五条悟は若人のハッピーエンドを守りたい   作:かるあるおみ

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時系列:Modulo No.1の後

なお今回は、知らずとも読める内容であるものの、呪術廻戦ファントムパレード公式サブストーリー『渚に跳ねる青』のパロディネタが多いため、ご留意のほどお願いします。




Modulo No.2:変わらないもの 前編

 

 

いつもの朝。

 

かぐやがバカ騒ぎして、悟とアバターボディのヤチヨがそれに便乗して、私が割って入ることで何とか収集が着く。疲れて、怒って。でも、私が一番欲しかったものだ。

 

前の悟はああ見えて、突拍子のないことをあまりしなかった。

 

出会ったばかりの頃は、軽薄で馬鹿で騒がしいけど、意外と世のことには無頓着なクラスメイトみたいな印象で、かぐやが来てからら、彼女とノリの良さで馬が合っていた。

 

お父さんが死んでから東京に行くまでの兄がそういう感じだったからか、この見方は合っている気がする。と言っても、一度記憶を辿ったから実際にそうなのは知っているけど。

 

あの時の悟は本当に生きるのが楽しくなかったのに、そこまで踏み込める関係性になれなかったことが、大人になっても未だに悔しい。

 

 

……ここまで色々話してきたけれど、いいことだってある。

 

生き返った後、つまり最近の悟は、何処か生き生きしている。

かぐやのようにやりたいことに全力なだけではなく、やりたいことを自分から遠慮なくやるようになった。

 

単純に嬉しかった。

欲しかった生活がここにある。

 

かぐやがいて、ヤチヨがいて、悟がいる。

 

 

それが一番だったのに、彼はこう言った。

 

 

「僕明後日から沖縄まで出掛けてくるから、次の検査パスで〜」

 

 

「……え〜っと何言ってるのかなぁ悟?」

 

 

現在私、酒寄彩葉と五条悟がいるのは、私が所長を務める酒寄研究所。

 

業界では異例のホワイト企業であり、義体制作から繋がる様々な医療的実用性の開拓を初めとする多種多様な実績を持つことから人気も高い研究室だ。

 

と言っても、所長である私もしっかり休ませてもらっているし、この前まで呪力などというよく分からない研究までしていたのだから、一概に完璧とは言えない。

 

ちなみに、悟復活のための研究は世間には一切公表しないトップシークレットの研究として扱っている。この研究所が死者蘇生すらできる何でも屋のように受け取られても嫌だし、世間に公表する成果としては、ヤチヨの義体制作から枝分かれする応用技術のみで十分すぎるからだ。

 

 

「え?だから明後日から沖縄に行ってくるから、定期検診はパス──」

 

 

「それは別に聞こえてる!」

 

 

「えぇ…?それ以外に僕何か言った?あ、もしかして、10年の間にボケちゃったり───」

 

 

よし……無限がなんだ、壁どころかツクヨミまでぶっ飛ばしてやろう。

 

 

「70年後の姿でも見えちゃってるのかなぁ〜!違うよ?」

 

 

「どうしたのそんなキレちゃってさ、ヒスはモテないよ?」

 

 

かぐやは笑って誤魔化してきたけど、こっちは笑うどころか無自覚(に見せかけた)煽りまで入れて来た。

 

モテはするかもしれないが本命には相手にされないこの気持ちが分からぬか。いや、分からないだろう。彼の記憶には恋愛のれの字もなかったから。

 

 

「……まあそれは兎も角、なんでいきなり沖縄なんか行くの?」

 

 

「ん?誰にだって旅行に行きたくなる時くらいあるでしょ?雷だって旅行好きだし、最近収入も入りだしたし」

 

 

「あるかもしれないけど突発的すぎるでしょ……あと!ブラックオニキスに加入したことまだ許してないから!」

 

 

検査をパスだなんて簡単に言わないでほしい。

悟が復活してからというもの、毎週欠かさずにしてきた検査。

呪力が関係している以上、縛りが解けていても何か起きるかもしれない。

 

そう提言して毎週身体的な異常チェックだけはしていたのに、早くも数ヶ月ですっぽかしそうになっている。

 

まあ、ヤチヨの義体と違って身体は悟本人の物だし、縛りは完遂したのだから正直検査は要らないのだけれど、そうなっては困るのだ。

 

 

「ま、そんなわけで行ってくるから〜、久しぶりの一人旅〜♪」

 

 

鼻歌でも歌い出しそうな勢いでスキップする悟。

だけどそう簡単には行かせない。

 

 

「悟。貴方には一つ見落としていることがある」

 

 

「ん?」

 

 

「悟、今何歳?」

 

 

「そりゃあこのGLBピッチピチの16……あ。」

 

 

「16歳じゃ日帰り旅行しか出来ないんじゃなくて?」

 

 

そう。彼の肉体年齢は16歳後半……つまり未成年。

国内旅行だからパスポートこそ要らないけど、ホテルに泊まるためには制限が掛かることもある。

 

 

そんな縛られた旅行を悟が行きたがるか……答えは否だ。

 

 

「……ということで、頼れる(・・・)大人である私たちも着いていくから」

 

 

「ガーン!!」

 

 

「あんまり声に出してガーンっていう人いないと思うけど……」

 

 

何故だろうか。記憶を見てもなお、この男が計算高い人物だとは思えない。

軽薄・馬鹿・個人主義とは誰からの評価だったっけ?

