五条悟は若人のハッピーエンドを守りたい   作:かるあるおみ

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前回で積み上げた株を一瞬で落としてまた上げるのが五条悟ですよね

なお今回は、知らずとも読める内容ですが、呪術廻戦ファントムパレード公式サブストーリー『GTG流 休日の過ごし方』のパロディネタが多いため、ご留意のほどお願いします。


五条悟の華麗なる夏休み

 

「…………はぁぁ〜」

 

 

『……』

 

 

「はぁぁぁぁ〜……」

 

 

『……』

 

 

はぁぁ…───

 

 

『───切るけど』

 

 

「ちょっとちょっと!せっかくこの僕が話を聞いてほしそうにしてるのに〜!!せっかちな女はモテないよ彩葉さん?」

 

 

『せっかくコラボライブの練習が板に付いてきて、夏休みだしちゃんと寝れるって思った矢先になんなんですかね悟さ・ん??』

 

 

時は夏休みのとある日、僕はある超重要案件に直面したため、彩葉に電話を掛けていた。アポ?何それ美味しいの?甘いのなら大歓迎なんだけど。

 

 

『で、何かあったの?』

 

 

「このGLGすら唸らせる超重要案件!それは────」

 

 

『それは?』

 

 

「────刺激が足りないこと!!」

 

 

『………は?』

 

 

彩葉から、今まで聞いたことのないほど低い声が出た。

何故だろうか?慢性的な退屈ほど厄介なものはないって何処かの誰かが言ってた(気がする)っていうのに!!

 

 

「いや〜ほら、彩葉とかぐや、この前タワマンに引っ越したんでしょ?」

 

 

『そうだけど…』

 

 

「それに、毎日相方ありのわちゃわちゃ楽しいライバーして、夜には天才シェフかぐやのプロ級(手作り)料理食べてるんでしょ?」

 

 

『まぁ、かぐやが勝手に楽しんでやってるだけだけど……それで?』

 

 

「………はっきり言って、羨ましいんだよ!!」

 

 

『ハッハッハ、羨ましいか!』

 

 

彩葉の煽りが刺さる。

どうやら、睡眠時間を削られるくらいならとことんやってやろうという結論に至ったらしい。

なんという所業、僕がいったい何をしたって言うんだ。

 

 

「ま、いいや。それじゃ、コラボライブまでまだ数日あるし、それまで僕は、旅行にでも行こうかな」

 

 

『……そっか。一人(・・)で?』

 

 

「そ、独り(・・)で。さすがに高校生の身だし泊まったりは出来ないけど、日帰りなら幾らでも行けるからね」

 

 

『…お金とかは?』

 

 

旅行に行くと言うと、急にしおらしくなった彩葉にそう聞かれる。

心配しなくても中身はマジのGLGだから大丈夫なんだけど。

 

 

「今までだったら無理だったけど、ヤチヨカップの後からライバー活動の調子がいいもんでいいもんで、最近はなんやかんや遊んでも困らないくらいまで稼げてるから、心配要らないよ」

 

 

『そっか、なら、別に…』

 

 

現在、相も変わらずトップ人気を維持するブラックオニキス・ゲーム系配信者としてはブラックオニキスを除けば敵なしレベルにまで伸びた僕・そしてジャンル問わず未だ伸び続けるかぐやいろPの3つが、ツクヨミを席巻している。

 

一人暮らしというのがここに来て良い方向に出たのか、日帰り旅行くらいなら幾らでも行けてしまうのだ。

 

 

「方針は固まったし、僕はもう寝よ〜。じゃあねー彩葉」

 

 

『これ、私必要だったの……?』

 

 

こうして、僕はコラボライブ前最後の慰安旅行に行くことになるのだった。

 

 

───────────────

 

 

「うわっ、やっぱりここ並んでるわね〜」

 

 

「そうね、ここと言えばだものね〜」

 

 

周囲の人がそう噂しているのを小耳に挟みながら、僕はベンチに座り景色を一望していた。

 

 

「……ふぅ、ようやく買えた。さすがは名物ってだけあって、そう簡単には買えないね」

 

 

そう言う僕の手元には、テイクアウトで購入したしらすのコロッケが握られている。

有名観光地に加えてその中でも屈指の人気店となれば、ここまで並ぶのも必然。

 

