ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった 作:なんちゃってメカニック
文化祭3日目。
12時を回り、俺達の出店は大盛況。口コミが口コミを呼んで、初日と違いパイロット組の負担が大きくなってきた。飲食はオマケ、パイロットの本能は俺より強い奴に会いに行く、なのかもしれない。
そんな中、意外にも、一番最初に音を上げたのは流星だった。
「流石に疲れて来たな」
「連日組手と考えれば仕方ないよ、この3日間で強くなったって自覚する位には戦ってるし」
イルシアがワイシャツ部分をパタパタとさせながらそう言った。
実際全員が傍から見てるだけの俺でも、実力の向上が見て取れる程に戦闘を熟している。
少しばかり愚痴っていたパイロット組を見て、ミーシャは苦い顔をしながらつぶやいた。
「うーん、パイロット組も何とかした方が良いのか?」
「そのことはあんま考えなくていいと思うが………………。本当に最悪の場合、ネルを置物にしてれば大丈夫だと思う」
文化祭準備期間でネルを防御壁として運用する以外にも、戦闘系の依頼を受ける事が出来るように改造していた。
改造より
これでどんな相手でも安心だ。と思ったが、げんなりとした顔でミーシャが俺に突っ込む。
「塩試合過ぎて暴動が起こるぞ」
「ッスー。考えた事無かったな…………」
ネルの改造は俺でも難しい、丁度いい試合にするためには、もはやネルが徒手空拳を学んでくれることしかない。
「あ、ネルをワンルールパンクラチオン部に入部させるか?」
「やだ」
ネルから拒否の言葉が出た。ごめん、俺だって嫌だった。そんなやり取りをしていると、ミーシャが俺に話しかけた。
「余裕だな、ライブの準備は終わったのか?」
「おう、コルデーが良いなら、今すぐ出来るぜ」
今日の午前中にはライブの準備を終えて、後は実行に移すだけだ。それでもバックヤードに居るのは、シミュレーターやロボ共の突発的故障に備えるためと、もう一つ。
「それは頼もしいな、その調子で星壁関連も頼んだ」
「はいはい、はぁ…………友達の女装姿をじっと見る立場になってくれよ」
少しげんなりしながら、写真集をシュリンクをかけて段ボールの中に入れていった。ネルも小さい手で頑張ってくれている。
しばらく、内職のような仕事をしていると、ゼリアがバックヤードに入って俺を見た。
「たいっちにお客さん来たよ、なんかかわいい子だったけど、誰? この浮気者~」
ちょっとテンションが高くなりながらゼリアがそう言った。俺は誰と二股かけているのか分からないが、立ち上がってこう言った。
「かわいい子? 知らないな、ちょっと見て来る。他意はないけど、ちょっと見て来る」
「なんで2回言ったし? 6番テーブルに居るから早く行ってあげな」
え? 春? 冬来たら春よなぁ?
そんな事を言ってホールへ顔を出し、ゼリアに言われた席を見ると、意外にもスミス先輩が居た。
「スミスパイセンじゃないっすか、可愛い子は?」
「…………僕の事じゃないだろうな」
…………やっばい。スミスパイセンの地雷を踏んでしまったかもしれん。
俺はもう慣れて感覚が狂っているが、スミス先輩は中性的な容姿に持ち前の低身長さも相まって、可愛いに寄った印象を人に与える、これまでの人生で嫌な事があったのか、可愛いだの、ちっちゃいだの、メスにするだのと言う言葉に敏感に反応する。
そんなカ〇ーユスタイルの精神性の持ち主。
そんな評価を払拭する様に、ノンルールパンクラチオン部に所属していた過去もあり、細腕に見合わず先輩のボディブローは後に残る。
「そ、そんな事無いっすよ~めちゃカッコいいっすよ~」
「出来れば周知しておいてくれよ、それで」
「わあ、小っちゃくてかわいらしい人ですわね、太一さんの知り合いですの?」
「メリルぅ!?」
刹那、スミスの拳が煌めく。
「なんで俺?」
「女の子を殴る訳には行かないでしょ、漢として」
八つ当たりはどうなのか。腹を抑えながら、今日の営業時間が過ぎて行った。