五条悟は若人のハッピーエンドを守りたい   作:かるあるおみ

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この二次創作を作ろうに至った理由の一つ、天上天下唯我独尊に気づく秀逸な感想に驚きました……


電海魔境ツクヨミ決戦 -待宵-

 

『こ、これは!?突如として会場に現れた黒い球体が、NPCたちと五条悟を包み込んだ〜!!!』

 

五条悟、ツクヨミにて初の領域展開。

 

月人全軍が五条悟に向かったことが功を奏し、領域外のプレイヤーは酒寄彩葉・かぐやのみ。

 

忠犬オタ公の驚きの声とともに、戦況は大きく動いた。

 

『わがままになって、遊びすぎちゃって──』

 

予想外の強さを誇るNPCと五条悟・かぐやによる感動の新曲・観客席含め動揺と喧騒で盛り上がるツクヨミの中で、かぐやの歌声だけが、会場に変わらず響き続けていた。

 

 

一方領域内───

 

無限の漆黒と宇宙が広がる五条悟の領域、無量空処。

 

「…………」

 

時が止まったかのように、月人は何も発しない。

外の世界と隔絶された五条悟のための空間。

 

 

ブシュッ!!

 

(ッ…久しぶりにやったけど、やっぱ進んでやるもんじゃないね)

 

 

現実における五条悟の脳、右脳の前頭前野に絶大なダメージが入り、即反転術式が施される。

 

 

五条悟は、相手がスーパーコンピューターを軽く凌駕する電子生命体であることから推測されるカウンターを考慮し、領域展開後直ぐに脳の破壊による術式の治癒を行った。

 

 

(最低でもあのボサツ型(菩薩)ズイジュウ型(デカブツ)・周囲にいるリョウサン型(雑魚)も潰す!!無限を破りうる芽は全て狩る!!)

 

 

五条悟が駆ける。数えきれないほどのリョウサン型を狩りながら、一番奥にいるボサツ型に向かって。

 

しかし、奇しくも五条悟の予感は的中した。

 

 

「………Ж………Ы…Οδ」

 

 

「ッ!!」

 

 

(やっぱり動き出したか……!月人は電子生命体、その中でも特に演算能力に優れているであろう菩薩が先に処理を終えたってとこかな)

 

五条悟の領域展開から15秒、ボサツ型が僅かに動く。

インターネットにおいてWebサイトにアクセスする際のように、最初こそラグが発生したが、それも少しずつ修正されていく。

 

しかし、月人たちはハイスペックであっても魔虚羅ではない。

 

パターン化されない無数の情報は、月人たちに完全な適応を許さなかった。

 

ボサツ型が動いたのは、予想だにしない情報処理の強要を乗り越えたからであり、その処理に完結はない。

 

結果として、無量空処は動きが極限まで鈍くなる最悪のデバフとなった。

 

(とはいえ、奴らの行動は読もうとすること自体が愚策)

 

五条悟は脳内で数的不利と己の残機の残量を鑑みる。

 

五条悟の残機数は2。先ほどの一撃でリスポーンこそしなかったが、月見ヤチヨが遅らせたのはあくまでもリスポーン待機時間。

残機自体は削られたため、残りは2回。

 

対して月人はホテイ型が2、その他主力が3。

 

 

(奴らの残機をここで削れず、散り散りになられて領域が外→内に弱いことに気づかれるのも面倒だ……)

 

 

「このやり方で殺るのは僕としても癪だけど、仕方ない。確実に、最大火力で仕留める」

 

 

月人が亀のような速度で五条悟への距離を詰める中、数多の強敵を唸らせた手が合わせられ、その呪詞が紡がれてゆく──

 

 

"位相" "黄昏" "智慧の瞳"────

 

 

一つ、それは全てを呑み込む0を下回ったマイナスのエネルギーによって創られる収束「蒼」の呪詞。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"位相" "波羅蜜" "光の柱"────

 

 

二つ、それは順転の術式に反転術式を流し込むことによって生まれる発散のエネルギー「赫」の呪詞。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"九綱" "偏光" "烏と声明" "表裏の間"────

 

 

そして三つ、順転と反転。それぞれの無限を衝突させることで生成される仮想の質量。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────虚式 「茈」

 

 

 

 

グオォォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ンッ……!

