ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった 作:なんちゃってメカニック
文化祭11日目。
最早手慣れていた開店前に集合するルーティンワークは、2人の欠員によって沈黙が流れていた。
みんなが大丈夫か? と値踏みする様にお互いを見つめている。
無理もない、急に倒れた時はアリアはもう血相を変えて走って来たのだから。
「…………そ、それじゃあ、今日の打ち合わせを始めましょうか」
アリアが空元気を出しながらそう言ってくる。これまでの文化祭では、ミーシャが音頭を取っていたが、当然ここに居る訳が無い。
早速だが、俺からの連絡事項を1つ言っていこう。
「俺から連絡だ、さっそくだが応援を呼んだ」
「…………応援って誰だよ?」
流星が不機嫌そうに聞いてくる。たぶん、ミーシャを居なきゃいけない存在とか言った俺が、明るく代わりを入れようと言うのが気に入らなかったんだろう。
だが、俺は知っている。あの後、ミーシャの代わりに星壁真流流(本物)としてライブに立とうとして、ダンスと歌をこっそりと練習していたのを!
「それでは、お越し頂きましょう! どうぞ!」
店の扉がガラリと開かれ、そこには謎の仮面2人組が!?
「私の名前はマスク・ド・コメット! オウムアムアに故あって助太刀いたす!」
「俺の名前はマスク・ド・タケッオ! オウムアムアに故あって助太刀いたす!」
「何やってんのよアンタら」
そう言って続いて入って来た俺のお袋が、謎のポーズを決めている謎の仮面2人組の後頭部を引っぱたいた。俺のお袋の隣にいる、謎の仮面2人組は一体誰なんだッ!?
「彗星さんに武生さんに愛美さん!?」
「母さん!? なんでここに!?」
「しーっ! しーっ! ここに居るってバレるとちょっと不味いんだから!」
「お父さんと彗星さんはここの教授たちに目を付けられてるから、あまりバレたくないんだ」
マスク・ド・タケッオとマスク・ド・コメットは一体何をやらかしているのだろうか。
1ヵ月ぶりとは言え、皆がなつかしさに少し涙を浮かべていると、俺のお袋が皆に声をかけた。
「ミーシャちゃんが倒れたって、太一から直接聞いて飛んで来たのよ」
「ほ、本当ですか!? でも申し訳ありませんね…………」
本当に頭下げてよかった。俺がキツイっていう理由だけじゃ動いてくれなかったし、彗星さんに至っては直接交渉しなきゃ、物理的にこれなかった可能性すらある。
「いいのよ気にしなくて、もうアンタたち娘みたいなものなんだから」
そう言って、今いる俺以外の全員にハグして回るお袋。
「私は
そう言うと、イルシアが呟く。
「でも、ちょっとずるいような…………」
「そんな事は無いっス!
そうだ、別に力が足りなきゃ借りれば良い、今まで1人であんな仕事を抱え込んでいたのだから、この位の休息はあって良いものだと思う。
「そうよ、今日だけは私達に任せて、文化祭を楽しみなさい」
「そうそう、全員ギッタギタにしてやるわ!」
「彗星さん、久しぶりの母校だからってはしゃがないでね?」
そう言うと、いそいそと仕事の準備をしている。
今日だけは家族に甘えようと、その場所から離れようとすると、流星が神妙な面持ちで俺に声をかけて来た。
「…………太一、質問いいか?」
「ん? どうした?」
「
「『何やってんのよアンタら』だろ?」
「じゃあ、その次」
「『ミーシャちゃんが倒れたって、太一から直接聞いて飛んで来たのよ』だな」
「…………直接?」
「ああ、あの後飛ばして、極東まで行ってきた」
いやー、きつかった。吐かないギリギリで飛ばして、直土下座だったもんなー、お陰で寝てねーわ。っかー! ツレーわ! かっー! (地獄のミ〇ワ風味)
「本当に
言葉の重みがトンレベルだ…………。
周りを見れば、全員の両目がドロリと溶けているのを幻視した。
「太一?」
背後からお袋がひょっこりと出て来て、俺はお袋に助けを求めた。
「お、お袋!? そ、そうだお袋からも何か言ってやってくれよ!」
「私、言ったわよね? 報連相をしっかりしないと、お父さんみたいになるって」
お袋が背中に
「酷くない?」
そう言った親父はお袋の一瞥でひょっこりと逃げて行った。その刹那、俺は小学生の頃お袋から喰らった折檻を、自分の体で思い出す。
「この子も、不器用だけど優しいのよ、これで許してあげて」
「横暴だ…………流石にやりすぎだ…………」
「皆を心配させんじゃないよ!!」
「アッ────!!」
これでみんなの溜飲が下がったのか、そこから先はお咎めなし!
良し! 俺はなんも悪くなかった!
「みんなの中にお前も入ってるんだよ、あまり心配させないでくれ」
「そのセリフ、こんな所で聞きたく無かったなぁ…………」
その後、めちゃくちゃライブ準備に取り掛かった。出店の方は何も問題が無く、俺達は明日のライブに全力投球するだけとなった。