ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった 作:なんちゃってメカニック
ピースを泣きながら披露して、次の日。
「アリア…………さん?」
「うふふふ、この
目に隈が出来たアリアが隊室で待ち構えていた。
どうやら話を聞くと、元がSEの通信を利用しているせいでログを辿るのに難航したらしい。
あのぉ、あの女が調べていた事が分かれば良いんですが…………。他の
「この匿名掲示板、情報が別の
「あ、マジ?」
「ですが、掲示板にアクセスした
そこでアリアは言い淀んだ。
「太一さんは、文化祭期間中にSEで掲示板にアクセスしてる訳じゃありませんよね?」
「もちろんそうだが?」
文化祭自体は時間もあったし楽しめたが、SEに触る余裕なんかなかった、と言うか匿名掲示板の存在を知ったのもついこの間だ。
「どれだけ漁っても
「俺の学園内IDが抜かれているのか?」
推定あの女の目的不明の行動に、俺は少し冷や汗を流した。だが、アリアはそれを察してか、俺を落ち着かせるような声色で、結論を言った。
「いえ、学内の誰かのIDが盗まれる事があれば、もっと悪用出来るはずなので、それは無いですね。学内のセキュリティシステムを全て覗いて来ましたが、太一さんのIDで行われた不審な形跡は、文化祭7日目以降ありません」
「それなら大丈夫か…………ごめん、アリアゆっくりと寝なよ?」
俺が巻き込んだ形になったが、何も学園内のセキュリティをハッキングしてまで見なくても良いのに…………。と、アリアの体に配慮をした反面、グッジョブとありがとうがあふれ出る。
「太一さん良いんですよ、私もあの時のリベンジが出来て楽しかったです!」
「…………ごめん、学園。
「謝るのそこなんですか!?」
「そこしかねえだろ!?」
逆に、そこ以外何があるのだろうか?
なんか申し訳ない気持ちを抱えつつ、俺は話を切り替えた。
「それはともかく、変な人間の変な行動は、現状では俺達の活動に支障はないって感じか」
「そうですね、変な人間に言われるのもその女の子にとって心外だと思いますけど」
「あ?」
「お?」
俺とアリアの間に、熱いメンチビームが弾ける。
少しして、俺達は笑い合った。
「まあ、自覚はある」
「…………私も、皆さんと過ごしてそんな自覚が出てきました」
遅くない?
なんて言葉が口を突いて出なくなったのは成長の証である。
◇ ◇ ◇
オマケ
その後、少しばかりアリアと会話しながら作業していると、隊室にイルシアが入って来た。
「お邪魔~。おっ、2人だけなんて珍しいね」
「イルシアか、アリアにちょっと用事があってな」
「へー。あ、丁度いいからちょっと2人に相談があるんだけど、いいかな?」
「なんですか?」
「それが、ミーシャの事なんだけど、しばらくミーシャの様子を見た人いる?」
イルシアにそう言われて、記憶を掘り返すとしばらく姿を見ていない。チャットツールじゃあ、既読が付いていたから死んではいないと思うが…………。
何だ? 風邪がぶり返して、まだ寝込んでるとかか?
「大丈夫なんでしょうか?」
「ああ~、2人も見てないか。それならちょっと不味いかも…………」
そう言いながらイルシアか頭をガシガシと掻く。
「何が不味いんだ? 体調不良でまだダウンしてるのか?」
それなら見舞いにでも行こうかと、腰を上げると、予想外の事を言われた。
「そう言うんじゃないんだけど。ミーシャ金星の仕事辞めたんでしょ?」
「そう言ってましたね」
「うん、だから、もしかしたら金星病に罹ってるかもしれない」
「金星病?」
「金星病ですか? そんな病気聞いた事がありませんが…………大丈夫でしょうか?」
右に同じく聞いた事が無い病気。
金星特有の病気なんて聞いた事無いし、よほどのことが無い限り、疾病なんかこの世界で流行った事が無い。
「いや、実際の病気な訳じゃなくて。ほら、私、金星の仕事辞めて学園に来た時、かなりテンションが高かったでしょ?」
「…………そう言えばそうだな」
確か、一緒に風になっていたような覚えがある。
「金星の激務でやられた人間が、仕事を休むと、思いっきりハメ外しちゃうんだよね。それも、かなりの長期間」
「まあ、お前の時も思ったが、3日4日位なら良いんじゃないか?」
俺がそう言うと、イルシアが困ったように頬を掻く。
「私の場合は、向こうでエースなんて呼ばれてたけど、実際には平社員。だから、給料もそれなりにしかもらえなかったんだけど、ミーシャの場合はさ、学園に居ながら、会計監査っていう会社のお財布管理係をこなしてた訳じゃない?」
そう言って、イルシアは言葉を切った。
どうなるというのだろうか?
「だから、お金が使えないまま、大量のお金が手に入って、その上、今までより長い休みを手に入れた瞬間ハジケちゃうのが、金星病って訳」
「なるほど、金はあったが使う暇がなく、退職したらその余ったお金で豪遊しちゃうって事か」
「そういう事、私の場合はお金は無かったから、惰眠を貪る程度で済んだけどね」
そう言って自慢げに胸を張るイルシアに、アリアから質問が入った。
「金星病の事は分かりましたが、それは良い事なのでは?」
アリアが言った事に俺も同意する。
これまで忙しかったんだから、ハメ外す位許したって良いと思うんだが?
「それはそうなんだけど、ミーシャの場合だt」
「おはよう」
イルシアの話を遮って、軽い口調で件のミーシャが入って来た。
「………………幼い頃から仕事にどっぷり浸かっていた感じだったから、プライベートな金の使い方が分からないと…………ごめんねミーシャ。こうなっちゃうんだよ」
「ん? なんの話だ?」
ミーシャが化粧で、ファッションで、化けている。
「そうだ、見てくれ。高級ブランドを買いあさり、金銭で超武装を施した私のプライベートなファッション…………完璧だ、三桁万をかけた甲斐があったという物だ!!!」
何という事でしょう! 匠の手によって、口に高級であろう口紅を塗りたくり過ぎて、今ではビックマウスに。ファンデーションも、厚く塗り過ぎて少し剥げているではありませんか。
匠の手に掛かれば、服に統一性は無く、複数のハイブランドから乱雑に選んだような衣装と装飾の数々、まさにピエロです。
「金星じゃ金がすべてで、金を掛けるのはスーツ位しかないから…………」
俺達は、その場で無言で全員を招集した、ほどなくして、全員がミーシャの恰好に絶句した。
酷く困惑した後、俺に視線が注がれ、皆の視線がこう物語っていた。「お前が注意しろ」と。
ため息を吐きながら、懇々と丁寧に、今のミーシャがどれだけダサいかを説明し、その果てに泣いてしまったミーシャを連行しながら、学園外に買い物に行く事になったのであった。