ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった 作:なんちゃってメカニック
「昨日は済まなかった」
「冷静になって考え直してみれば、アレは無かったな」
俺とミーシャがドックでそんな会話をしていた、金星病から脱却したミーシャ。
「本当に脱却してくれて良かった…………」
「心に深い傷を負ったがな!」
それは本当にゴメン。と、心の中で謝っていると、俺が呼びつけたゼリアとピールも会話に参加してきた。
「でも、たいっちもさ、大人になって仕事辞めたら同じ事になるんじゃないの?」
「想像はできるね~」
「そうか? 仕事は嫌いだし、そんな事にはならんとは思うが?」
そう言うと木星の2人は、なるほど、と言った感じの顔をしていたが、ミーシャは違った。
「君の場合は退職金や、使えなかったお金使って超絶奇妙なSE作りかねんぞ? 結局のところ、金星病は抑圧と開放のギャップで起こる物だし」
「いやいやいや、俺はSE操縦出来ないしそんな事はないだろ?」
「おんなじタイミングで流星も仕事辞めたら? 定年退職の時期は同じだろう?」
「作るな!? あっぶねー! 絶対作るわ!! 予算度外視した超高級品!!」
想像したら無駄にビカビカと光らせそう! うっきうきで新造してる未来が見える!!
将来の想像を膨らませていると、改造の手が遅くなるほどに動揺して冷や汗を流していた。
そんな俺を見て、3人は笑った。
そんな中、俺はふと思いついて、3人にとある疑問を投げかけた。
「そう言えば、お前達は将来の夢みたいなのってあるのか? ミーシャは金星の仕事辞めたし、ゼリアとピールにはそんな話、聞いた事無かったしな」
「「「ああー」」」
三人は口を揃えて、口から感嘆の声を漏らした。その後、3人共黙って考え込んでいた。
「たいっちは確か、実家継ぐんだよね?」
「そうだけど、ゼリアに言った事あったっけ?」
ゼリアの前で俺はそんな事言った覚えがないのだが。
「棟梁から聞いたの~」
「棟梁? ああ、大会用依頼の時の!」
そうそう、と2人は同時に言った。
棟梁って言うのは、木星建築作業団のトップ。大会用依頼じゃ、結構目にかけてくれた人だ。
「てか作業団と繋がりあるんだったら、そっちの方面には行かないのか?」
「うーん、それもねぇ。揺らいでるって言うか?」
「私達、最初の頃はそれを目指してたんだけど~。今は夢の選択肢が一杯あって、夢聞かれて今悩み始めたの~」
まあ、難しい話だな。
俺も前世じゃ、ゼリアとピールの年齢で考えた事も無かったから、意地悪な質問だったかもしれない。
ミーシャはその言葉を聞いて、驚いていた。
「今なのか!? …………確かに、私もノリで仕事辞めてきたような物で、夢とかは無いから人の事は言えんがな!」
「なんで自信満々なんだよ!?」
胸を張ってサムズアップしながらそう言ったミーシャ。
「あ、そうだ、じゃあさ! たいっちはどうして実家継ぎたいって思ったん?」
「参考にさせて~?」
ゼリアとピールにそう言われて、少し考えた上でこう答えた。
「あー、親父との関係性かな? どちらかと言えば、親父っていうよりかは、ライバル視してる節があるしな」
「では、極東で学びながら実家の手伝いをすればよかったんじゃないか?」
その選択肢もあったが、一番は…………。
「その理由は…………流星が行くって言ってたかな」
「友情だね~」
ニマニマとピールが笑いながらそう言ったのを見ると、俺はどことなく恥かしさを感じてしまって、無駄に元気に返した。
「おうよ! 幼馴染兼親友だしな! …………っと、終わったぞ」
俺は話を切り替える丁度いい機会だと、改造の手を止めた。
するとミーシャが、今気が付いた質問を俺に投げかけた。
「そう言えば私達3人を呼び出して、どうする気だ? なんの整備をしてたんだ?」
「それは、2人の改造機の設計図を書き上げたから、所感を知りたくてな、ミーシャは勝手にお金計算してケチる所はケチってくれ」
「えー!? 本当!? たいっちマジやるじゃん!」
「私達だけ改造機無くてちょっと泣いていたんだよ~」
そう言うとミーシャはため息を吐いて、対照的に2人は盛り上がった。
本当に
「これまでの2人の
「6パターン? そもそも大丈夫なのかそれは?」
ミーシャが、操作の混乱を心配しているようだが、さらに俺は追いうちを掛ける。
「随伴機が存在しない状態での合体変形も込みで合計6パターンだ!」
「2人とも本当に大丈夫なのか!?」
2人は胸を張って答える。
「いいよ~。どんなじゃじゃ馬でも乗りこなしてみせるよ~」
「上等じゃん? 木星じゃ、変形の多さは喜ばれるし?」
どうやら自信満々のようだが、ゼリアが俺に釘を指す。
「たいっちに言えることじゃないけど、器用貧乏にだけはしないでよ?」
「もちろん。これが、お前達の持ってた
まず、ゼリア機が黒い細身の機体で、ピール機が白いマッシブな機体となっている。そして最大の特徴が、ウェポンラック兼、合体中間機兼、エネルギータンクである無人随伴機だ、名前を…………そうだな、チェインボールとでもしようか。
チェインボールは、スピカのどちらでも背部にマウントも可能、無人機による単独飛行は的になる可能性もあるが、マウント可能にしてそれを軽減。エネルギータンクも兼ねている為、単独よりかは行動時間を伸ばす事に成功している。
主な運用方法としては、キャッチボールのようにチェインボールを適宜付け替えて、変形しながら数々の武装を切り替えて位置取り、2機もしくは3機分の火力を生かして、敵を撃破する算段だ。
もちろん、無人随伴機が戦闘中、任務中にぶっ壊れても居ない場合を考えて、その合体変形パターンを実装しているから問題は無い。
「ねえ、これすぐにシミュレーター出来るの!?」
「出来る、まあ、好きに状況設定して、遊んで来い」
俺がそう言うと、2人は走ってシミュレーターの方に向かう。
なんだか流星を見ているようで、なんだか微笑ましかった。
ニコニコと走る背中を見ていると、ミーシャがぼそりと呟いた。
「…………予算足りるかなぁ?」
「…………何とかするよ」
実務的な部分で苦言を呈されては、俺は何も言えなかった。
これから、予算とのにらめっこが始まろうとしていたのだった。