カッコ良くない形でSEが作られるのが心に引っかかっているんだろう。
「ああ、後もう一つ。ミーシャが今回の件で、文化祭の時人手が足りなくなるかもしれないって言ってた」
「マジ? どうしよっての?」
「それも案だせってさ」
ミーシャさんは無茶おっしゃる。
そうは言っても案は出てこなかったので、お引き取り願う事にした。
俺のタスクとしてはTaboo用の改造パイロットスーツの製作と、SEのパソコン化改造だった。
あの後しばらく経って、作業にもひと段落着いた所で、俺は寝るために整備科寮へと帰った。
俺とホーモットの部屋に入ると、ホーモットが頭を抱えていた。
「どうしたんだ?」
「ほんの興味本位でお前の所の
「お前だったんかい!!」
俺は声を荒げて突っ込みを入れた、しかし、ホーモットは反論した。
「いや違う! ちょっとサイバー攻撃されてるの見たから興味本位だったんだ! ついでに研究内容も全部流出したんだぞ!?」
「それがついでなのかよ!?」
性欲に支配された、どうしようも無い男だった。だが、一つ、思いついた事がある。
「あ、じゃあ、自立思考システム改修がオープンソースになったって事か」
「俺の研究で何する気だよ!?」
胸倉をつかみかかるホーモット。だが、自立思考出来るんだったら接客位は出来ても良い。足りない所はアリアにでも改修を頼んでみるか。
「いや、少しばかり文化祭の時の人手をね…………」
「人手? お前まさか自立思考アンドロイドでも作る気なのか!?」
「ウケ良さそうだからガイノイドにするけど?」
「この変態め!! 普通アンドロイドだろうが!!」
何で俺が変態にされなきゃいけないのか? これが良く分からない。
「絶対にアンドロイドだ!!」
ホーモットが叫ぶ。押しの強さに折れて、分かった分かった、と言って返した。個人的には人手になれば何でもいいし、性別なんか些事だ。
「分かってるじゃないか」
すったもんだしながら、俺は流出したと言っていたデータを見る。
超絶ご丁寧に、全てがオープンソースになっている。ホーモットが言った通り、ホーモットだけじゃなく、別の複数の企業がオウムアムアのハッキングに参加していたようだ。
この手の企業は、ハッキングしておきながら「脆弱でしょう? 当社であればサイバーセキュリティは万全です」とかしてくるからな…………。
そんな事を思いながらデータの羅列を見ていると、ホーモットの物を発見した。
「ほーん、名だたる企業がずらりと…………。あ、ホーモットの奴これか」
「あっ」
静止の声を聴かず、俺はホーモットのファイルを開いてしまった。
「もうヤダこの学園」
深淵を覗く時、深淵は隣に居た。