ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった   作:なんちゃってメカニック

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Cauldronの本領

 ◇ ◇ ◇

 

「敵艦交戦距離まで後1分です。準備は?」

 

「大丈夫!」

 

 オウムアムアの母艦には、やる気十分のパイロットたち。それぞれのSEをカタパルトに乗せ戦闘の時を待っている。

 

「頼んだぞメリル」

 

「皆様だけでなく、学園の期待を背負っていますの、任せてくださいまし!」

 

「Tabooシステム良好、いつでもできる」

 

 俺の怒りも載せて行って貰いたいが、Tabooは乗っている本人のテンションでしか行けないからなぁ。なんてしみじみと思っていると、そろそろ発艦の準備をしている。

 

「カウントダウン5」

 

 アリアが真剣な表情でレーダーを見ている。

 

「4」

 

 イルシアが獰猛に笑いながらその時を待つ。

 

「3」

 

 ゼリアとピールが目を瞑りその時を待っている。

 

「2」

 

 ベローナが神経を研ぎ澄ましている。

 

「1」

 

 流星が操縦管を強く握りしめる。

 

「0」

「Taboo touch up!!」

 

 出撃と同時にメリルがTabooシステムを起動! カタパルトが軋み、流星の乗る地球機(ゲイザー)を引っ張りながら、最高速度で出撃する!!

 

 他星進隊(プロトン)の所属している数少ない水星機(ヘルメス)も引き離して、ぐんぐんと速度を上げて突撃、相手も土星機(シャニヌス)を発艦させているが、時すでに遅しもう間に合わない。

 

「パージ!」

 

「手筈通りに!」

 

 流星は発艦するSEの対処、積載している土星機(シャニヌス)の量が過剰だが、それに物怖じせずに突っ込んでいく。

 

「何機か見えないのが居る! うおっあぶな!?」

 

「ステルス迷彩!?」

 

 光学ステルス機に改造されていた土星機(シャニヌス)の攻撃を、何故か躱す流星。

 

 土星機(シャニヌス)全機のステルス迷彩を起動するのではなく、少数に分けてステルス迷彩を起動。

 人間の目は見えている物を追ってしまう、見える物と見えない物が混ざっていると逆にやりにくい。相手は結構なやり手のようだ。

 

「ステルス迷彩を確認、星進隊(プロトン)のテレベルム、熱源レーダー起動。参加している星進隊(プロトン)に情報連結申請。これで暴れて来てください」

 

「レーダー情報連結! 熱源レーダー情報補正!!」

 

「助かる! Taboo touch up!!」

 

 ステルスを起動していた土星機(シャニヌス)に、遅れてやってきた他星進隊(プロトン)が所持する高性能レーダーの情報を連結させる。

 

 地球では様々な熱源がある為意味をなさないが、宇宙空間では熱源での探知が一番効く。彼らはもう既に丸裸だ。

 

「太一のSEがあればお前らなんて!!」

 

 流星は相当キレている様だ、通常の地球機(ゲイザー)だが、Tabooシステムで動きが良くなっている。

 

「時間稼ぎは上々だな! 友軍識別コード全配布完了! リゲル現着! 一緒に暴れようか!」

 

「ありがとう!」

 

 俺達より遅く出た星進隊(プロトン)のSEが、次々と戦場へ到着してくる。

 

「あまり壊すなよ! 母艦何ぞ隕石と何ら変わらん!」

 

「エコー情報連結! 丁寧に解体したってや!」

 

「あんまり壊さないで! A班はB班の護衛! B班は撃破した土星機(シャニヌス)の鹵獲! C班はドックへ格納して!」

 

「外装1㎡で10は行きます、最悪艦橋さえ残せば良いので、目いっぱい解体しましょう」

 

「敵母艦ブースター解体完了! 後は料理してやるだけです!」

 

「バラバラに逃げているので1機1星進隊(プロトン)で追ってください!」

 

 土星機(シャニヌス)以上の数の暴力が、地球機(ゲイザー)によって行われているのに少し引いた。

 

 アドリブでここまでの連携を可能にさせているのは、地球機(ゲイザー)の共通規格が優秀なお陰だ。被弾したら無理なく引いて、即時修理し出撃、数もさることながら継戦能力も高い。

 

 …………ここまで暴れれば、妙な非難もやっては来ないだろう。

 

 

 

 

 そうして、30分足らずでレーダーには敵機の1つも残されていなかった。

 

「確認戦力、母艦1隻、土星機(シャニヌス)1()9()8()機。全機沈黙を確認しました。私達の勝利です!」

 

「みんなお疲れ!」

 

「うん、協力してくれた星進隊(プロトン)のおかげだね! 私達だけであの量を捌くとなると、無事じゃすまなかったよ…………」

 

「こうして協力してくれたんだ、今はそれを喜ぶとしよう」

 

 流星がそう言って、イルシアが今回の一件について少し愚痴った。

 俺はそんな事より、これから先どうなるのかアリアに聞いた。

 

「敵対勢力の尋問…………いえ、被害者への聞き取りは、生徒会がやってくれるそうです」

 

「そうか、流星、これにて一件落着だ、よく頑張ったな」

 

「太一もな、よーし帰ったら打ち上げしようぜ!」

 

「いいですわね、あの時のバーベキューも楽しかったですわ」

 

「あ、今度は焼肉にしよう…………アレならコルデーも出張らないから」

 

