何となく女装を始めたら、だんだん拘り過ぎてしまった件   作:古都礼奈

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初めての女装旅行

悠人は、女装サロンで知り合った友人たちとの旅行計画に心が躍っていた。

 

普段はサロンの中でしか女装を楽しむことができなかったが、今回は彼らと一緒に一泊旅行に出かけることになった。

 

女装して遠出するのは初めてのことであり、不安もあるが、それ以上に友人たちと一緒に新しい体験を共有できることが楽しみだった。

 

「じゃあ、明日の朝10時に駅前で待ち合わせね。車で拾うから、準備は忘れずにね!」友人の一人、マサキがグループチャットで念を押していた。

 

悠人はそのメッセージを見て、ふと考えた。

 

女装したままでの旅行、それも一泊ということで準備には普段以上に気を使わなければならない。

 

メイク道具、女性用の下着や洋服、そして何よりも、自分らしさを表現できる服選び――少しドキドキしながらも、ワクワクした気持ちで準備を進めていた。

 

翌朝、悠人は約束の時間に待ち合わせ場所へと向かった。

 

駅前にはすでにマサキともう一人の友人、カオルが待っており、二人とも女装をしている姿だった。

 

マサキはシックなワンピースに身を包み、カオルはカジュアルなデニムスカートとボーダーのトップスというスタイルだった。

 

「悠人、今日も決まってるじゃん!」マサキがにこやかに言う。

 

「ありがとう、そっちもすごく似合ってるよ」と、悠人は少し照れくさそうに返す。

 

カオルも「今日は絶対楽しい旅行になるね!」と明るい笑顔を見せた。

 

車の準備も整い、彼らはマサキの車に乗り込んだ。

 

運転を担当するのはマサキで、他の二人は助手席と後部座席に座った。

 

「さあ、いよいよ出発!」とマサキがアクセルを踏み込むと、旅行は始まった。

 

車が走り出してしばらくすると、カオルがカバンから缶ビールを取り出し、「旅行といえば、これでしょ!」と言いながら、悠人にもビールを手渡してきた。

 

「運転手のマサキには悪いけど、ちょっとだけ飲もうか」と、悠人はビールのプルタブを開けた。

 

「全然構わないよ。私もこの後、旅館に着いたら飲むからさ!」マサキが笑って答えた。

 

悠人はビールを一口飲み、ほどよい炭酸の感触とともに体が少しずつ温まるのを感じた。

 

普段はあまりお酒を飲むことはなかったが、今日は特別な日だ。

 

車内は軽い酔いとともに、笑い声が絶えず、楽しい雰囲気に包まれていた。

 

「これ、最高だね。女装してるから少し緊張してたけど、みんなと一緒なら全然平気だ」と悠人は笑顔を見せた。

 

「そうそう、最初はドキドキするけど、慣れれば全然楽しいよ。観光地に着いたらもっと楽しもう!」カオルが元気に応じる。

 

観光地に着くと、悠人たちは車を駐車場に停め、いざ観光に出かけることになった。

 

女装したまま外を歩くということに、悠人はまだ少しの不安を抱えていたが、他の友人たちが一緒にいることで、その不安は少しずつ和らいでいった。

 

「さあ、行こう!」とカオルが元気に歩き出す。

 

悠人は少し遅れて歩き出したが、すぐに彼らと同じペースで観光を楽しむことができた。

 

観光地には多くの人がいたが、周りの反応を気にしすぎることなく、彼らは写真を撮ったり、観光名所を巡ったりと自由に楽しんだ。

 

途中、観光客の一人が彼らに声をかけてきた。「写真、撮ってあげましょうか?」と言われ、悠人たちは笑顔でお願いした。

 

最初は少し緊張したが、その人が気さくに対応してくれたことで、安心感が増していった。

 

「男って分かっても、こんなにフレンドリーに接してくれるんだな」と悠人は心の中で驚きを感じつつも、嬉しさも同時にこみ上げてきた。

 

夕方になり、観光を終えた彼らは予約していた旅館に到着した。

 

チェックインを済ませ、部屋に入ると、さっそく温泉に行く話が持ち上がった。

 

「温泉、楽しみだな~。でも、さすがに女風呂には入れないよね」とカオルが冗談交じりに言った。

 

「当たり前だよ」と悠人は苦笑しながら答えた。

 

温泉に行くために、悠人はメイクを落とし、着替えを始めた。

 

ところが、荷物を整理している途中で、あることに気がついた。

 

「やばい…男物の下着を忘れた…」悠人は思わず声に出してしまった。

 

「え、どうするの?」カオルが驚いた様子で尋ねる。

 

「女性物の下着しかないんだ…だから、仕方ないけどこれを着続けるしかないかも…」悠人は困惑しながらも、もうどうしようもない状況に頭を抱えた。

 

「まあ、誰にもバレないし大丈夫だよ。逆に面白い体験になるかもしれないし」と、マサキが軽くフォローした。

 

「そうだね、せっかくだから気にせず楽しもう」と悠人は気持ちを切り替え、温泉へと向かった。

 

温泉で体を温めた後、彼らは部屋に戻り、再びお酒を交わしながら夜の時間を楽しんだ。

 

旅行の話や普段の生活について語り合い、笑い声が絶えない一夜だった。

 

次の日の朝、悠人たちは早く起きて、再び女装をして軽く観光を楽しむことにした。

 

昨夜の温泉の話や、旅館での思い出を振り返りながら、彼らは再び街へと繰り出した。

 

「昨日は本当に楽しかったね」とカオルが笑顔で言う。

 

「うん、初めての女装旅行だったけど、思っていた以上に楽しかった」と悠人も同意した。

 

観光地では、昨日と同じようにフレンドリーな人々と交流し、彼らは思う存分写真を撮ったり、景色を楽しんだりした。

 

誰かに声をかけられても、もう不安を感じることはなかった。

 

「女装してなかったら、こんな友達とも知り合うことはなかったよな…」悠人はふと心の中で思った。

 

昼頃になり、悠人たちは車に戻り、帰路についた。

 

帰りの車内でも、彼らは昨日の旅行の思い出や、これからの予定について楽しそうに話し合っていた。

 

車の中には、まだ旅の余韻が漂っていた。

 

「また次の旅行も計画しようよ!」とカオルが提案すると、マサキも「いいね、次はどこに行こうか?」と賛成の声を上げた。

 

悠人も、「次はもっと大胆に、いろんな場所に行ってみたいな」と笑顔で答えた。

 

こうして、彼らは新たな友人との思い出を胸に、女装旅行を終えた。

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