 

「これだけ待たせたんだから、僕の期待値は上がってるよ?それじゃ、いただきま〜す!」

 

 

口にした瞬間広がったのは、しらすとは思えない甘くホクホクした味わいと、コロッケのサクサク感。

 

 

そう。僕は今、神奈川に位置する観光スポットで有名な島に来ていた。

 

 

「ここのグルメといえばしらすというくらいだから、期待はしてたけど、まさかここまでとは。いや〜、グルメだけで一日が終わる気さえして恐ろしいよ」

 

 

青い空・綺麗な海・美味い飯、三拍子揃って文句のつけどころがない。

本当に同じ関東なのか疑ってしまう。

 

 

前世でも休日は何度かあったけど、種類は全然回れなかった。

今回は近場にして自然もある。高校生だから効く自由も多くはないが、全然楽しめる範疇だ。

 

 

さて、腹も膨れたし次は……

 

 

「やっぱり温泉っしょ!!」

 

 

どうやらこの島にも温泉…というより、プール・ホテルなどを含んだハイブリッド施設があるらしい。

時間はまだ昼過ぎ、でも、夕方に観光スポットを巡りながらゆっくり帰ることも踏まえればこの時間に入るのも全然ありな選択肢だ。

 

 

他にも水族館とか、観光地自体は幾らでもあるらしいが、今回は前行った温泉が忘れられなかったということで、場所違えど同じ選択を取ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────2時間後

 

 

「……ゴク、ゴク、ゴク…プハーッ!やはり温泉は至高!!そしてその後に飲むフルーツ牛乳もまた至高!!16・7年ぶりでも色あせないこの感動!!最高だ……」

 

 

前世でたまたま取れた休日で行ったあの温泉街でこそないが、得られる感動は変わらない。

 

 

「ほんとは寝てプール入ってまた飯食って、満喫し切りたいところだけど、帰らないとだな……」

 

 

是非とも泊まっていきたいところだが、曲がりなりにも高校生をやっているため、大人しく施設を出ることにする。

一緒にはっちゃける相手もいないしね。

 

 

 

外に出て時計を見てみれば、もう夕方。

 

 

夏ということもあり、その空模様は日が沈む気配など微塵も感じさせないが、面倒なことになっても嫌なので、帰り際にいくつか見える観光地を眺めて帰ることに。

 

 

「────さて、もうこんな時間か……楽しい時間はあっという間ってよく言うけど、眉唾でもなかったかな……」

 

 

 

 

 

残った時間でどこを見るか悩んだが、帰り際に見えた海も見える休憩エリアで景色を眺めることにした。

 

 

夕方だからか観光客が減っていたこともあり、俗に言う穴場スポットを、時間的にも運良く抑えれたようだ。

 

 

(運気が上がったり、浄化的な効果があったりするパワースポットとしても有名みたいだし、神なんて信じるもんでもないけど、こうして浸ってみるのも悪くない)

 

 

 

 

 

 

 

 

ピピッピピッ

 

 

「ん?かぐやからか」

 

 

景色を眺めること数分。

 

急に着信が来たかと思えば、送り主はかぐやだった。

 

これで仕事の電話とかだったらキレてたところだけど、そんなことは高校生の僕には無縁だし、快く出ることにする。

 

 

「やあかぐや、どうしたの?」

 

 

『あ、悟!!今旅行行ってるんでしょ?』

 

 

「ん?そうだけど、何かあった?」

 

 

『彩葉から聞いたけど、一人だけ旅行ってズルくない!?』

 

 

どういう用件かと思えば、ワガママお嬢様からの羨み報告電話。

 

元々気分が良かったのもあり、通話越しでも笑顔を意識して会話を続けていく。

 

 

「フッフッフ、イケてるナイスガイは休日の有効活用もグレートなんだよかぐや」

 

 

『ぐぬぬ〜!次は絶対かぐやたちと3人で行くから!!』

 

 

「いやいや、かぐやには彩葉がいるでしょー?コラボライブが終わったら二人でお祭りにでも行ったら?なんか祭りがあるみたいな話も聴いたし」

 

 

『…?行くんだったら悟も一緒でしょ?』

 

 

「え?」

 

 

