ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった   作:なんちゃってメカニック

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ヘルヴェティ

 ここ最近、他の星進隊(プロトン)の情報をかき集めて居るのだが、オウムアムアはかなり特殊な事が分かったのだが、それは依頼を決める所から結構変わっているようだ。

 

 普通、星進隊(プロトン)のリーダーが単独で依頼や活動を決め、その最中に、隊員の意見を聞くことがあるのだが、俺達は全く違う。

 

 隊員の皆の話を流星が直接聞いて回って、やりたい事をリストアップ。

 その際ミーシャやコルデー、それに加え、俺が整備士的観点で必要な物が出た時にも、流星に直接伝え、また流星が星進隊(プロトン)の方針を決める。

 

 そんな隊員の意思決定度が非常に高い珍しい星進隊(プロトン)だという事が分かった。

 

 それと、星進闘争(アンティバトル)は多くて1年に1桁後半程度で、1年にやらない所もあれば10桁を越す所もある。

 テラマキナ学園(地球)でこそ毎日星進闘争(アンティバトル)はあるが、それも星進隊(プロトン)の母数が多い地球だからこその物らしい。

 

 だからこそ、一つ疑問が浮かぶ。全ての始まり、一番最初の星進闘争(アンティバトル)、その原因の人を、ドックに呼び出して聞いてみた。

 

「…………じゃあ、何でいきなり、メリルは星進闘争(アンティバトル)を挑んできたんだ?」

 

「あ、あはははは。若気の至りと言うのは、なかなかに説明しがたい物ですわね?」

 

 メリルはそう言って「流星さんに聞いてませんの?」と、俺に聞き返したが、俺は首を横に振るだけで答えた。

 

「水星王族の事は知って居まして?」

 

「原始的ヤクザシステムって事位しか」

 

 とりあえず、王族がトップ。その下に直系の子孫や、王族に認められた義兄弟的な人間が、整備系、経済系、パイロット系などのトップや中間管理職に就いて、下々の民を統治する形で国家運営をしている。

 非常に旧世紀的だが、水星は人口が少ない為、これで何とかなっているようだ。

 

「私は、第2皇女に生れ落ちた時に、ほぼほぼ道は決まっていました。地球に留学してきたのも、それが原因ですわ」

 

「それでなんで星進闘争(アンティバトル)を吹っ掛けて来たんだ?」

 

「それは…………水星内での地位を高める為に、自らの星進隊(プロトン)を大きくする必要があったのです」

 

 苦笑いしながら、そう言うメリル。

 留学系の星進隊(プロトン)は、どことなく留学元に影響は受けているが、水星の留学系星進隊(プロトン)はその比じゃなく、影響と言うより、水星皇族の傀儡に等しい。

 

 そうなると、メリルの元居た星進隊(プロトン)は、水星王族であるメリルが来た事によって、例えるなら係長クラスの特権を持っている人間が遠隔で監視していた状況から、部長クラスの人間が現場に来て命令を下していった、という状況になっていた。

 

「だから、チームリーダーに王族だから自動的に成って、水星での地位を高める為に、誰彼構わず挑発を続けていたって事か?」

 

「はい…………」

 

 へー。それで、俺達と当たって負けちゃったって事か。

 確かに、水星的に考えて、出来立てほやほやの星進隊(プロトン)に、ボロカスに負けたというのは体裁が悪い。だから勘当もされるわけか。

 

 メリルの顔が、少し曇っている。

 まあ、自分の失敗を説明してくれって言われて、素直に出来る人間の方が少ないよな。

 

「今になって、余裕が出て来て、ちょっと気になっただけだ。別に責める気は無いから安心してくれ」

 

「違いますわ。あの時の私は、必死過ぎて周りが見えて居ませんでしたの。それが、なんとなく、悔しいのです。ここに来てから、仲間と言う物が初めて出来たのです、こんな温かい物なら、今まで私が居た所でも、出来たのではないかと…………」

 

 さらに顔を曇らせるメリルに、俺は慌ててフォローを入れる。

 

「俺忙しくないと、余計な事言っちゃうのかなぁ!? 止めてやめて! 別に泣かせるために聞いたんじゃないからね!?」

 

「な、泣いてなど居ませんわ!?」

 

 2人の空元気が、歯車のように回ってドックで叫び出す。互いを思いやって話す事も、これまでの人生で少なかったのだろうか?

 

 …………確かに、2年でいきなりチームリーダーになるような状況に居た訳だし、おだてられたり、諂われるようなことしかされていなかったのだろう。

 

「それに、後悔を数えて生きるだけの生き方なんて御免だし、これから仲間に対してどうするかって言うのを覚えて行けばいいだけだ」

 

「そうですわね」

 

「ただ、過去ってもんは一番辛い時、もしくは一番幸せな時に襲ってくるもんだし気を付けてな?」

 

「何歳なんですの?」

 

 前世じゃ余裕でオッサンだが、今ではぴちぴちの学生だ。

 

「何歳でもいいだろ? 俺は、それなりに人生経験積んでるの、非凡や天才が悪いって訳じゃないけど、平凡だって貴重な経験なの、そう思ってる位には大人なの」

 

「それにしては子供っぽいですわね?」

 

 メリルが悪戯っぽく微笑みながら、俺をからかってくる。

 

「俺は、子供と大人を分けるのは責任と寛容だと思ってる。自身に責任を負う事、他人に寛容であれる程の経験があるかないか、それさえ押さえて置けば、ちゃらんぽらんな部分があったっていいと思うぜ!」

 

「たまにはしっかりしてくださいまし…………」

 

 何か苦い顔をしているメリル。俺は誤魔化すように、ホログラムを展開する。

 

「さて、ここからが俺の責任の部分だ。水星機(ヘルメス)の改造機の設計図が完成した」

 

「本当ですの!?」

 

 木星組とおんなじように、大きく姿を変えるような改造は施していないから、おんなじような疎外感があったのだろう。

 

「ヘルヴェティ、俺はこいつをそう名付けた」

 

 水星装甲をふんだんに使った黒い機体。全長は18mと低く、その代わりに、元の水星機(ヘルメス)についていた黒い涙形状のスラスターを4枚、シールドファンネル的に浮かせて配置している。

 

 土星機(シャニヌス)の技術を使って、音楽こそ流れるが、追従、追跡を熟す高性能オービット。

 

 機体の完成度として、個人的には変わっていないと感じているが。全身推進器のような水星機(ヘルメス)を乗り慣れていたメリルにとって、どう判断するのかは分からない。

 

 黙々とスペックと運用方法を見るメリル。

 

 …………不安~!! 黙って真剣に見ているから、反応が分からん!

 ドキドキしていると、メリルが、顔を上げた。

 

「良い機体ですわ!」

 

「よっしゃー!!」

 

 これが、俺の責任、腕で何とか出来るような機体を作り上げ、そして、宇宙空間に送り出した皆を、生きて返す。

 これは整備科にとっての絶対の責任だった。

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