 確かに、頑張ってくれてたとはいえ、もう誰かを過労にまで追い込むのはやめにしようと、BBQを用意してくれたコルデーを思い出す。

 軽口をたたき合いながら、俺はそろそろと、帰投する様に促した

 

「じゃ、みんな帰ってこい。Tabooシステム使ったから関節系ガタガタだぞ?」

 

「そうするか、真壁流星帰投s「ズキューン!!」へ?」

 

 流星の乗るSEに、さっきまでレーダー上で友軍だった地球機(ゲイザー)から銃撃された。

 とっさに流星は手持ちのシールドで防御したから損傷は盾だけだが、その凶弾に俺達はあっけにとられる。

 

「あれ!? さっきまで友軍だったよね!? 今レーダー上だと全部敵軍になってるんだけど!?」

 

 俺がアリアの管制機器を奪う様に広域通信で呼びかけてしまった。

 

「カルドロン…………もう始まってるぞ?」

 

 帰って来たのは、困惑気味に言われた、その一言だった。

 

 

 

 

 カルドロンは全星進隊(プロトン)が一堂に会して戦うイベント。それは星進隊(プロトン)単位でのバトルロワイヤル形式だ。

 もちろん、カルドロン中の共闘申請もOK。…………そう言うのはミーシャに頼んでいたからなぁ。

 

 半ばあきらめながら俺は、直ぐに叫ぶ。

 

「全速前身DA☆!!」

 

「はい!!」

 

 母艦を全速前進! 周りの友軍だった物は、既に敵と化している!!

 

「なんで逃げるんですか!?」

 

「壊れたら修理が面倒だろ!? 流石に何も用意していない状態だと6機の大破は骨が折れる!!」

 

「分かりました! 皆さん指定地点で落ち合いましょう! そこまで逃げます!」

 

 そこから先は、俺達は必死に逃げた。母艦の燃料も考えずにブースターを吹かす! 一瞬でも緩めたら追いつかれる!!

 

「逃げんなよオウムアムア!」

 

「同盟は陣形を組んで! オウムアムアを追いかけなさい!」

 

 広域通信からそんな声が聞こえる。

 

「なんで俺達を目の敵にしてんだ!! ちょっとは逃がしてくれてもいいだろ!?」

 

「シミュ模擬戦はありがたかったけどそれはそれ!! 1機で3人以上相手出来る人間が、6人も居る所なんかさっさと落としたいでしょ!?」

 

 …………俺達は頑張り過ぎたようだ。

 ぐうの音も出ない正論。誰だってそーする、俺だってそーする。しかし、そんな時に救いの神が!!

 

「個別通信です!」

 

「なんだ!?」

 

「パイスーの材料で契約結んでくれたら味方したってもええで~」

 

「ウェスタ・モーロックのライブ独占放送権を頂けたら我が星進隊(プロトン)はオウムアムアへ味方しますが? 如何でしょう?」

 

「ミーシャ!! 助けて! ケツの毛まで毟られそう!! どうせ勧誘だ! 通信切っとけ!!」

 

「はい!」

 

 勧誘だった。この誘いに乗ってしまっては、M&A位までは行きそうだ!!

 

「太一!」

 

「なんだ流星ェ!!」

 

「楽しいな!」

 

「言ってる場合か!!」

 

 俺は、そう言いつつも、この魔女の大釜(カルドロン)みたいなカオスに口角が上っていた。確か生き残った星進隊(プロトン)の順位によっても、文化祭の成績とは別に単位や金を貰えるようだ。

 

「精々生き残ってくれよ! 俺は直すだけだけど!」

 

「頼んだ!」

 

 宇宙を釜にして、青春の熱で煮込んでいくそんなCauldronの本領発揮だ。俺達の学園生活はまだ終わらない────。

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 戦闘宙域から、からがら脱出した土星機(シャニヌス)の中では、女たちがぎゅうぎゅうと詰めている。

 

「うーん。何が悪かったのか。と言うか熱いな」

 

「あなたの全部よ全部!! と言うかそっち詰めなさいよ!!」

 

 そんな言葉を無視して、今回の1件の干渉を少女が述べた

 

「ほぼすべての星進隊(プロトン)が来るとはね…………予言みたいなエドワウ、もといクワトロさんの助言も今は形無しね」

 

「ははは、流石に予言は出来ないな。ちょっと狭いな、ゴミ、じゃなかったスポンサー、そのヘルメット外してくれ、少しは狭さがマシになるだろう」

 

 20代ぐらいの女性が、それに軽く同意しながらCauldronの事について感想を述べた。

 

「ええ。それにしても、あれだけの土星機(シャニヌス)をものの30分で…………そしてその後は仲間割れって」

 

「水星だとそんな文化は無いの?」

 

「なにぶん数が少ないですからね、少し羨ましくもありますが、基本は引いてます」

 

「引いてるんだ…………」

 

「無駄話してる場合!?」

 

「後は漂いながら、ほとぼり冷めるのを待ってから別働隊が救援に来るって話しただろう?」

 

 きぃ────!! と猿のように叫ぶババア。

 

「それに、アレを使えば一撃だったんじゃないの!!?」

 

「出せないって言っただろう? それに出したら娘ごと死ぬぞ」

 

 そこで、クワトロは言葉を溜める。

 

 

 天海冥機デスウラヌスは。

 

 

 そう言い放つクワトロとより発狂するババア。これ以上に騒がしくなりそうだ。

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