何となく女装を始めたら、だんだん拘り過ぎてしまった件   作:古都礼奈

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祝福の嵐と、二人の新たな一歩

今年も年の瀬が近づき、女装サロンでは忘年会の話題が盛り上がっていた。

 

仲間たちは、年内最後のイベントとして豪勢な宴会を企画し、普段の女装体験とは一味違う楽しみ方を模索していた。

 

「せっかくだからさ、忘年会は全員女装して出かけようよ!」奈々さんが声をあげ、みんなが賛同した。

 

普段のサロンの中だけで楽しむ女装から一歩踏み出し、外に出ての宴会だ。

 

これが特別なイベントになることは間違いなかった。

 

「悠人くんも当然、参加だよね?」仲間たちの視線が集まり、悠人は少し照れ笑いしながら頷いた。

 

「もちろん。楽しみだね。」そんな中、悠人はふと、ある考えが頭に浮かんだ。

 

この機会に美咲を誘ってみようか、と。

 

彼女との関係はまだ多くのサロン仲間には知られていない。

 

だが、美咲は彼の女装に理解があるし、何より一緒に楽しい時間を過ごせることは間違いないだろう。

 

「そうだ、美咲も呼ぼうかな…」悠人が呟くと、奈々さんが即座に反応した。

 

「いいじゃない!二人で出てくるなんてロマンチックじゃん!」冗談混じりの口調で、奈々さんは嬉しそうに言った。

 

悠人は少し照れくさそうに微笑んでから、美咲に連絡を入れる。

 

数日後、忘年会の日がやってきた。

 

サロンでの集まりは夕方から予約していたが、いつもの仲間たちが「昼から軽く飲もうよ」と誘ってきた。

 

「まぁ、そんなに早くから飲んじゃって大丈夫かな?」悠人は少し戸惑いつつも、せっかくの誘いを断るわけにもいかない。

 

結局、昼から顔を出すことにした。

 

「美咲ちゃんとはどんな関係なの?」昼間の集まりで、お酒が進んでくると、奈々さんがニヤニヤしながら質問してきた。

 

「まぁ、呼んでるから、あとでね。」悠人は少し照れながら、話を濁した。

 

これ以上突っ込まれるのは避けたかったし、実際に美咲が来たらきっと自然に話題に上がるだろう。

 

夕方になると、いよいよ美咲と合流する時間が近づいてきた。

 

彼は一旦家に戻り、準備を整えてから彼女と待ち合わせ場所へ向かった。

 

美咲はいつも通り、落ち着いた服装をしていたが、その中にどこかしら華やかさを感じさせる。

 

「今日はみんなに紹介するんだよね?」美咲は少し緊張した様子で尋ねた。

 

「そうだね。でも、気楽にいこうよ。みんな優しい人たちだから。」悠人は笑顔で彼女を安心させようとした。

 

二人で歩きながら、予約したレストランへ向かう。

 

そこにはすでに、サロンの仲間たちが集まっており、待ち構えていた。

 

「おー、ついにお披露目か!」奈々さんが一番に声をかけ、美咲に近づいてきた。

 

「美咲ちゃん、初めまして!悠人くんから話は聞いてるよ。」美咲は少し照れくさそうに微笑んでから、自己紹介をした。

 

サロンのメンバーたちはすぐに彼女を受け入れ、和やかな雰囲気が流れ始めた。

 

忘年会は始まり、お酒が次々と運ばれてきた。

 

乾杯を交わし、みんなで談笑する中、美咲も次第に緊張がほぐれ、仲間たちとの会話を楽しむようになった。

 

悠人も、そんな美咲を見て安堵し、リラックスしていた。

 

「美咲さん、悠人くんとはどういう関係なの?」会話が進むうちに、誰かがついに核心に触れる質問を投げかけた。

 

「えっと…」美咲が言葉に詰まったその瞬間、悠人が何かを取り出した。

 

「これを見せた方が早いかな…」悠人が微笑みながら、ポケットから小さな箱を取り出し、パカッと開けた。

 

そこには、きらめく婚約指輪が輝いていた。

 

「ええっ!?」サロンの全員が驚きの声をあげ、場の雰囲気が一気に盛り上がった。

 

「ちょっと、これって本当の話?」奈々さんが目を丸くして指輪を覗き込む。

 

「うん、実はね…」悠人は照れながら、二人が婚約したことを告白した。

 

みんなは一瞬驚いたものの、すぐに祝福の声を上げ、美咲にも次々とお祝いの言葉をかけた。

 

「美咲さん、おめでとう!本当に素敵なカップルだね!」

 

「いやー、悠人くんもやるじゃん!こんな美しい人を捕まえるなんて!」

 

そんな言葉が飛び交う中、悠人は一人で少し照れくさそうに笑っていた。

 

サロンの仲間たちは美咲を歓迎し、さらにお酒が進んでいく。

 

飲み会が進むにつれ、ますます場は盛り上がり、忘年会はすっかり大騒ぎに。

 

誰かが「二次会に行こう!」と提案すると、全員が賛成し、次の店へと移動することになった。

 

「それにしても、悠人くんって意外とモテるんだね。」奈々さんが冗談めかしてからかうように言うと、周りの仲間たちもすかさず同調した。

 

「そうそう、美咲さんみたいな素敵な人と婚約なんて、本当にすごいよ!」

 

「いや、そんなことないよ…」悠人は少し恥ずかしそうに返事をしたが、内心では美咲との関係をみんなに認めてもらえたことにホッとしていた。

 

美咲も、そんな彼を見て微笑みながら、彼の肩に軽く手を置いた。

 

「これからも二人で頑張ってね!」仲間たちが次々と祝福の言葉をかけ、悠人もその度に頭を下げながら感謝の言葉を返していた。

 

宴会が終わり、夜も更けた頃、悠人と美咲は静かな道を歩いていた。

 

酔いが少し冷め、二人はお互いの顔を見合わせて微笑んだ。

 

「今日は本当に楽しかったね。」美咲が優しく言った。

 

「うん。みんなにも祝福してもらえて、俺も嬉しかったよ。」悠人は美咲の手を握りながら、改めて彼女と過ごす未来に思いを馳せた。

 

「これからも、いろんなことがあるかもしれないけど、二人で乗り越えていこうね。」美咲が真剣な表情で言うと、悠人はしっかりと頷いた。

 

「もちろん。これからもよろしくね。」二人は夜空を見上げながら、ゆっくりと家へ向かった。 

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