ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった   作:なんちゃってメカニック

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星進隊(プロトン)の持つ能力によってS・A・B・C・D・E・Fでランク付けされている。

 一悶着あった上で俺達は地球に戻り、デブリ回収スペースに集まる事になった。

 純粋に気になるし、そもそもただの回収作業で攻撃される事なんて稀だ。それ以上に、目の前に吊り下げられている物が気になって仕方ない。

 

「これが金星機マクスウェルか。実物を見るのは初めてだ」

 

「かっこいいな!」

 

 金星機(マクスウェル)は単独で人型をしているSEの中でもかなりの小型機で、カプセル錠剤のような形の胴体部に短い手足が付いているのが特徴だ。

 

 不格好ながらも運動性は極めて高く、機体単体の汎用性という意味では完成されたSEだ。

 

「しかし、記憶で見た物よりスラっとしてるな?」

 

「すごかったよ、機体後部に着いたと思ったらグルっとこっちに照準合わせて来たし」

 

 長く改造された手足がデータにある金星機(マクスウェル)以上に無茶苦茶な汎用性を高めているのだろうか?

 

「そんな事より、どうしますか? 中にパイロットが居る様ですが…………」

 

「出てきてくれればなんで攻撃したのか分かると思うんだけど」

 

「はい」

 

 その会話を聞いていたのか、ベストなタイミングで金星機(マクスウェル)のコクピットが開いた。

 

「あぶない!」

 

 吊り下げられた状態が悪く、コクピットが開いた瞬間中に居たパイロットが落ちた。地面に着く前に間一髪で流星がパイロットを受け止めた。

 

「良かった、ケガはない?」

 

 流星の言葉にパイロットは流星に拳銃のような物を突き付けた。

 

「全員動かないで!」

 

 部屋に緊張が走った。クソ、平和だと思ったらやっぱりここはロボゲー世界か!?

 

「そこの女! コンソールを置いて!」

 

「はい…………置きました」

 

 やっばい、どうしようコレ。原作知識があったらどうにか出来たんだろうけど。

 

「企業からの差し金よね!? 依頼された企業名を言いなさい!」

 

 よく見ると若い女だ、俺らと同年代じゃないのか?

 

「違いますけど?」

 

「パイロットは黙ってて!」

 

「そうだぞー、こういう状況で流星がしゃべったらろくな事にならんぞー」

 

「お前もだろ!」

 

 しまった、そうか。俺もどうやら興奮しているようだ。

 

星進隊(プロトン)ならリーダーはどこ!?」

 

「フン、そこの人質は何を隠そう俺たちのリーダーだ」

 

「パイロットが!? じゃなくて目的は!?」

 

「デブリ回収です」

 

「学生の技量じゃないでしょ!?」

 

 うーむ、話を総合するとこの女は企業に追われていて、俺達を追手だと勘違いしているらしい。

 

「それに地球圏で水星機(ヘルメス)を持っている星進隊(プロトン)がデブリ回収なんてする訳ないでしょ!」

 

「成り行きで…………」

 

「どんな成り行きよ!」

 

 やっべ、どんどんと話がややこしくなっている。

 すると、見かねたのかアリアが話しかける。

 

「とりあえず、私達がテラマキナ学園の星進隊(プロトン)であるという事を認めて貰わないと次の話が出来ません。学園のデブリ回収規定により、貴女の身柄は私達が保障しますのでどうか一度落ち着いてください」

 

「信じられる訳が無いでしょ!!」

 

 女はさらにヒステリックになってもう手が付けられない。仕方ない、ここは俺が。

 

「そうだ、とりあえず、まずは落ち着くんだ」

 

「だからおちつけるわk、何で上半身脱いでんの!?」

 

 整備科(メカニック)の必須技能、早脱ぎ。これを習得しなければ整備科(メカニック)は風呂に入れない。

 先ほどとは別の動揺がこの空間に流れる。

 

 ここで俺はさらに畳みかけ、生まれたままの姿になった。

 

「よく見なさい、この通り私は丸腰だ」

 

「「「「なにしてんだぁ!!!」」」」

 

「今の丸腰の俺の話なら聞けるはずだ」

 

「今の太一が一番聞けねえだろ!!」ズカズカベシッ!!

