ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった 作:なんちゃってメカニック
文化祭9日目。
昨日と比べ、来客数は増えたが、まだまだキャパシティには余裕がある。
全員が程よく文化祭を楽しめる、それほどの仕事量に留まってくれたのはうれしい限りだ。
そんな中でも、ベローナがそうだったように、俺にもゆかりのある人物がこちらに来たようで。ベローナと比較すれば平和な来客だったのだが。
「よう、太一に流星! 楽しそうな事やってるって聞いて、遊びに来たぜ!」
「雷馬! 貫太郎に理一まで! よく来たな!」
急な来客は、俺と流星の級友たちだった。
再会を喜んだ先斗雷馬と流星が握手をして、流星が早稲理一に声をかける。
「久しぶり理一、夏休みにも会えなかったからちょっと寂しかったな」
「確かに、その頃は丁度追い込み期間だったし、仕方ないさ」
「筋肉が優先なのかよ!?」
俺の驚きを、気なしに肯定する理一。
「そうだけど? 君たちも一生を共にする
「またの機会で」
「研究が忙しい」
「今日帰るし」
「仕事が忙しい」
「ふふふ、変わらないね君たちは」
口々に共同トレーニングを拒否する俺達。それを何処か嬉しそうに、前髪を弄りながら笑った。
「貫太郎は夏休み序盤以来か、いらっしゃい」
「そうだな、回転同志流星、太一あれから回転しているか? 俺はしている」
貫太郎は何故か回転運動に魅入られた回転バカ。
中学校の時に、GCでビームナギナタを回転させたら、俺達の友達グループにねじ込んできた。変な奴だけど、悪い奴じゃないし別に良いんだけど。
「回転運動は神が与えし、奇跡の運動だ。そう言えば、この辺に良い回転機械があったから夜にでも行かないか?」
「こわい」
「こわい」
「こわい」
「こわい」
「フッ、回転同志たちは変わらないな」
「頼むからお前は変わっててくれよ」
貫太郎の言った「回転機械に行く」と言う文言は、子供がカーテンにくるまって回転するアレをしようぜ、と言う意味になる。頼むから1年で変わっていて欲しかった。
「そんな事より、新型シミュでSEでバトれんだろ? 早くやろうぜ!」
「そうだった、太一、ドリルが最適だが回転する武装があるSEはあるのか?」
「まずは注文が先だバカヤロー共」
バカヤロー共とは言ったが、内心雷馬にグッジョブと言いたかった。話の流れを切ってくれてありがとう…………ッ!
オウムアムアの喫茶店では、先に料理を注文して、パイロット撃破チャレンジをするかどうか選べる。
成功したらそのグループは全額タダ、負けたらオウムアムアの宣伝をしてもらう様になっている。
「極東では新型シミュ回せる機会が無いからね、久しぶりに僕も操縦してみようかな」
「やった、3人全員で戦うの中2以来だな!」
中学生の頃、旧式シミュレーターで何回か戦った事があった。その頃を思い出していたのか、飯代タダよりも、タダ単純に流星と戦いたかっただけみたいだ。
極東では旧式のシミュレーターが普及している。理由は単純で、GCでは、Gはそこまで掛からないから動かすだけだったら十分。
新型シミュレーターの特徴であるGの再現の利点はパイロットの早い習熟と、Gに慣れる事にある。SEはより高いGが掛かる為、必須なのだった。
「3人? 太一回転同志はやらないのか?」
「おいおい、止めてくれよ、GCですらリアルで動かして気持ち悪かったのに、シミュレーターは旧式じゃないと無理だって」
俺は笑いながらそう言った。いや本当に無理、もう二度とやらないと心に決めている。
「なんだもったいねえ、あ、爆発武器はあるのか?」
「SEにバイオリアクターを積んでいるのはある?」
「理一、SEはほぼバイオリアクター積んでるけど、それはパイロットの生命維持用だ。メイン動力にしたSEなんかねえよ」