何食わぬ顔でそう言ってのけるかぐや。電話越しにあげていた口角が、思わず下がるのを感じる。

 

眺めていた絶景の海が夕日に照らされて、少しずつ堕ちていくのをバックに、身に覚えのあるはずの問答をまた繰り返しているような感覚に陥った。

 

 

これはいけないと、無理やり話を切り替えることにする。

 

 

「あ、そうだ。お土産買ってこうと思うんだけど何がいい?僕のおすすめは〜羊羹とかしらすのコロッケ!」

 

 

『え!?いいの!!じゃあ─────』

 

 

こうしてお土産を買った僕は、かぐやの家までお土産を届けた後に無事帰宅。

旅行で心身のリフレッシュすることに成功したのだった……最近大変だったしね。

 

 

 

───────────────

 

「はぁ……疲れた…」

 

久しぶりにバイトが長引いてしまった。

 

夏休みだというのに、バイトに勉強にかぐやのライバーサポート。おまけに悟の暴走の付き添い。

楽しくないといえば……嘘になるけど、辛いものは辛い。

 

 

「あ、彩葉おかえりー!」

 

 

「ただいま。それは?」

 

 

家の玄関を開けてみれば、嬉しそうな顔をしたかぐやが出迎えてくれる。

 

その手には袋が握られており、何やらいい香りも漂っていた。

 

 

「羊羹!甘くてめっちゃ美味いよ!」

 

 

「そ、そう……」

 

 

正直に言うと、食べたい。ものすごく食べたい。

 

夜ご飯もまだだし、今日も色々あって疲れたのだ。しかもちょっといいやつそうだし。

 

でも、ここで食べてしまうといよいよかぐやのライバー活動に生活援助を受けてるみたいで嫌だったので、鋼の意思で拒否して……

 

 

「……」

 

 

「あれ、食べないの?」

 

 

拒否して……

 

 

「……」

 

 

「食べないんだったらかぐやが食べちゃうけど…」

 

 

拒否……

 

 

「……」

 

 

「じゃあかぐやが…」

 

 

きょ……

 

 

「た、食べたい……」

 

 

「も〜、最初からそう言えばいいのに〜!」

 

 

こうなることを見越していたのか、自慢げな様子で羊羹の袋を手渡してくるかぐや。

 

しょうがないじゃないか。疲れたし、美味しそうだし、こんなの拒否する方が難しいと思う。

 

手を洗い身支度をし、手を合わせていただくことにする。

 

 

「……!ちょー美味い……」

 

 

「…!それ悟からのお土産なんだよ!疲れてるだろうからって!」

 

 

「え…」

 

 

思わぬ気遣いに心が暖かくなる。

 

この気持ちはなんだろう。暖かくて虚しくて、どこか手の届かないようなあの人に、もっと近づいてみたいと、ふと思った。

 

 

──────────

 

 

「挑むのは僕と彩葉に帝。それから───」

 

 

呼吸を整えながら、これからのことについて考える。

 

 

もう僕は教師じゃない。誰かが強くあらずとも呪霊がいない以上、現実における脅威もない。強いて言うなら人間同士の争いくらいだけど、そっちは僕のあずかり知らぬところだ。

 

 

(二人は最強、か……)

 

 

何度も何度も目を逸らしても、あの二人がいつかの自分たちを表しているようで、あの淡くとも色濃い記憶がこびりついて離れない。

 

 

(分かってる。二人はそんなやわな関係じゃない、ちゃんと打ち解けて前を向くってことくらい)

 

 

僕にできることは、そのサポートをすることだ。

ヤチヨの話でもかぐやは、最後にちゃんと想いを伝えようとしたって聴いてる。

 

 

「ッ……頭痛ぇ(・・・)……やっぱこれじゃキツいか…いいや、明日の僕に任せて寝よ〜」

 

 

このままだと、また同じ道を辿る結果になる。

何か、何かできることはないのかと思案しながら、コラボライブの日を迎えるのだった。

 

 




いや〜、一人と独りの意味合いって違うんですね
でも、呪いを打ち破る浄化的な場所で過ごしたらしいですしきっと大丈夫!作者が保証しちゃう!

次回コラボライブ!お楽しみに!

追記:五条は現実では反転術式使えます。ちゃんと最強してますね。なぜ痛いのかは後ほど……

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