ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった   作:なんちゃってメカニック

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ピース

 

「だー! クソ!」

 

「わわっ!? いきなり大きな声出さないでくださいよ!?」

 

 今日も掲示板を見ている。

 掲示板を見る限り、オウムアムアがヤバいと思われながらも結構支持されて来ている事、改造機に関しては期待されてはいたが、漠然とした期待を持たれていて、実際に、どの技術を使えばいいのかわからん! 

 

 そんな訳でうんうんとパソコンの前で悩んで居ると、先ほど驚いたアリアが俺に話しかけて来る。

 

「そんなに掲示板が気に入ったんですか?」

 

「そう言う訳じゃ…………そう言う訳でもあるんだけど」

 

 どことなく前世の匂いがするこの掲示板は、俺は結構気に入っている。まあこの掲示板の専門用語とか知らないから、疎外感とか凄いんだが。

 ははは、転生して赤ん坊になって周囲の状況を確認したら、ちょっとホームシックになった事思い出した。

 

 出そうになった涙を頭を振って話を続ける。

 

「この掲示板、SEの通信を使ってるんだろ?」

 

「はい、星進隊(プロトン)が持っているSEの相互通信を少々間借りしてるって形ですね」

 

 それで前世並の掲示板が出来ているのがSEの凄い所だ。

 つまり、それに関して

 

「クワトロ・レム・アズナブルって女が、俺達のドックに侵入したって言うのは共有したよな?」

 

「ええ、確か、学園に報告した時には問題は無いと判断したらしいですけど…………あっ」

 

 そう、何か仕掛けられているとしたら、俺が不得手なシステム側。

 そして、星進隊(プロトン)の持ち物は学園側はほぼ不可侵。一応調査は依頼して、学園の人間にも見せたのだが、掲示板が存在している事を前提として無視して動く、もしくは、学園側にも秘匿されているのであれば、この掲示板の領域には触れていない事になる。

 

「アリア、ちょっとドックへ来て調べてみてくれないか?」

 

「なるほど…………分かりました、すぐ行きましょう」

 

 その返事は非常に頼もしい物で

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 ゴロゴロと、俺はアリアの荷物を押している。用意していた台車が軋む音が聞こえる程の重量物。

 何を運んでいるのかと言われれば、アリアのパソコンなのだが。それにしても…………。

 

「重くない!?」

 

「頑張ってください! 私も引っ張ってますから!」

 

 そう言いながら台車に括りつけたロープを引っ張るアリア。

 とはいっても、乗せたの俺だし!? てか何する気だよ!? こんなゲーミングビカビカ九龍城PCでよォ!! 

 

女ァ! どいてろォ! (アリアさんここは私が)お前の仕事はこの先だぁ!! (運びますから今は休んでください)

 

「つべこべ言わず運んでください! 2人なら早く着きますよ!! 後ありがとうございます! 気を使ってくれてるんですね!」

 

「言うな! ちょっと恥ずかしいだろ!」

 

 クソー! 文句の一つも言いたくなるぐらい重い! バリアフリーはどうなってんだ! 寮からここまで坂が多いんじゃ!! いやバリアフリーだから坂になってるんですね! 

 疲れも溜まる道半ば、無言で押している所で俺達に声がかかる。

 

「太一にアリア、どうしたんだ二人して?」

 

「べ、ベローナか野暮用でこれをドックへと運ばなければならん!」

 

 こんな時に整備科(メカニック)のマッチョ共が居れば!! 文化祭で何人かと連絡先交換しておけばよかった! 

 ベローナは片腕だし女の子だしでこういう場合は頼りに出来ない。

 

「良ければ手伝うぞ」

 

「ベローナお前は…………かるぅーい!」

 

 アリアが引っ張るロープを奪う様にして持ち、ベローナが引っ張った瞬間、押している俺の負担が軽減された

 

「常日頃から鍛えてない訳じゃないぞ、この位軽い軽い」

 

「ベローナさん! 流石です!」

 

「俺の心に…………敗北感が?」

 

 もうちょっと鍛えようかしら? 

 そんな事を思った一幕がありながらドックへ到着した。

 

「そう言えば、野暮用とは一体何だ?」

 

 そう聞くベローナに、SEにさっそく持ち込んだパソコンを繋いで、弄り始めているアリアに変わって、俺は説明を入れた。

 

「侵入者がドックに入ったって話はしただろ?」

 

「ああ、そう言えばそんな話をしていたな」

 

「あらゆる可能性を探して、当たったのが匿名掲示板だったって感じだ」

 

「…………凄いな、あの話を聞いて、そこにたどり着けるとは。私も気が付ければよかったのだが」

 

「そう凄いもんじゃないし、ベローナが頑張るのはこれからだ」

 

 そう言って、俺はベローナの手を引いて、ドックの奥へと歩く。そして、奥に居たのは。

 

「これは!?」

 

「お前専用の改造機だ」

 

 未だ外装しか出来ていないが、夏休みに披露した火星機(リーチャー)の改造機、その具現。

 

「名前はエクシア…………じゃなかった、ピースリーチャーだ」

 

 ピースリーチャーは、右腕を喪失した部分にマントを羽織った細身の体躯のSE。

 左腕には、太目の杖を模した中遠距離用のヒートロッド兼ビームライフルがマウントされており、左側腰部にマウントされた短剣型の実体剣を装備。

 

 マントはビームを纏う様に改造され、燃費は悪いが防御と攻撃を兼ね備える。隠し玉もあったり。

 

 まあ? 一応顔は普通にしてるし? そんな壊れる事なんてなぁ。あっはっはっは。

 

「…………」

 

「ん?」

 

 とはいっても、まだまだ外見しか完成していない。それに気が付いたようで、ベローナの顔は曇っている。ここからビームマントの作成やら、フィッティング作業で忙しくなるんだけどな!! 

 もちろんフィッテングには付き合ってもらうぜぐへへへへ。

 

「…………欠片に手を伸ばせか。ははは、足りない私にはピッタリだな」

 

「違う」

 

 俺は乾いた笑いを垂れ流す泣きそうな顔をしたベローナにそう強く言う。

 

「平和だ」

 

 平和を求めて戦い続けた者達に、一瞬で思いを馳せる。

 

 心が戦場だから誰にも救えない

 

 そんな歌詞が頭に流れる。

 なら平和にしてやるしかないじゃないか。

 

「何年だよ、何年お前の心が苦しんでたんだよ。正直、この短期間でお前の心が癒せるなんて思ってない」

 

 俺は指をベローナの胸に突き付ける。

 

「今でも、そこ()は戦場なんだろ?」

 

「…………」

 

 ベローナは押し黙る。

 戦争だけが心を壊す訳じゃない。

 ドックの奥底に鎮座するピースリーチャーからの反射光だけが、俺達を照らす。

 

「心を平和にする方法なんか知らないけど…………旧世紀のように少しづつやってくしかないだろ? 欠片を拾い集めるように、少しづつ平和な心を組みなおす。その中の欠片(ピース)に、俺達が成れないだろうか」

 

 

 ベローナの左手が、俺の頬に流れた涙をぬぐった。全然気が付かなかった涙に、困惑した顔をしていると、ベローナが笑った。

 

「ごめん」

 

「いいさ、少しショックだった、それだけだ」

 

 そう言って、ベローナは。左手をぐるぐると回して、元気に言った。

 

「さーて、フィッティングはまだか?」

 

「ごめん、外見だけ出来てるのを自慢したかっただけで…………」

 

「わー!? そんなに泣かないでくれ!?」

 

 涙で前が見えねえ。

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