 

 

 

 

確実に倒すため、そして領域展開によって落ちた出力を取り戻すために紡がれた呪詞ありの最大火力は、領域内を茈の光で満たした。

 

 

パリィィィン……

 

『な、なんと、黒い球体の効果によるものか、はたまたNPCの効果か五条悟によるものかは不明ですが、NPC全軍・五条悟、両者ともノックアウト!!痛み分けという形になりました!』

 

 

『しかしこの人数差で相打ちとなると、残機数でいえば五条悟が少々有利になったという結果になりそうです!さすがですねぇ!』

 

 

解説・実況の忠犬オタ公と乙事照琴の声が会場内に響く。

 

自身の呪力によるダメージは軽いと見込んでの無制限の"虚式"だったが、領域展開による行動抑制を優先し、反転術式を後回しにしたことが響き、共倒れという結果になった。

 

リスポーン地点、天守閣よりある程度ズレた位置にリスポーンした五条悟は全力で思考を回す。

 

(僕の残機が残り1なのに対して、アイツらは一体が1と他が2。領域を見せた以上、次は簡単に寄ってきてくれない)

 

 

呪術に対しての理解がない月人。

しかしながら領域に入ってはいけないという事実のみは認識出来ていると予想する。

 

 

(数的不利が事実の今、なるべく散らばらせずに残機を狩りたいけど、リスポーンしたタイミングが同時ってなると、今から瞬間移動して茈を撃ってもギリ躱されるな。現存する手段じゃ不可能……なら)

 

 

五条悟の口角が上がる。

 

いくら五条悟が他者の為に戦うといえど、進化を止めること、常識にとらわれたまま戦いを終えることは、最強を名乗った彼のプライドが許さなかった。

 

 

(残機が削れるリスクはある。とはいえ他に選択肢なし。必殺の一撃を、キメるしかない……!)

 

 

無限を積み重ねたことによる超低速落下、実質的な空中浮遊をしながら、はるか先、まだ散り散りになる前の月人を見据える。

 

 

(理論としてはあった。でも試す機会がなかったアレを、遂に使える)

 

 

五条悟史上最も危険で最も理論上殺傷力の高い技。

 

蒼による瞬間移動を攻撃に応用したもの。

 

 

パシッ

 

五条悟の両手が合わせられ、六眼によって最小限に留められる呪力を惜しみ無く出力することによって生み出される身体強化が、五条悟を包んでいく。

 

 

(極限まで上げろ、六眼と反転術式の出力を!!)

 

 

ダブラ・カラバ。

五条悟とは奇しくも相見えることのなかった、呪術世界における未来の術師。

 

最強同士の思考は似るのか、五条悟の使おうとしている応用技術は、まさにダブラのそれだった。

 

ダブラの徒手空拳による撲殺は、彼の術式"光"と■の内、"光"を応用した亜光速の一撃。

 

対して五条悟の試そうとしている徒手空拳は、瞬間移動による亜光速の一撃。

 

本来目に映らないほどの速度に留まるそれを、媒介となる蒼の出力を極限まで高めることで再現する。

 

もっとも、五条悟自身が大元を知らないため、再現とは言い難いが。

 

 

(もっとだ。本来出さない、出してはいけない出力まで!!)

 

 

亜光速での移動が開始された。

その反動は着弾時の衝撃だけではなく、移動中。流体ではなく固体のように振る舞う空気からも訪れる。

 

五条悟は着弾時の衝撃で残機を失わぬように、移動中の消耗軽減の意味も込めて反転術式の出力を、再生から枯死するレベルにまで高めた。

 

先刻の黒閃、ツクヨミ内での反転術式習得、そしてさらに先に到達し得る高揚感。

 

それらが本来一定に留まるはずの反転術式、ひいては五条悟の呪力出力を、亜光速移動に耐えうるレベルにまで昇華させていた。

 

 

ツクヨミにて五条悟、亜光速で舞う───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ΘΞДаРЬα#*=kjбПЧ……

 

ドォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ンッッッ!!!!

