ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった 作:なんちゃってメカニック
文化祭12日目。
屋外ライブ特設会場にて。…………特設とは急ごしらえと言う意味でもある。
だがしかし、剛性、耐久性はピカイチ! ミサイルでも一発は耐える!
「SEスクラップを大量にかき集めてたと思ったら、こんな事してたんだ?」
「あ、スミス先輩。どうしてここに?」
俺の立てたライブ会場に、自分自身でうっとりと恍惚の表情をしていると、関係者ではないはずのスミス先輩がこちらに来ていた。
「どうもこうも、君たちのお目付け役だよ。一応、生徒会に話は届いているから」
「じゃ、ライブの特等席で見ててくださいよ」
「あっちの方がよかったんだけどね」
俺が悪戯っぽくそう言うと、スミス先輩は苦笑交じりに親指で客席の方を指さした。
「スミス先輩も好きなんですか?」
「うん」
「真流流ちゃんの方」
「そっちじゃないよ!? ていうか、チームリーダー女装させてアイドルライブって、一体どういう神経してんのさ!?」
流れです。流れで仕方なく………………。
だけど、俺はこの滅茶苦茶を気に入っている。
「何も無かったって大人になって言うより、大変だけど、めちゃくちゃだけど、楽しかったって言えた方が、きっと、そっちの方が何万倍も良いじゃないですか」
そう言うと、スミス先輩は目を丸くして、俺を見る。
「…………ま、おかげ様でこうして、好きだったアイドルも見られるか」
「もーっと、褒めても良いんですよ!」
ドヤ顔を披露していたら「調子にのんな」と一蹴された。
そうして、ライブの幕が開け。
2人の歌姫が、ライブ会場に、爆発特効と共に降り立った。
お願い見ていて一番星 貴方に手が届くその日まで
星の見える夜が いつの間にか怖くなって壁に見えた
あの日見た真っすぐ流れる星が 勇気をくれた
ボルテージは既に最高潮を超えた最高潮、そして流星のターン。
YO! 皆くれる勇気! しょぼくれる日々に! 期待来れり巨大な狂気! Ey そんな事知らんしなんて言えねえし! きりきり出して空元気!
あ、ラップパートあるんだ。
「ラップパートあるんだね」
「今初めて知りましたけど」
「マジ? アドリブだったら逆に凄いよ」
そんな事を言っていると、セットリストが次々と消化されていく。
準備は長いが、終わりは早い。
特効の手数も底を尽いた。しかし、天然の特効が、自然の夕焼けが、ライブ会場を赤く染めている。
「みんな、今日は来てくれてありがとう、急な復活でごめんなさい。驚かせちゃったかな?」
祝福の如く訪れる
「いきなり辞めちゃってごめん、この4年間いろいろな事がありました、辛い事もあったけど、それでも私、ここに戻ってくるって決めたんです」
観客たちは、既に滂沱の涙を流している。
「今、感謝の気持ちをこの曲に込めます、聞いてくださいオウムアムアストレイ」
そうして、朗々と歌い始めるコルデー。これまでとは違い、背中を撫でながら歌うような、優しい歌声。
「ありがとう…………ありがとう…………」
「先輩、ティッシュです」
こっちのファンも滂沱の涙を流しながら、顔面をぐしょぐしょにして聞いている。
その曲は、完全オリジナル。俺達へのアンサーソングでもあり、これまで歩んできた人生へのアンサーソング。
恨まないなんて言わないけど、無くしちゃうのも寂しいから、精いっぱい愛に変えて君に送るよ
まだ、コルデーの事は知らないことだらけだ、だけど、この一節がコルデーが導いた、これまでの人生の答えだったらいいな、なんて思ってしまった。
「太一!」
「なんですか?」
急にスミス先輩が俺の肩を揺する。
「まさかSEを演出にして出して無いよな!?」
「出してないですよ、万一あったら人死に出ますよ」
「じゃあ、あの飛翔してくる
「は!?」
指を刺した先には、コルデーのとは違う
真っすぐ、真っすぐにこちらに向かってきていて、悪意すら感じられる。
視た。それは惑星外の
無線通信の秘匿性を高め、音をかき鳴らす事はしない、そして、もう解除しているが、光学ステルスを搭載している、完全に
「ま、不味い! どうしよう!?」
俺が慌てている内に、その
流星がコルデーの前に立ちはだかっているが、それは最早自殺行為だ!
「流星!」
こんな時に足がすくむ、殺しのリアルに俺はビビっている。
誰か、どうにかしてくれっ!?
「ノンルール!! ファイ!!」
「「「オー!!」」」
突如として、地鳴りにも似た野太い声が、肌を揺らす
「ファイ!!」
「「「オー!」」」
「ファイ!!」
「「「オー!」」」
「へ?」
「ノンルールパンクラチオン部! 出撃!!」