「何、これ.....」
―――またこの夢か。
この風景は、久しぶりだな。
血にまみれた大人が2人、倒れている。
目の前に立っているのは、子どもの頃の俺だ。
何度も何度も、夢に出て来やがって。
もうここから先の展開なんて、100回は見たわ。
俺はそんなにこの出来事を心の中で悲しく思ってるのか?
「う.......う.......うわああああああ!!!!!!!」
.......。
確かにあれは、辛かったかもなぁ....
俺は初めてスキルが使えるようになった頃、スキルの操作がまだ出来ていなかった。
そして、スキルが暴走し、一緒にいた両親を殺した。
警察は能力を悪用したとして俺を逮捕したが、まだ俺が幼かったため、刑事責任能力がないという理由で、頭の整理が出来ていなかった俺を精神病院に入院させた。
その後俺は精神病院を半年で退院できた。
なんでそんなに早く退院できたのかは知らん。
その後俺は親戚の家をたらい回しにされた。
そして、新しい親戚の家に来る度に、好奇の目と激しい軽蔑の目を向けられた。
当たり前だ。
スキルの暴走とはいえ2人の人間を殺したんだからな。
この頃の俺は人から逃げたい、こんな目を向けられたくないという思いがあった。
俺が好奇の目や軽蔑のような目が大嫌いになったのもこの頃だ。
やがて俺は親戚たちから逃げ出し、走っている途中で空き家を見つけそこに住むようになった。
今その空き家は
「父さん、母さん、起きてよ!!ねぇ!!!!」
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「......もうあんな夢見んのはごめんだ。」
今日も今日とて最悪な目覚め。
おまけに最悪な夢まで付いてきたんだから、気分はさらに最悪だ。
立ち上がった勢いで俺は、テレビをつける。
『 まあ遥斗の過去は私も壮絶だなって思うよ〜〜』
出たな、フェリア。そろそろ戦闘している時に自我を奪うのをやめろ。
『 やだよ。戦闘は私の大大だ〜い好きなことだからね。』
はぁ〜。相変わらずめんどくさいな。
『 ありがと!』
褒めてないぞ。
『 え〜〜〜悲し。』
こいつはフェリア。俺が勝手に名前を決めた。
フェリアは俺が8歳くらいの頃に急に心の中に入ってきて、以来ずっと俺の心の中にいる。
しかしこいつは俺の心から自力で出ることもできる。
なのになぜ俺の中にずっといる?と聞いたら、『 遥斗の中が1番危なくないから!』と言ってきた。
シェルターか俺の心は。
話を戻すが、フェリアは魔物だ。
だがフェリアいわく、自分は魔物の中でも人間にかなり近い姿と言語能力しか取り柄がなく、力も人間くらいしか無かった。
このままではいつ殺されてもおかしくなかったため、安全な場所を探している途中に人の心に入れば安全と考え、最初に入ったのが俺だった、ということらしい。
まあ他の人ならこいつを絶対に警戒し続けるだろう。
なんたってフェリアは魔物だから。
俺も警戒した方がいいんだろうが、8歳から一緒にいるので、警戒なんてもうしてない。
そして、俺が魔物などと戦闘しようとするとほぼ100%自我を奪ってくる。
そして目を覚ましたら必ず魔物の首が落ちている。
自我を奪って来ない時は寝ている時のみ。
しかしこいつは人間の頃ショートスリーパーだったらしく、2時間くらいしか寝ない。
よって魔物と会った時には必ず起きているのだ。
自分が弱かったからって俺の力を使わないでもらえますかね......
だが、昨日はいつもと違いものすごく眠かったらしく、なんと朝の6時から夕方まで寝ていた。
昨日の第2話から第4話の最後まで会話に入って来なかったのは、そういう事だ。
てか、今は第6話だよな?第5話はなんだったんだ?
『 それにしても、遥斗もずいぶん生意気な口を利くようになったね〜〜。私が心の中に入った時はあんなに可愛かったのに〜〜。』
俺も大人だからな。
『 そんなこと言って、本当は私に甘えたいんでしょ?』
なわけあるか。お前に甘えるんだったら味の素に甘えるわ。
『 ガーン....私は味の素以下だった?』
いや、ミジンコ未満だな。
『 そこはミジンコ以下でしょ!!大体私も、魔物から求愛されるくらいには可愛いのよ!』
そう......(無関心)
『 .....もうちょい感情を隠してほしいなー。(怒)』
すまんな。
『 ......』
あれ?もしかして、拗ねてます?
『 ........』
まあいいや。こういう時こいつには放置と無視が1番効くからな。
『っ !、待って、放置しないで!』
.......
