ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった   作:なんちゃってメカニック

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文化祭6日目 またの名を体育祭。

 文化祭6日目。またの名を体育祭。

 テラマキナ学園はかなりの歴史を持ち、黎明期ではどこか血生臭い雰囲気を醸し出していた。

 

 その名残は今では薄れているが、残っている物もある。その際たるものが、文化祭6日目に挟まる体育祭だ。

 本来、歴史の陰に埋もれていてもおかしくない、そんな行事だが、今でも形を変えて残っている。

 

 黎明期ではサバイバル訓練を模した、連峰峠越え競技は長距離走に。

 戦場での負傷者運搬を模した、担架運搬競技は棒引きに。

 戦場での物資補給を模した、重量物運びは借りもの競争に。

 

 軽く汗を流す程度で済む強度の運動として残り、実習や別科目を取っている学生生活ではなかなか感じられない、団結感で学生を楽しませていた。

 

 そんな光景を見た、流星は噛みしめるように呟く。

 

「楽しいな」

 

「確かに、金星じゃ考えられないかも」

 

 その言葉に、イルシアが同意し、メリル、ゼリア、ピール、ネルがそれに続くように頷いた。

 

 ベローナは同意しなかった。地球と火星は、人類の生存圏の広さが各惑星と比べトップクラスで、広い空間を使い人を遊ばせることができるが、他惑星では運動と言えばフィットネスジムになり、団結して運動するという経験が少ない。

 

 自身の出身惑星を鑑みて、貴重な経験を5人は体験していた。

 

「小学生の頃を思い出すな、あの頃はよかった…………」

 

 ベローナもしみじみと噛みしめるようにそう言った、全員が気まずくなったが、それをべローナは謝った。

 

「あ、済まないそう言うつもりじゃ」

 

「りゅ~せ~さぁぁぁぁん!!」

 

 謝罪に挟まって、遠くから流星を呼ぶアリアの声がした。全員がその方向に視線を向けると、アリアが息も絶え絶えになって此方に走って来た。

 

「はぁはぁ、管制科(オペレーター)の借りもの競争で、はぁはぁ、流星さんに来てほしくて」

 

「わあ、まずは水でも飲んでは如何ですか?」

 

 アリアの息が絶え、玉のような汗が出て来ていたのを見て、メリルが驚きの声を上げながら自身の水を差しだした。

 

「遠慮しときます、飲んだら気持ち悪くなりそうで、ケホッケホッ」

 

「アリアはそんな体力がないのか?」

 

「流星さん、はぁはぁ、もやしっ子舐めないでくださいよぉ」

 

 涙を流しながら、流星に抗議するアリア。その表情を見て苦笑しながら流星は行動に移した。

 

「じゃあ、手早く行こうか」

 

「え? わ、ひょわ!?」

 

 宣言通りに手早くアリアを横抱きで抱え込んだ。別名、お姫様だっこである。

 

「ひゅーひゅー」

 

「ネルさんからかわないで!?」

 

 その言葉を最後に、流星とアリアはその場から走り去っていった。

 

「流星、面体を考えなよ…………」

 

「アハハ! アレを素面で出来るのは流星のいいとこっしょ!」

「いいな~」

 

 イルシアが苦言を呈したが、それをゼリアが宥めてピールが純粋に羨んだ。

 その光景に微笑んでベローナが言う。

 

「さ、私は次の競技に行ってk「流星!? どこだ!?」太一?」

 

 その言葉を阻止したのは闖入者である地井太一。

 焦りながら流星を探していたが、その人は先ほど借り物になっていた。

 

「どうしたのですか?」

 

「借りもの競争だ、早くしないと!」

 

「あ、アリアが先に借りて行ったよ、そういえば、何を借りるの?」

 

 アリアと違い太一は息こそ切らしていたが、そこまで汗はかいていない。イルシアが聞いたそれは、アリアはそんな疑問より心配が勝ったから聞けなかったのだ。

 

 無言で手に持っていた紙を、素早くその場にいた全員に見せた。

 

『最強の漢』

 

 全員の思考が停止した。そんな事を知ってか知らずか、太一はその場を一言おいて立ち去った。

 

「ま、いないならいいや。じゃあな! あっ、あんな所に野生の生徒会長がッ!! この際こっちで良いや」

 

「えっ? うわぁ!?」

 

 そうして、太一は生徒会長をファイヤーマンズキャリーで持ち、その場を去って行った。

 

「やあ、太一君。こうして話すのは久しぶりだね」

 

「舌噛みますよ!?」

 

 そんな事を言いながら走り去る流星と生徒会長を横目に

 

「なかよし、うれしい」

 

「フフフッ、そうですわね」

 

 ネルの言葉に全員がほほ笑んだ。オウムアムアの整備士は、自身のリーダーを最強と疑わない。それだけで、パイロットとしては、安心する所があったのだった。

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 地獄だ…………。目の前で地獄が繰り広げられている。

 

「パイセン、どっちが最強か、白黒はっきりつけましょうや…………」

 

「いやぁ、僕だけど? 最強と聞いて、太一君が連れて来たのはこの僕、アレン・ジャッチメントだという事には変わりない。そうだろう? 太一君」

 

「最強だと思ったのか…………? 俺以外の奴を…………?」

 

 最強の漢、と言う借りもの競争のお題で、パイロットの強さとして連れて来た生徒会長。そして、搭乗科(パイロット)管制科(オペレーター)に挟まれた場所に位置する、整備科(メカニック)の体育祭会場。

 

 アリアに連れて来られた所から帰ってくる時、丁度良く流星と鉢合わせてしまった。

 

「もうどっちでもいいよ…………」

 

「良くない!!」

「生徒会長なんだから最強じゃないとダメに決まってるだろう!?」

 

 そんな訳はない。

 生徒会を担当する星進隊(プロトン)のリーダーが自動的に生徒会長になるだけだ。歴代で搭乗科(パイロット)が生徒会長を務めた代は数少ない。

 

 一番体力を温存できそうな競技を選んだのに、どうしてこうなった!?

 

「ひゅーひゅー!」

 

「うるせえ!!」

 

 何故か冷やかしのような歓声を上げた整備科(メカニック)の皆さんに、中指を立てて抗議する。

 

『おおっとー!? 地井太一選手!! 全員フ〇ック宣言だー!! 会長? リーダー? 何だか知らないけどたぶん全員抱いたぜー!!』

 

「んなわきゃねーだろ!!」

 

 特大の声で抗議するも馬耳東風。この時だけは青春の熱さも冷やしてほしかった。

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