「そうなのか雷馬?」
驚いた顔で理一が雷馬に詰め寄っている。なんか田舎から都会に来た人みたいなリアクションだな、とか思ってしまっても仕方ない。
級友の中でSE学園に行っているのは、俺と流星と雷馬だけ、理一と貫太郎は極東で自身の研究分野を学んでいる。だから、SEの事を知らなくても仕方ない。
俺は仏心を出して、理一と貫太郎に話しかける。
「とりあえず、SEは見繕ってやるよ。GCと操作系統は違うが、お前らならすぐ慣れる」
「回転は?」
そこまで回転が好きなのか!? 脳内検索をすると、すぐにヒットした。
「しない、とも言い切れないな。俺達の
「そんな方法があるのか!?」
「最近の
イルシアの
俺の言葉を聞いて、貫太郎はぶつぶつと独り言をつぶやいている。
周りの客からはぎょっとした目で見られたが、分かるぞ、自分視点で新しい技術に出会った時、どうやって自分の分野に応用するかを考えるのが、もうクソほど楽しいんだよな。
「理一には
「任せたまえ」
最後に雷馬がキラキラした目で俺を見ている。
確か
渡した
「爆発が足らない…………」
「我慢してくれ…………」
「爆道索……機雷……バズーカ……ミサイル一杯……」
「何するつもりなんだよ」
凄く落ち込んでいる。雷馬は、爆発バカ。アステカのSE学園で
雷馬が落とした肩を、そのままぬらりといかり肩にした。
「かんけーねーし、全☆員☆爆☆殺!」
「お、言ったな? 形式はいつもので良いな? 初乗りだし30秒だけやるよ」
「いらねえ全員叩き潰す」
「おなじく、全員貫く」
闘志を燃やして、睨み合い手早く、シミュレーターに乗り込んだ4人。インカムで通信して、俺の言葉でバトルの幕を開ける。
「バトルロワイヤル形式、全破損、SEファイト、レディー・ゴー!!」
「何それ!?」
「貰いィ!!」
あ、やべ、
◇ ◇ ◇
「くそー、悔しー! もっと爆発していれば!」
「雷馬、飯位黙って食えんのか、もっと回転があれば!」
「貫太郎もじゃないか、クソ! もっと筋肉があれば!」
「それはわからねえ」
俺は理一の言葉に突っ込みを入れた。筋肉あっても関係ないよ、てかシミュの操縦桿が軋んでたんですけど。
「まあ、唯一のSE
「次は負けねえからな、流星!」
結局流星が勝った。
GC慣れしているからか、戦闘自体は成り立っていた。と言うか成り立つのがおかしいのだが、それだけに、俺も混ざれなかったことが少し心に引っかかる。
「俺も旧式のシミュレーターがあれば、混ざれたんだけどなぁ」
「お前が入れば…………どうなったんだろうな」
「バトロワじゃなくて1対4の可能性があるぞ」
「どんだけ警戒してんだ、まあでも、まだ作ってない改造機の設計図読み込ませた可能性がある」
「汚なっ!?」
「ずるいね、いつもの如く」
「正々堂々が一番だ」
「それはどうかと思う」
「ごめんて」
そんな雑談をしながら、飯を食う。中学時代の給食を思い出す。
「てか、太一シミュレーター回せないのに、整備良く出来るな。どうしてるんだ?」
「一応、整備駆動と試運転位はしているが…………ま、才能だな」
通常、
それは、乗らなければわからない事もあり、本格稼働はしないが、大なり小なり乗る必要がある。
あれだ、呪術〇戦の呪力と同じ表現をすると、俺は材料を食べた事がないのに料理を作っているのに等しい。
「それで説明出来たら苦労しないな、今開発してるドリルもGCごと動かさないと実力は分からない」
「ま、それは冗談として、GC弄っていた時の貯金だな」
極東での日々は結構俺にとって生きている。
「へぇ、それで何とかなるもんなんだな」
「俺のドリルの話なんだが────」
その後は、なんの気兼ねもなく雑談を続け、ほどなくして、級友たちは解散した。
1ヵ月しか経っていないが、郷愁を漂わせたそんな1日になって、大変満足でした。