ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった   作:なんちゃってメカニック

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第88話

 地球領宙内。

 そこは、普段なら細かいデブリと宇宙船が飛び交う、人類のメッカであった。だが、今日から3日間、宇宙船はおろか人工衛星すら店じまい。

 

 細かいデブリを湛えた静かな水の星。それが今の地球の姿そのはずだった。

 

 そんな中宇宙に漂う船が1隻、その中では、女がヒステリックに叫んでいる。

 

「一体どういう事なのよ! 絶対に成功するって言ったじゃない!! これは賠償責任よ分かってるの!?」

 

 40代ほど女が、ファンデーションをにじませながら、10代の女に詰め寄りながらそう言った。詰め寄られた少女は、気だるげに言い返す。

 

「悲鳴を上げるな、神経が苛立つ」

 

「誰のせいだと思ってるのよ!」

 

 ヒステリックに叫ぶ女を尻目に、こめかみを抑えながら、少女はさらに言い返す。

 

「まあ、よかったじゃないか、現状お尋ね者になっていないなら、土星機(シャニヌス)の所属隠蔽工作は出来ている証拠だ。それに、モニタ越しとは言え、娘と再会できた、満足だろ?」

 

「私は連れて来いって言ったのよ! それが出来ていない時点で契約違反よ!!」

 

「はっ、元旦那に親権奪われて手出しできない位の振舞いをしたのが悪い」

 

「アレは私の子よ!! 私の元に来る義務があるの!!」

 

 女はこめかみにファンデーションでも隠せないほど青筋を立てながら怒鳴る。

 少女は表情から出る不快感を隠そうとせず、冷たい目で女を見ていた。

 

 そして、別の少女がその少女に声をかける。

 

「まあ、状況としては上々でしょうねぇ。私達だけでは接触すら不可能でしたもの、それに、あの妙なメカニック…………誤算は織り込み済みです、引き続きよろしくお願いしますねエドワウ?」

 

「ああ、そんな名前で名乗っていたな、今はクワトロ・レム・アズナブルだ」

 

「偽名は可変制なんですか?」

 

 冷や汗を流しながら、少女はクワトロに突っ込んだが、クワトロは意に介さず続けた。

 

「出資者は無理難題をおっしゃる、そんなものだ、それに、我々には次の手がある」

 

「惑星交流戦ですね?」

 

「そうだ」

 

 少女同士の会話の最中にも、女は叫んでいる。

 やはり無視されて、少年が1人、少女たちの会話に混ざろうとする。

 

「そうそう、もっと僕のSE強くしてよ! アイツに勝てる位のさ!」

 

「…………腕次第だ、こっちはお前をゴーストファイターに出来るんだぞ?」

 

「何それ!? カッコイイ! やってやって!」

 

 脅しをかけたはずの少女は、呆れたようにため息を吐いて、手だけであっちへ行けと示した。

 

「ちょっと彼が恋しいな」

 

「誰ですか?」

 

「例の妙なメカニックさ」

 

「お、恋ですか?」

 

「そんなんじゃないよ…………。それに別の人間が居るしな」

 

 やはり、少女は恋バナが好きなのだろう、ニマニマする少女と、苦笑しながらはぐらかすクワトロ。そこに、また別の人間が入ってくる。

 今度は20代ぐらいの女が、部屋の中の惨状を見て苦言を呈した。

 

「少しは落ち着いてくださいな」

 

「っ!? これが落ち着いていられますか!?」

 

 女は対面した。噛みつかんばかりのババアはガミガミと、歯牙にもかけない女は淡々と話す。それを横目に、少女たちは愚痴りだした。

 

ババアも王女様位おしとやかになって欲しいよ…………」

 

「王女様、妹ぶっ殺そうとしているヤバい人ですよ?」

 

「ここまで来たら関係ないよ」

 

「それもそうですね」

 

 そんな事を言いながら、愚痴り合う2人。どこか呑気な物だったが、その空気は艦内放送で打ち破られる。

 

「あー、お嬢さん方。なんか学園からめちゃめちゃ出撃しているんだが、どうする?」

 

「「「「「は?」」」」」

 

 艦内のモニターに、全星進隊(プロトン)が保有する母艦が大量に、真っすぐこちらに向かって飛んできていたからだ。

 一瞬で硬直した空気。思考が止まり、思考が動き出した者達から、母艦がキャッチした映像を正しく認識し顔が青くなっていく。

 

「どういう事なんですか!? アレ大体の星進隊(プロトン)出張っているんじゃないですか!?」

 

「分からん! オウムアムアにそんな資金力は無いはずだ!」

 

「まずは落ち着くのです。とりあえず紅茶でもアチィ!? ぶっ殺すぞ!」

 

「ティーカップに切れてどうするのよ!!」

 

「こんなルートあったのか!?」

 

「僕出撃る?」

 

「出んな! 勝てる訳ないだろ!」

 

 しかし、言い合っている間にも刻一刻と、大船団が追いかけてきている。

 そして、通信越しに先ほどとは別の男性の声が聞こえてくる。

 

土星機(シャニヌス)を全機出撃させなさい。同盟陣はドックへ来なさい」

 

「訳わからんが、みんな行くぞ!」

 

「なんでエドワウが音頭取ってるんですか!!」

 

 それでも、ヒステリックなババアはついて行く。

 そんな最中、エドワウもといクワトロは気が付いたように独り言を喋る。

 

「…………あー、冷静になってきたらあのカス、母艦捨てて逃げる気だわ」

 

「えっ!?」

 

 それに反応した人間に返すように、クワトロは走りながら説明を続けた。

 

「この船に乗ってる土星機(シャニヌス)は詰めに詰め込んで200機、それだけあれば破壊に紛れて逃げる事は出来るだろ?」

 

「なるほど、それなら私達は助かるわね! よし! コロンボの船長を犠牲にしましょう!」

 

「ついでにそこのゴミはおいて行こう!」

 

「それ大切な出資者ですわよ!?」

 

 そうして、会敵まで後5分。

 ギャグ落ちするまで、後30分。

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