 

 俺を殴りに人質が動いた。

 

 

「あ」

 

 

 

 照準が流星に向いた。しかし、弾は出ない。

 

 長い沈黙が流れる。

 

「おわったぁぁぁぁぁ!!」

 

 人質はブラフだったようだ。

 

「じゃ、一旦話を聞きますか」

 

「まずは服を着ろよトラウマになるぞ」

 

 

 

 

 暫くして服を着た俺と、俺に説教している流星。

 そして金星機(マクスウェル)パイロットを落ち着かせるアリアとメリル。時折こちらに向ける視線が痛い。

 宥め(なだめ)終わったのか、自己紹介をする事になった。

 

「私はイルシア・モーニングスター、金星企業ロディテア所属パイロットです」

「アリア・エーデンタール管制科(オペレーター)です」

「メリル・ハルクリウス搭乗科(パイロット)ですわ」

「真壁流星同じく搭乗科(パイロット)

「地井太一「聞きたくないです」…………整備科(メカニック)全員2年だ」

「お、同い年だったのね」

 

 物凄く嫌われている、何故だ? 当たり前だよなぁ? 思い直せば当然すぎた。

 

「とりあえず、残りのメンバーと星進隊(プロトン)のこれまでの来歴を纏めた物になります、信用に足ればいいのですが」

 

「急に全裸になるような奴が居るなら信用なんて出来ないわよ…………なにこれ? 嘘つくなら

 もうちょっと控えめにやった方が良いわよ?」

 

 アリアさんはコンソールを手渡して、イルシアはそれを見た。感想は、耳の痛い物だった。

 

「残念ながらこれが公式文章なんです…………私も、正直驚いています」

 

「「それはそう」」

 

 流星の被害者2名、イルシアとメリルが深く頷いた。

 

「やっぱり操作精度おかしいですわよね!?」

「おかしいなんてもんじゃ無い! 本当に殺し屋でも雇ったんじゃないかって思ったんだから!」

 

 流星に向かって非難の声を上げる被害者の会(2人)はさらにヒートアップする。

 

「しかもさっきの戦闘は水星機(ヘルメス)が初乗りって頭おかしいとしか思えませんわ!」

「初乗り!? 水星機を!? 私それに負けたの!? あまつさえ回収ユニットぶつけて!?」

 

 それは俺も頭おかしいと思う。F1カーで()()()()をするようなもんだし。

 やいのやいの言いながら愚痴を流星に投げかける2人。距離が近くなったようで何より。

 

 さらに、星進闘争(アンティバトル)の内容をまた食い入るように見る。

 

「しかも地球機(ゲイザー)の改造機『スモウゲイザー』って、はぁ!? ありえないありえないありえない!!」

 

「アレはありえませんわよねぇ」

 

「メリルがクソ弱いか、流星が大変態? まともに動かせたの?」

 

「じゃじゃ馬だったけど、結構快適だった」

 

「どういう事やっているのか分かってるの!? 機体の簡単な整備とか構成の把握って貴方達やってないの?」

 

「上級国民のメカニックに任せているので分かりませんわ」

 

「整備は太一に全部任せてたから良く分かんないな」

 

 イルシアは頭を押さえて、オヤカタの事について聞いた。

 

「じゃあ卸売科(セール)が頑張ってどこからか持ってきたのね?」

 

「俺が3日も掛けて作りました。こんなデータが既成品として流れてるわけねえじゃねえか」

 

「自分で言うの? じゃあ、大変態が変態になって変態がもう1人増えただけじゃない…………」

 

 突っ込みつかれたようでイルシアは床に座り込んだ。冷静になったようで膝を抱えながらしゃべり始めた。

 

「これからどうしよう私、企業で失敗して無断欠勤してきたの」

 

「「「あー…………」」」

 

 納得する俺とアリアさんとメリル、そして分かってない奴が若干1名。

 

「謝れば良いんじゃないか?」

 

「金星は政府を持っていない代わりに金星企業連盟がその代わりになっている惑星で、企業の影響力がとても強いんだ。地球のように法律で縛られているような所とは根本的に違うんだよ」

 

 俺の説明を聞いて「へぇー」だけで済ませた流星。分かってないだろうなコイツ。

 そしてその情報に加えて状況を補強する様に話すアリアさん。

 

「加えて、状況的に非常にまずいですね、企業所属の人間が機体を持ち逃げするなんて。確かに何かしらの措置が取られてもおかしくないですね」

 

