ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった 作:なんちゃってメカニック
文化祭2日目。
必死の改修と製本が功を奏したのか、変態共の数が目に見えて減っている。逆に言えば、それ以上を求める沈殿した変態が残っている訳なのだが。
「星壁真流流ちゃんはいません」
と言う看板をぶら下げていても、底の方に溜まった変態共は。
「真流流ちゃんと同じ隊に居る子と同じ空気を吸っている? …………もう結婚だよね」
そんな事を言いながら、コーヒーを1杯で1日耐える構えの奴もいた。
「ま、まあ、何とかなったのか?」
開店から1時間経って俺がそう呟いた。
「本当に何があるか分からないからな、気を引き締めろ」
「楽観視するっスよ!」
ミーシャとコルデーが相反した事を言った。
まあ、考えすぎても仕方ない、出来る事はやるだけだ。
そんなこんなで、何とか1時頃まで漕ぎつけた。今日に限って言えば、生徒会長が訪問した
パイロット組を見ると、今の所負けなしなのだが、一体どんな魔法を使っているのだろうか?
「ありがとうございます!!」
「良く出来た連携でしたわ、射撃訓練を1時間伸ばせば、もっと良い連携になりますわ。お互い精進しましょう?」
そう言って、相手と握手をするメリル。改造パイロットスーツは、中世式のドレスだ。
低ランク帯の
加えてビジュアルも良い。パイロットは多くが女性だが、改造スーツを見て目を輝かせながら去って行った。
「デブリ帯の
「うん、そっちも良かったよ! デブリ戦でのセオリーが良く出来てる、機会があればまた戦いましょう!」
イルシアはOLスタイルの改造スーツ。朗らかに相手を褒めて、相手は去って行った。
その場を去る時に、相手は「ああいうタイプもあるのか」と呟いて去って行った当たり、かなり気に入ってくれたみたいだ。
「えっと…………なんで軍服?」
「気合が入ります」
「ルーティンです」
ゼリアとピールは軍服。それもノースリーブ軍服にミニスカ、ロングブーツにロンググローブを付け、小さめのマントを羽織る徹底ぶり。あまりにもコスプレにしか見えないそれを着こなし過ぎている。
相手は困惑しながらも、テイクアウトの商品を受け取って帰って行った。
「改造スーツって和服にも出来るんですね! 可愛いなぁ」
「極東に行った時、気に入ってな。そう言ってもらえて何よりだ」
ベローナは和服、と言うよりも浴衣。右腕の部分はひらひらとたなびかせ、腰の部分には、メカニカルな杖をマウントするアタッチメントがある。
様になっていてカッコいい…………。じっと見ると見惚れちゃいそうになるくらいに似合っていた。
そうして、ラストオーダーまで1時間切った所まで時を進めた。
ピークは過ぎ、席もまばらに埋まっている光景を見て、ミーシャに話しかける。
「みんな大丈夫そうだな」
「ああ、一時はどうなる事かと思ったが、これなら大丈夫そうd、いかんいかん、気を引き締めなければ」
そう言うミーシャを見て少し笑ってしまった。ミーシャは、ライブを開催するために、関係各所、主に生徒会へ「テメーの所の会長が、アポなしで来てこっち迷惑してんだよあぁん?」と言った風に脅しゲフンゲフン 交渉しているらしい。
ミラさんからは「うちの主人がごめんなさい」と頭を下げているようで。
俺の方も、ライブ系の開発を進め、もう少し時間があれば出来るぐらいには開発を漕ぎつけた。これならもう少しで出来るな
と考えていた所に、いきなりバックヤードにベローナが駆け込んだ。
「お、どうした?」
「…………」
「ベローナ?」
黙ったまま、立ち尽くすベローナ。見るからに顔色が悪い。
何があったのかと、ホール内のカメラを覗いて、耳を澄ませると。
「えーっ!? ベローナと遊ぼうと思ったのに、いないの~」
「で、でしょ。で」
「言えてる~。てか不戦勝じゃない? てーいんさーん、早く無料にしてくんない?」
キャンキャンと下品に笑う、火星SE学園の制服に身を包んだ3人の女共。それだけで理解出来た、それはミーシャも同じようで、ホールにまで聞こえないように、小声で俺に耳打ちする。
「太一、ベローナを頼んだ」
「どうする気だ?」
質問した俺は不機嫌そうな声色になってしまった。それに呆れ半分、関心半分のため息を吐いて、ミーシャは答えた。
「無料にしてさっさと帰らすんだよ、それか他パイロットに」
「や、止めてくれ。この時間は、他のみんなは、文化祭を楽しんでるんだ。わ、私の問題なんだ、これは」
ベローナが、息も絶え絶えになって、ミーシャの手を握ってそう呟く。
「君がそうなってる時点で楽しめる者も楽しめん、私が大人の対応をしてくるんだよ」
そう言うミーシャの顔は苦々しい。ベローナの選択を尊重するべきか、適当にあしらって返すべきか、ミーシャだって今の状況に不満がある。
「じゃ、俺行ってくるわ」
「え? おい、ちょっと!」
ミーシャの静止を聞かずに、俺はバックヤードから出て、火星出身と思しき女に声をかける。
会計を担当しているコルデーにも小さく止められたが、そんな事は関係ない。出来るならやるだけだった。
「申し訳ございません、只今、当店の目玉である無料チャレンジを担当する
「タイムスケジュール見たんだけど? ベローナいんでしょ?」
どうやら、ベローナが居る事を知ってここに来たようだ。
「申し訳ありませんが所用です」
「逃げたんでしょ! きゃははは!」
どうやら、ベローナを心底馬鹿にしているらしい。
「その代わりと言っては何ですが、
「はぁ?
相手は俺達を舐めている。
「では、瞬殺すればよろしいのでは?」
「出来るから無駄って」
「はははははははははっ!」
俺はその言葉に笑ってしまった。鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をする女共、そこに、畳みかけるように言葉を重ねる。
「たかだか、メカニックにビビっている人間が、こうも大言壮語をおっしゃるとは。はははっ、火星のパイロットの質はどうやら低いようで」
「乗れ、その挑発乗ってやるし」
「はい、よろこんで」
コルデーでも良かったが、文化祭と言う場で歌声を披露するのは、ライブまで待ちたかった、適当に負けて、適当に帰ってもらえばいい。
だから、これは戦略的な事なんだ。
皆の手が楽しむためにふさがっているなら、俺の手でぶちのめしてやりたいと、そんな事これっぽっちも思っていないのである。