何となく女装を始めたら、だんだん拘り過ぎてしまった件   作:古都礼奈

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華やかなドレスの裏側

悠人は、いつものサロンに足を運ぶたびに新しい体験を楽しんでいたが、今回は特に興奮していた。

 

サロンで新しく始まった「ウェディングドレスや白無垢のレンタルサービス」を目にした彼は、好奇心に駆られ、スタッフに軽く声をかけてみた。

 

「ウェディングドレスのレンタル、ですか…どんなドレスがあるんだろう?」

 

「興味ありますか?ぜひ試してみてください。普段の女装とは全く違う世界が広がっていますよ!」とスタッフの奈々が笑顔で勧めてきた。

 

彼女は悠人の変身にいつも協力的で、この新しいサービスにも乗り気だった。

 

「じゃあ、せっかくだし試してみるかな…。いつもはカジュアルな服ばかりだけど、今日は思い切って華やかにいこう!」と、悠人は自分を少し奮い立たせた。

 

スタッフに案内され、いくつもの美しいウェディングドレスが並ぶ中から、悠人は「プリンセスライン」のドレスを選んだ。

 

広がるスカートが特徴的で、まるで物語の中のプリンセスのように感じさせるそのデザインは、彼の心を瞬時に掴んだ。

 

「これ、いいですね。なんか、ドレスの中でも特別感がある気がする。」悠人はドレスを指さしながら、微笑んだ。

 

「このドレスは大人気ですよ。華やかでありながら、品もありますし、絶対に似合います!」と奈々が力強く応える。

 

ドレス選びが終わると、スタッフたちがコーディネートを始めた。

 

純白のロンググローブ、豪華なティアラ、そして長いベール…。

 

一つ一つのアイテムが悠人に準備されていくたび、彼の胸は次第に高鳴っていった。

 

「こんなに本格的に準備してもらうと、なんか緊張してきたな…」悠人は少し照れながら、鏡に映る自分を見つめた。

 

まだメイクも終わっていないが、すでに花嫁らしい雰囲気が漂い始めていた。

 

「今日は特別ですから、いつも以上にしっかりメイクしていきますね。」奈々は悠人の顔に丁寧にメイクを施しながら、ニッコリと微笑んだ。

 

しっかりとしたベースメイクに加え、淡いピンクのリップと上品なアイシャドウが彼の顔を一層華やかに引き立てた。

 

メイクが仕上がったところで、いよいよドレスを着る段階に進む。

 

ドレスを広げ、悠人はスタッフの助けを借りながらパニエを入れ、ゆっくりとその豪華な布地に包まれていった。

 

「思った以上に重いな…こんなに大変なのか。」悠人は自分の体にずっしりと感じるドレスの重みを実感し、驚いた。

 

「そうですね。新婦さんたちはこれで一日中歩き回るんですから、本当にすごいですよね。」奈々が感心しながら言った。

 

悠人はスカートの膨らみを持ち上げ、鏡の前で自分の姿を確認する。

 

華やかで、そして優雅。ドレスに包まれた自分の姿はまさに夢見たような「花嫁」そのものであった。

 

「これは…すごい。本当に結婚式に出てるみたいだ。」悠人は感動し、言葉を失った。

 

「さあ、これから撮影の時間ですよ。優雅なポーズをいくつか考えながら、ブーケも持って撮りましょうか。」奈々が悠人にブーケを手渡しながら促す。

 

悠人は、動きづらいながらもなんとか膨らんだスカートを持ち上げ、少しずつ移動しながらポーズを取った。

 

優雅にブーケを持ち、柔らかく微笑む姿をカメラに収める。

 

豪華なティアラとベール、そして純白のドレスが光を反射して、彼の姿はまるで本物の花嫁のように美しく輝いていた。

 

「うーん、ちょっと動くのが大変だけど…こうやって写真を撮ってもらうと、なんだか自分が本当に花嫁になったみたい。」悠人は微笑みながら、さらにいくつかのポーズを取った。

 

「とっても素敵ですよ、悠人さん。華やかで品があって、まるで結婚式場のスタジオみたいです。」奈々はカメラのシャッターを何度も押しながら、満足げに言った。

 

撮影が終わると、悠人はしばらくそのままの格好でいたいと思った。

 

ドレスの美しさに包まれている瞬間をできるだけ長く楽しみたかったのだ。

 

しかし、次第にその重さが体に負担をかけ始め、飲食もままならない状況に気づいた。

 

「さすがにこのままじゃ何もできないね…。少し動きやすい服に着替えようかな。」悠人は名残惜しそうにドレスに触れながら、スタッフに声をかけた。

 

「それがいいと思いますよ。でも、今日は素敵な写真もたくさん撮れましたし、いい思い出になりますよね。」奈々が笑顔で応え、悠人は一旦シンプルなワンピースに着替えた。

 

その後、みんなと一緒に軽食を取りながら、悠人はスマホの画面に保存された写真を何度も見返した。

 

豪華なウェディングドレスに身を包んだ自分が、優雅にポーズを決めている姿に、何度見ても心が踊る。

 

「結婚式での新婦って、本当に大変なんだな…ドレスを着るだけでこんなに重いなんて。でも、やっぱり綺麗で、素敵だな。」悠人は写真を見つめながら、自分が体験した一瞬一瞬を思い出し、喜びに満ちた。

 

奈々や他の人も写真を覗き込みながら、「本当にいい経験になったね。こういう日常じゃ味わえない体験って、特別な思い出になるよね。」と微笑んだ。

 

「うん、またこういう機会があったら、次は白無垢も試してみようかな。」悠人は新たな挑戦に思いを馳せつつ、今日の一日を胸に刻んだ。

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