「この金星機(マクスウェル)は買った奴だから!! セーフセーフ!!」

 

「じゃあ、流星に突き付けてたプラズマキャプチャー(工具)は? パイロットがあんな高い工具持ち運んでる訳ないだろ?」

 

 実際脱いだのは、確実に安全だと確信したからだ。

 高い工具だと個人認証が必須、しかも、指にかけている所はロック機構だったし。

 

「こんなので追われませーん!」

「じゃあ、情報(データ)か」

「…………」

 

 答えが沈黙(図星)だったようだ。

 

「流失させたくてした訳じゃない! ただ、仕事忙しくてカフェテリアでサビ残したり持ち出し禁止のデバイスを家に持ち込んでただけだし!?」

 

「旧世紀のセキュリティ感覚じゃないですか!? そりゃ追われますよ!?」

 

 アリアさんが余りにも的確な突っ込みを入れた。

 中身が旧世紀な俺? あはっはっは、整備科(メカニック)は帰れないんだ畜生!!

 

 仕事に激しい憎悪を抱いていると、アリアがまとめてくれた。

 

「そこのゴミ。いえ、デブリを捨てるのは規約違反になります。ですので、このまま外に放りだしたら私達に厳重な処罰が与えられます」

 

「じゃあ、金星に送り返したら良いんじゃないか?」

 

「ゴミ扱いされた…………」

 

 イルシアのつぶやきを無視してアリアさんが続ける。

 

「それが最良ですが、金星企業と繋がる方法が今の所ありません。金星企業連盟は徹底した金星外秘密主義、金星の仕事を取れなければコンタクトは難しいでしょう」

 

「このまま放置も難しいですわね、星進隊(プロトン)預かりのデブリという事なら、金星企業からのコンタクトもあるでしょうけど………………好ましい物にはなりませんわね」

 

 八方ふさがりで、俺達は黙って思考を回す。しばらくたって、イルシアが頭を下げて懇願する。

 

「どうか助けてください! 私に出来る事はなんでもしますから!」

 

「…………アリア、このまま俺達にとって最良の方法を取り続けたら、イルシアはどうなる?」

 

「金星企業と言っても、行う事は地球の企業とあまり変わりません。政府は無いので企業預かりとして拘留され、多額の損害賠償請求と信用スコアが減ります。…………まず、まともな職業には付けないでしょうね」

 

「俺は助けたいと思う」

 

 アリアの言葉を聞いて、流星は即答した。

 イルシアの目が輝き、メリルは感心したように流星を見る。

 

「金星がどうとかは分からないけど、俺達と同い年がそんな事になるのを黙って見てられない。イルシアみたいな人が他に居たとして、この行為が焼け石に水の自己満足だとしても、目の前で困っている人を見捨てられない」

 

 青臭いセリフだった。だが、そういうのは嫌いじゃないし、まだ若い奴が破滅に向かおうとしてるのを見過ごすわけには行かないな。

 

「私は良いと思います」

「流星が良いなら協力するぜ」

「ノブレスオブリージュですわ」

 

 3人共意見は一致していた。

 さ、少しやる気を出しますか!

 

「みんな。よし! がんばろう! あ、そうだ、太一避ける時にデブリに当たっちゃってさ。装甲が傷ついてて直さないといけないかも」

「私の金星機(マクスウェル)、ちょっと動力機関壊れてて私をパイロットとして使うなら出来れば直してほしいんだけど…………」

 

ほわあああああああ!? 

 

「ちょ! 聞いてへんのやけど! しかも動力部!? メイン機関じゃねえか!? 素材足りねえって言うからデブリ回収しに来たのに全部使う勢いだぞオイ!? ちょい! 脱いだのは悪かったから無視しないで! 解散しないで! 本当にごめんなさぁぁぁぁぁい!!」

 

 あ、明日から地獄だ…………。




ちょっとした設定。(2026年3月28日更新)

星進隊(プロトン)ランク規定。
星進隊(プロトン)の持つ能力によってS・A・B・C・D・E・Fでランク付けされている。

②能力の計算式は(所属生徒全員の単位×成績評価×星進隊(プロトン)の総合評価)÷チームメンバー数20倍の数値である。

③ランクに応じて政府公認依頼や政府各種許可を取る権利を与える。
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