何となく女装を始めたら、だんだん拘り過ぎてしまった件   作:古都礼奈

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ドキドキの告白、そして…

その日も女装サロンでの時間は楽しく、いつものように奈々さんや他の仲間たちと盛り上がっていた。

 

普段は穏やかな談笑がメインだが、今日は少し特別だった。

 

みんなが積極的にお酒をすすめてくれ、気づけば自分もそこそこ酔いが回っていた。

 

「ねぇ、悠人くんさぁ、最近美咲ちゃんとはどうなの?」

 

奈々さんがにやりとした表情で問いかけてくる。

 

「どうって…別に、いつも通りだよ。仲のいい友達って感じ。」

 

悠人は少し照れながら答えるが、心の中ではこの質問に少し動揺していた。

 

美咲と一緒に過ごす時間は楽しいけど、それが「友達」の枠を超えているのかどうか、自分でもまだはっきりとはわかっていなかった。

 

「うそだ~!あんなに仲良くしてるんだから、そろそろ付き合っちゃいなよ!」

 

別のサロン仲間が茶化すように言う。

 

「そうそう!私たち、悠人くんが告白するの待ってるんだから!」

 

「早く美咲ちゃんを幸せにしてあげなよ~!」

 

周りのからかいにも似た声が次々と上がり、悠人はだんだん居心地が悪くなってきた。

 

「いやいや、そんな急に…」悠人は笑いながら軽く流そうとするが、内心ではその言葉が心に突き刺さっていた。

 

彼自身も、美咲に対してただの友達以上の感情を抱いていることに気づいていたからだ。

 

だけど、どうやってその気持ちを伝えればいいのか、そのタイミングがつかめずにいた。

 

その日の夜は、二次会に誘われ、居酒屋でまたもやお酒が進んだ。

 

サロン仲間たちはまだまだ楽しそうだったが、悠人は自分の気持ちと周りの期待が交差する中で、少し気まずい気分になっていた。

 

翌日、悠人は思い切って美咲を食事に誘った。

 

普段なら気軽に誘える相手なのに、この時ばかりはなんだか緊張してしまう。

 

けれど、美咲は快く応じてくれ、二人はお気に入りの居酒屋で再び顔を合わせた。

 

「今日も楽しもうね!」美咲はいつも通り明るく、悠人の心を和ませてくれる。

 

お酒が入ると、少しずつ悠人も緊張がほぐれてきた。

 

笑顔で美咲と話しながら、徐々に心の中の不安も薄れていく。

 

「ねぇ、悠人、なんか最近元気ないよね?大丈夫?」美咲がふと真剣な表情で尋ねる。

 

「え?あ、いや…別に、そんなことないよ。」悠人は一瞬言葉に詰まりながらも、何とか平静を装う。

 

しかし、心の中では美咲への告白をどう切り出すかで頭がいっぱいだった。

 

楽しい時間があっという間に過ぎていき、ラストオーダーの時間が近づいてきた。

 

悠人はその瞬間が訪れるのを待っていた。

 

美咲に自分の気持ちを伝えるには、今が最適なタイミングだと感じていた。

 

会計を済ませ、二人で店を出たところで、ついに悠人は決心を固めた。

 

「美咲、ちょっと話があるんだけど…」悠人は緊張で手が汗ばんでいるのを感じながら、慎重に言葉を選んだ。

 

「うん、どうしたの?」美咲は首をかしげながら、少し心配そうに彼の顔を見つめている。

 

「実は、ずっと言おうと思ってたんだけど…美咲のこと、ただの友達じゃなくて、もっと大事に思ってる。だから…付き合ってほしい。」

 

悠人は一気に言葉を吐き出した。

 

心臓がドキドキと早鐘を打ち、顔が赤くなっているのが自分でも分かった。

 

一瞬の沈黙が訪れる。

 

しかし、それは悠人にとっては永遠に続くように感じられた。

 

「やっと言ってくれたね。」美咲は少し呆れたような、でも優しい笑顔を浮かべながら言った。

 

「え?」悠人は驚いて彼女の顔を見つめる。

 

「実は、ずっと待ってたんだよ。悠人がその気持ちをちゃんと伝えてくれるのを。でも、なんかのんびりしてるから、私の方から言おうかと思ったこともあったんだから。」美咲は笑いながら、悠人の腕を軽く叩いた。

 

「そ、そうだったんだ…。」悠人は少しほっとしつつも、まだ信じられない気持ちだった。

 

「だから、もちろんOKだよ。これからもよろしくね、悠人。」美咲は満面の笑みで答え、悠人の胸にじんわりとした温かさが広がった。

 

その後、美咲と別れた悠人は夢見心地で帰路についた。

 

心の中で何度も「付き合う」という言葉が反芻され、その度に胸が高鳴る。

 

だが、家に帰りついた途端、その高揚感が急激に現実感を帯び始め、パニックに近い感情が押し寄せた。

 

「本当に付き合うことになったんだ…どうしよう…これからどうすればいいんだ?」悠人は自分の部屋のソファに座り込み、頭を抱えるようにして考え込んだ。

 

美咲との関係が変わったことで、今後どう接していけばいいのか、突然不安が襲ってきた。

 

考えれば考えるほど頭が混乱し、冷静になるためにとお酒を飲み始めた。

 

だが、飲んでも飲んでも気持ちは収まらず、気がつけばボトルはほぼ空になっていた。

 

「もう…どうにでもなれ…」悠人はそう呟いて、ベッドに倒れ込んだ。

 

そして、そのまま意識を失うように眠りに落ちた。

 

次の日、目が覚めると猛烈な頭痛が襲ってきた。

 

昨日の飲みすぎが原因だ。

 

体調が優れないことを理由に、悠人はその日の仕事を休むことにした。

 

ベッドに横たわりながら、昨日の出来事をぼんやりと思い出す。

 

美咲との告白、そしてそれが成功したことに、再びじわじわと喜びが込み上げてきた。

 

「付き合うことになったんだよな…。これから、どうなるんだろう。」

 

悠人は頭を抱えながらも、心の中で少しずつ冷静さを取り戻していった。

 

美咲との新しい関係に戸惑いつつも、どこか楽しみな気持ちもあった。

 

そして、何よりも彼女の存在が、これまで以上に大切なものだと感じていた。

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