 

 

 

その一撃は、一番耐久の高いであろうズイジュウ型に直撃し、更にその衝撃波によってリスポーン直後の月人全軍を瞬く間に消滅させるに至った。

 

 

「……我ながら恐ろしいね〜、ここに痛覚がなくて良かったよホント」

 

 

リスポーン地点、その周囲の建物全てを破壊するほどの反動により壊れた四肢を反転で治癒しつつ、五条悟は成功へのインタビューに回答する。

 

 

(……とは言っても、この技はもう使えないな)

 

 

表面上は飄々とした態度を貫くが、その一方で、脳内では極めて冷静な状況分析が行われていた。

 

 

(今のも反転の出力があと少し低かったら耐えきれなかった。それにこの後の出力にも影響し得る呪力の出し方だし、これはもう無しだな」

 

 

五条家の特異体質、六眼。

 

その効果によって呪力消費自体は抑えられたものの、従来の限界を超えた出力を呪術にとってドーピングのような状態で出した。

 

例えで言うならば、水道の蛇口を歪ませる程の勢いで水を出したようなもの。

 

呪力切れ同様、時間をおけば再使用できるものの、五条悟はこの戦いのペースから逆算し、今回に関しては、これ以上の使用が領域や他の運用の支障になると判断した。

 

そうしているうちに、月人たち、ホテイ型にとってはラストのリスポーンが行われる。

 

「……でも、今の一撃で生まれた利点もある……受け取れよ月人。二回連続、バースデープレゼントってやつを──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────術式順転「蒼」・術式反転「赫」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────虚式「茈」

 

 

グオォォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ンッ……!

 

 

リスポーンと同時。五条悟による本日二度目の虚式"茈"が、月人に向かって放たれる。

 

 

先ほどと違う点は二つ。

 

一つは無制限の茈ではなく、指向性の定まったものであること。

 

そして二つ目は───────

 

 

 

 

「ЧРЬδΞб……」

 

 

「ハハッ!!成ッ功ッ!!」

 

 

月人たちを仮想の質量が襲い、HPが削られる。

 

……が、虚式の勢いは留まらない(・・・・・・・・)

 

五条悟が成功させたのは、虚式"茈"の残留型。

 

仮想の質量であると同時に自身の呪力でもある"茈"を、月人のリスポーン地点に固定し維持する。

 

無論、俗に言うリスキルを防ぐために、本来ならば警備システムが発動するが、先刻の瞬間移動の衝撃と、管理人月見ヤチヨの不在という条件も相まって、邪魔は入らなかった。

 

 

(ッ──!!制御むっず!!さっきの無茶が響いたか?茈本来の性質か……いや、その両方!!)

 

 

しかし、それ単体で制御するためには六眼が必須と言われる無下限呪術。その最高奥義とも言える"茈"を制御し続けることは六眼をもってしても難しいもの。

 

 

「РΞДаДДЬааРРДДЭФΘαЖЫ────」

 

その隙を、月人は見逃さない。

 

(ッッ──!?)

 

茈の制御が甘くなったその瞬間、ボサツ型が茈を抜け出し、五条悟に牙を剥く。

 

大技と未開拓の応用を連発したうえ、発動速度を優先するため呪詞を省いたことによる出力の低下が、ここに来て響いた。

 

 

(どうする?茈で潰し切るのを諦めて、別の方向にシフトするか?いや、大技を連発した直後菩薩をフリーにするのはまずい……!)

 

 

ボサツ型によって召喚されたリョウサン型たちとレーザーが、五条悟に迫る──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガキンッッ!!!!

 

 

無限に向かって放たれたレーザーとリョウサン型たちが、五条悟にヒットする直前。

 

それらは突如として割り込んでくるブーメランによって撃ち落とされた。

 

 

「─────言ったでしょ、諦めないって」

 

超新星ライバー、その片割れが、月人の前に立ちはだかる───

 




次回、決着。

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