何となく女装を始めたら、だんだん拘り過ぎてしまった件   作:古都礼奈

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チャイナドレスに魅せられて

ロング丈のチャイナドレスを着るというアイデアは、悠人にとって少し大胆な挑戦だった。

 

友人の香織が「もう着ないし、よかったらあげるよ」と言って譲ってくれたそのドレスは、鮮やかな赤と金の刺繍が施されたシルクのような生地が印象的で、触れただけでも特別感を感じさせる一品だった。

 

手に取った瞬間から、その艶やかな光沢と滑らかな手触りに、悠人の胸は高鳴った。

 

「こんな派手なドレス、ちゃんと着こなせるかな…」と、少し不安を感じながらも、興味が勝った。

 

これまでいくつかの女装スタイルに挑戦してきたが、チャイナドレスはまったく別物だ。

 

体にぴったりとフィットし、そのデザインは強調された腰のラインと高くスリットが入った裾が特徴的だ。

 

それは、女性らしさを極限まで引き出す衣装であり、セクシーさが前面に出る。

 

そんなチャレンジングな服を着こなせるかどうか、心の中で葛藤しつつも、やはり試してみたいという気持ちが強かった。

 

「どうせなら完璧にやろう。メイクも妖艶な感じにして、ポーズもセクシーに決めたいな…」そう思った悠人は、サロンでスタッフに相談することに決めた。

 

香織にドレスを譲ってもらってからというもの、サロンに行く日は自然と近づいていった。

 

サロンに入ると、いつものスタッフが笑顔で出迎えてくれた。

 

「今日は何に挑戦するの?」スタッフのひとり、リナが興味津々な様子で尋ねてくる。

 

彼女は、いつも悠人の新しい試みに対して好意的にサポートしてくれる存在だ。

 

「今日はこれ、チャイナドレスを着てみようと思って…」と、ドレスをカバンから取り出し、リナに見せた。リナは目を丸くしながら、にやりと微笑んだ。

 

「わあ、これは大胆ね!チャイナドレスは体のラインがはっきり出るし、セクシーさ全開だけど、すごく似合いそう。

 

メイクも妖艶な感じでいい?」と、さっそくメイクの方向性を確認してくる。

 

「うん、そうしてほしい。あと、生足っぽく見せたいから、薄いベージュのストッキングを履こうと思ってるんだ。どうかな?」

 

「いいアイデア!生足感を演出しつつ、足のラインが綺麗に見えるよ。完璧な組み合わせね。」

 

準備が整うまでの間、悠人は少し緊張していた。

 

ドレスの美しさに負けない自分でいるために、メイクやポーズにも全力で挑もうと心に決めていた。

 

リナが手際よく妖艶なメイクを施してくれるのを鏡越しに見ながら、どんどん自分の表情が変わっていくのを感じた。

 

濃いめのアイライン、グロッシーな赤いリップ、そして頬にほんのりと入れられたシャープなシェーディング。

 

メイクが完成すると、まるで別人のような顔がそこにあった。

 

「おお…これは凄い…」思わず口に出してしまうほど、自分の変貌ぶりに驚いた。

 

「これで完璧よ。ドレスを着たら、さらに化けるわね。準備はいい?」リナがにっこりと笑いかけてくる。

 

悠人は頷き、控え室でドレスに着替えることにした。

 

ドレスを慎重に体に滑らせ、ストッキングを履いた足をそっとスリットから覗かせる。

 

体にぴったりとフィットする感触が、今まで感じたことのない緊張感を伴っていた。

 

鏡の前に立つと、目の前には赤いチャイナドレスに包まれた妖艶な女性が立っていた。

 

「すごい…自分じゃないみたいだ…」

 

その姿に酔いしれつつも、悠人は更なる準備を進める。

 

今日はただ立っているだけではなく、写真撮影の際にセクシーに見えるポーズを取るために、少しでも柔軟性を高めようと、事前にストレッチも入念に行っていた。

 

足を高く上げたり、腰をひねったりする動きに備えて、できる限りの柔軟体操をこなした。

 

「よし、これでいける…」そう自分に言い聞かせながら、撮影スペースへと向かう。

 

スタッフがセットしてくれた小物の中には扇子が用意されており、それを使ってポーズを取るのも楽しみだった。

 

「準備できた?」リナがカメラを構えながら微笑む。

 

悠人は深呼吸をし、チャイナドレスの裾を軽く持ち上げながら、まずは一番無難なポーズを取った。

 

背筋を伸ばし、優雅に扇子を広げたその姿は、自分でも驚くほどに美しく映っていた。

 

「いい感じよ、そのまま少し角度を変えて…そう、今度は少し足を見せるように…」リナの指示に従いながら、悠人は次々にポーズを変えていく。

 

スリットから見える足、体にぴったりとフィットしたドレスのライン、そして扇子を使った仕草。

 

すべてが一つの芸術作品のように融合し、自分自身の美しさを最大限に引き出していた。

 

撮影が終わると、リナが写真をチェックしながらにっこりと笑った。

 

「本当に素敵だったよ。まるでチャイナドレスがあなたのために作られたみたい。」

 

「本当にそう思う?」悠人は少し恥ずかしそうに尋ねた。

 

「もちろん!今日は特にいい感じだったよ。これからもどんどん新しいスタイルに挑戦していけそうね。」リナの言葉に、悠人は自信を取り戻した。

 

その夜、撮影を終えた後、いつもの常連たちと居酒屋に繰り出した。

 

チャイナドレスの話題で盛り上がりながら、悠人は次に何に挑戦しようかと思いを巡らせていた。

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