『 無視しないでよ!!』
あっ、おい。
『 .....なに?』
お前が昨日殺した奴ら、もうテレビに放送されてるぞ。
〚昨日未明、工場から異臭がする、という通報がありました。警察が出動し捜索すると、首が切断された男性5名の遺体を発見しました。〛
改めて聞くと生々しいな。
『 だね。』
〚警察は殺人事件として、事件のいきさつを調べています。〛
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今日も今日とて学校が終わった。
まあ今日は職員会議ということで四時間授業だったが。
ということで今俺が、何処にいるかというと。
「都会の空気には、慣れんなぁ。」
そう。都会である。
『 まあ最近ずっと家で引きこもりニートしてたもんね。』
ちゃんと学校には行ってます〜〜〜。
『 ぐぬぬ.....そういえばなんで都会になんか来たの?』
あからさまに話題を逸らしたな。まあいいだろう。
買い出しのためだ。
『 あぁ、買い出しかぁ。』
そうだ、買い出しだ。早く行くぞ。
『 は〜い』
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俺は今、スーパーで買い物を済ませ、帰路についている。
『 今日は疲れた〜。ずっと昨日は寝てたからなあ。』
いうてお前は俺の心の中で俺が共有した視界を見てただけだろうが。
『 えへっ!』
照れる場面ではねえだろ。
『 ご〜めんねっ!』
......
『 ...あれ?ツッコまないの?』
いや、フェリアはかわいいなあ、って。
『 っ!!』
な〜んてな?嘘だよ。
『 乙女の心で遊ばないでよ!!』
....怒ってる?
『 そりゃあもう、激おこぷんぷんだよ!』
ごめんな。
『 あっ、いや、そんなはっきり謝られると.....』
どっちだよ。
『 ま、まあ、いつもみたいにツッコんでいただけると....』
なんで丁寧語なんだよ。
『.....やっぱり遥斗に似合うのは、相変わらずの毒舌だねぇ!』
おい、それは貶してるのか、褒めているのかどっちなんだ。
『 両方だよ!』
なるほど、両方か....って、結局貶してるじゃねえか!!!
『 あらら〜バレちゃった☆』
......?
『 ん?どうかしたの?』
いや、なんかいや〜な予感がしてな。
『 ふーん。そういえば遥斗がそう言った時、確実に毎回何かが起こるよね〜』
.....え?
『あ、あれじゃない?嫌な予感の正体。』
え?え?
そう言われ、フェリアの言った場所に目を凝らしてみると。
大勢の人が、逃げるように走ってきた。
え?え?え?
なんで?
考えている暇もなく、たくさんいる人々の中にいた男性が、話しかけてきた。
「おい!!兄ちゃんも早く逃げた方がいいぞ!!!大量の魔物が、あそこに!!!いつこっちに来るかもわからねえ!!!!だから、お前も早く逃げるぞ!!!!!」
な〜んだ、そんなことか。
「そんなに心配しなくても、大丈夫ですよ。すぐに片付けて来るので。」
「なっ...あんたもしかして、あの学園の生徒か!!!頼む!アイツらを倒してくれ!!!もう何人かは魔物と既に戦ってる!!!加勢に、行ってくれないか!!」
「もちろんですよ。それが俺たちの、仕事ですから。」
「っ....死ぬなよ!!!」
「流石に死にませんよ。俺も、そして、あなた達も。」
「頼んだ!!!」
そう言って男性も走り去っていった。
「さ〜て、【スタンピード】か。最後に起こったのはいつだったっけな?」
『 確か最後に起きたのは、37年前だよ〜!』
「おう、ありがとうな。それじゃあ、行くか。」
そうして俺は、来た道を爆速で引き返していった。
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「ぐっ....くそっ!!!」
「こんの、やろおぉぉぉ!!!!!」
「ギャァ”ァ”ァ”ァ”ァ”!!」
「.....はあ...はあ.....学園に連絡したのに、なんで応援が来ねえんだよ!!このままじゃジリ貧だぞ!」
「ぐっ.....こんな量、どうやって.....どうやって倒せば良いんだよ!!!なんでまだCランクの俺らが、【スタンピード】に遭遇しなきゃいけないんだよ!!!!」
「うぅ....やだ、やだ....死にたくない....死にたくないぃ.....」
「諦めんな!!!まだ助かるかもしれねぇだろ!!」
「.....だって、もう....学園に連絡してから、一時間も経ってるんだよ!!.....見捨てられてるよ、私達。」
「っ.....」
見捨てられているかもしれない。
その恐怖が、彼らに平常心を、与えられなくなっていた。
「おい!!!お前ら!!!!前!!!!!」
そう言われて前を向くと、魔物が目の前に、迫っていた。
(ああ、やっぱり俺は、もう、死ぬんだ。....でも!!!)
彼の剣が、魔物の攻撃を止めた。
「俺は最後まで、抗ってみせる!!!!最後まで抗って、最後まで笑うのが、俺の、人生だ!!!!!」
「いいねぇ、そんな人生。俺は、嫌いじゃないよ。」
彼が押さえていた魔物の首が、一瞬で胴体と別れた。
「なっ...........あんたは!?」
「おっと、すまない。驚かせたな。俺は敵じゃない。それだけでも分かってくれ。」
「よ...よかった....」
「.....お前らに注意だが、こっからは
「!、それって、どういう.....」
「だから、お話はまた後でだ。」
そう言うと遥斗は、右手を高く上げた。
「よ〜しフェリア、久しぶりに、暴れ回ってこい。」
パチンッ
指を、鳴らした。
そして。
「よ〜し、遥斗から許可も貰ったし、久しぶりに、殺し回っちゃおっと!」
最強の魔物が、金色の瞳と共に、目を覚ました。
ついいつもよりも1000字くらい増やしてしまった....
んま、いっか。
.....遥斗は、フェリアに意識を乗っ取られると、瞳が黒から金に変わります。
このことは遥斗含め、鏡水以外誰も知りません。