何となく女装を始めたら、だんだん拘り過ぎてしまった件   作:古都礼奈

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ゾンビナースの夜

ハロウィンの数日前、悠人は仮装の準備に本腰を入れるため、以前から通っているサロンへ足を運んだ。

 

そこには、メイクやスタイリングを任せられる信頼できる友人、奈々がいた。

 

彼女はプロのメイクアップアーティストで、悠人の女装や仮装にも慣れている。

 

今回のテーマは「ゾンビナース」。

 

奈々も「楽しそう!」と興奮気味で、この特別な一夜のために協力してくれることになった。

 

「やっぱり奈々にメイクをお願いして正解だよ。いつも以上に気合入ってるよね?」悠人は奈々の手際の良さを見ながら微笑んだ。

 

「当たり前じゃん!ハロウィンだし、ゾンビメイクなんて燃えるしかないでしょ!」奈々は笑いながらメイク道具を手に取り、悠人の顔に血の気の失ったグレーのベースメイクを施し始めた。

 

「それに、ナース服とのギャップがすごく映えると思うよ。ちょっとセクシーで怖いって、最高の組み合わせだと思わない?」

 

「そうだね。ホラー感出しつつ、女性らしさもちゃんと残したいんだ。さすが、わかってるなあ。」悠人は鏡を見ながら、自分の顔が徐々にゾンビに変わっていく様子を興味深く観察した。

 

メイクは順調に進み、口元には裂けたような傷を描き、目元には黒いクマをしっかりと入れた。

 

奈々は器用に血糊を使い、顔やナース服に散りばめてリアルなゾンビ感を出していく。さらに、セクシーさを忘れないようにと、艶やかなリップと細かいディテールも施してくれた。

 

「完成!どう?めっちゃリアルじゃない?」と奈々が鏡を悠人に見せると、彼は思わず息を呑んだ。

 

「すごい…本当にゾンビになってる。でも、不思議と可愛くも見えるな。奈々のおかげだよ。」悠人は驚きと感謝を込めて笑った。

 

「それにしても、仮装だけじゃなくて写真撮影とかも考えてるんでしょ?ギター担いでタバコも咥えるって言ってたけど、そこまでやるなら一緒に出かけた方が楽しそうだね。」奈々が提案すると、悠人は少し戸惑いながらもその提案に乗ることにした。

 

「確かに、一人でやるよりみんなで行ったほうが盛り上がりそうだし、奈々も一緒に来てくれたら心強いよ。」悠人は嬉しそうに頷いた。

 

奈々も仮装の準備をし始め、彼女はキュートな魔女のコスチュームを選んだ。

 

黒いとんがり帽子に紫のリボンがアクセントになっていて、魔法の杖を手に持つ姿は愛らしくもカッコよかった。

 

二人とも準備が整い、サロンを出る頃にはすでに夕暮れが近づいていた。

 

街はハロウィン一色で、仮装を楽しむ人々で賑わっている。

 

「さあ、パーティー会場に向かおうか!」と奈々が元気よく言い、二人はゾンビナースと魔女という奇妙なコンビで街へ繰り出した。

 

道中では、仮装をしている子供や大人たちから注目を浴び、写真をお願いされることもあった。

 

「すごい!本当にリアルだね。ゾンビなのに可愛いなんて、さすがだよ。」通りすがりの女性が感嘆の声を上げ、悠人は少し照れながらもポーズを取って写真撮影に応じた。

 

「今日は思いっきり楽しもうね!」奈々は笑顔で悠人の肩を叩き、二人は夜の街をさらに進んでいった。

 

会場に到着すると、すでに多くの仮装した人々が集まっていた。

 

ゾンビやヴァンパイア、魔女など、様々なホラーキャラクターたちが次々と現れ、その場はまさにハロウィン一色だった。

 

奈々と悠人も早速、友人たちと合流し、パーティーの雰囲気を楽しみ始めた。

 

「ねえ、せっかくだからギター担いでみてよ。写真撮るの忘れないでね!」奈々は笑いながら、悠人にギターを手渡した。

 

悠人はゾンビナース姿でギターを肩にかけ、まるでロックミュージシャンのようなポーズを決めた。

 

「おお!これ、カッコいいね!ゾンビなのにロックってどういうこと?」奈々はカメラを構え、シャッターを何度も押した。

 

「次はタバコ咥えてみるか?」悠人が冗談めかして言うと、奈々はすぐにタバコの小道具を取り出した。「もちろん吸わないけど、これでさらにアウトロー感が増すかな?」

 

「やってみて!絶対面白い写真になるから。」奈々が期待の目で見つめると、悠人はタバコを口に咥え、また違った雰囲気でポーズを決めた。

 

時間が経つにつれて、二人は他の友人たちとも合流し、ますます盛り上がっていった。パーティーは深夜まで続き、音楽と歓声が絶え間なく響いていた。

 

「もうこんな時間か…そろそろ帰る?」と奈々が言うが、悠人はまだ余韻を楽しんでいた。「もう少しだけ遊ぼうよ。せっかくのハロウィンだし、朝までいけるでしょ!」

 

結局、二人は夜が明けるまで飲み続け、朝の冷たい空気を感じながら帰路についた。

 

街にはまだ仮装をした人々がちらほらと見受けられ、その中には酔いつぶれたゾンビのような姿の人々もいた。

 

「なんか、最後は本物のゾンビみたいだね…」悠人は冗談交じりに言いながら、笑いをこらえた。

 

「そうだね。でも、こうして仮装してみんなで楽しむのって、やっぱりいいね。」奈々も笑顔で応え、二人はそのまま朝の静かな街を歩き続けた。

 

「来年もまた一緒にやろうね。もっと奇抜な仮装に挑戦してさ。」悠人は少し疲れた様子で言いながらも、来年のハロウィンに思いを馳せていた。

 

「もちろん!来年もまた一緒に楽しもう。」奈々の返事に、悠人は満足げに微笑んだ。

 

このハロウィンの夜、悠人はゾンビナースとしての新しい自分を発見し、奈々との絆を深めることができた。

 

そして、また来年も一緒にハロウィンを楽しむことを約束し、仮装のまま家路についた。

 

 

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