 

本当に純粋なかぐやとは違う意味で調子が狂わされる。

 

 

「でも、彩葉は忙しいんじゃないの?ぼ・く・はスケジュール管理もバッチリだけど!!」

 

 

「───はい。ではその方針でお願いします。はい。失礼します……よし悟、予定空いたから明後日にでも出発できるよ」

 

 

「何!?早すぎて怖いんだけど!!僕に怖いって思わせるやつ数える程しかいないってのに……」

 

 

「こっちは義体研究事業に加えてツクヨミのエンジニアも兼ねてる以上、メディア系の依頼もたんまりあるの。それの予定が偶然(・・)明後日の沖縄になっただけ」

 

 

「目の前で電話してた癖によく言うヨネ」

 

 

予定をすっぽかしてでも一人旅に赴こうとするやつに言われたくない。

 

 

「それに、かぐやとヤチヨをそのインタビューに出演させてあげるっていうWIN-WINな交換条件も提示したから問題なし」

 

 

「あれ、彩葉が二人をメディアに出すなんて意外だねぇ」

 

 

「お相手もちゃんとした所だし、ツクヨミ管理人で義体を利用してる本人であるヤチヨ、この研究所のエンジニア・プログラマーとして活躍するかぐやならインタビューに出ない方がおかしい話でしょ?」

 

 

ギリリ……ギリリリリッ……

 

 

「こっわ……血管浮き出てますよ〜」

 

 

「うっさい」

 

 

何がともあれ、こうして私たちの沖縄旅行が決定したのであった。

 

 

─────────────

旅行当日

 

 

「ってことで、めんそーれ!沖縄!!」

 

 

「めんそーれは歓迎の言葉だとヤッチョは思うのです♪」

 

 

「も〜細かいことはいーの!いくよ!みんな!」

 

 

「……」

 

 

「悟の言う通りだよヤチヨ……ってか暑っつ!?半袖なのに〜!」

 

 

4人で旅行だからなのか、はたまた月からの住人二人とテンション爆発呪術師がいるからなのか、お祭り騒ぎの様子で空港を出る。

かぐやは初めての沖縄に大盛り上がり。

 

ヤチヨも8000年生きているとはいえ、当時日本に区分されていなかった沖縄は初めてのようで、知識を披露しつつもその顔にはワクワクが滲み出ている。

 

 

「今日の沖縄は時期外れの超猛暑らしいよ。皆、水分補給忘れずにね」

 

 

アロハなシャツを着て準備万端な悟がノリノリで答える。

 

 

「……とりあえず、今日は私たち三人のメディア出演があるから、悟は沖縄観光でもしてて」

 

 

「おっけ〜」

 

 

「な!?彩葉、かぐやも4人で観光したい〜!!」

 

 

「ヤッチョも〜」

 

 

「しょうがないでしょ、仕事なんだから。明日から二日は遊べるんだからそれで我慢して」

 

 

いつものように欲深怪獣×2を彩葉が宥め、五条悟と三人は解散した。

 

本来の二人ならば彩葉がチョロ葉にグレードダウンするまで強請るのだが、インタビューに答えること自体は楽しみにしていたのか、それ以上追求することはなかった。

 

 

 

────楽しい時間はあっという間……というわけではなく、忙しい時間こそあっという間で、彩葉・かぐや・ヤチヨの三人にとっては一日が一瞬に感じられ、インタビューだけで一日目が溶けていく。

 

 

そうして迎えた旅行二日目。

三日目の午後には飛行機に乗らなければならないため、観光で一日を満喫出来るのは今日だけだろうと、一日の計画を頭の中で反芻する。

 

 

(あの時の悟……)

 

 

「彩葉〜これめっちゃ美味しい!!」

 

 

「ヤッチョはこれを彩葉と食べたいな〜」

 

 

「な!?じゃあかぐやも彩葉とこれ食べる〜!!」

 

 

「……って、アンタら二人は何してんの……」

 

 

隣に座っている二人が騒がしいため、一度思考を断ち切る。

 

 

「にしても悟酷くない!?今日はみんなで観光できると思ったのに、一人で先行っちゃうなんて!!」

 

 

「それはヤッチョも同意賛同アグリード〜。起きた頃にはもういないだなんて、ヤチヨは泣いてしまいそうで〜」

 

 

「やられたわね……」

 

 

おそらく一人で観光したかった悟は、私たちが朝起きた頃には意図的に出立していたようで、残されていたのはその旨の紙切れ1枚だけ。

 

 

『僕先行ってるから、三人も楽しんでね〜‪☆僕のおすすめは、水族館のジンベイザメ!!』

 

 

「まあ、とりあえず私たちも食べ終わったら街で観光しつつ、水族館行くよ。悟がいたらいいけど、アイツいつも返信遅いし、今回はわざとしなそうだし」

 

 

「「はーい!!」」

 

 

胸の中に渦巻く何かを押さえつけながら、私たちは朝食を済ませホテルを出た。

 

 

 

 

 

 

─────────────

 

 

「────お、見てあれ!犬dogeの仲間!!」

 

 

「のんのんかぐや!あれはシーサーなのです♪」

 

 

「確か、シー↑サー↓じゃなくて、シー↓サー↑らしいけど」

 

 

「彩葉〜よく知ってるね〜」

 

 

「昔の悟がよく沖縄の話をしてたから」

 

 

街を歩くと見えてきたシーサーに、興味津々なかぐやが質問をし、それに対して二人が答える。

 

 

「それにしても今年の夏服も良き〜!」

 

 

「正直28でこれはキツイんだけど……」

 

 

「彩葉は何着ても似合うとヤッチョは思うよ」

 

 

彩葉が着用している紺の半袖シャツにスカートという組み合わせに、彩葉自身が苦言を呈す。

 

 

「っていうか、私としては推してる存在が現実でオシャレしてる時点でヤバい」

 

 

「ふふふ〜彩葉に褒めて貰えるなんて、ヤチヨは果報者なのです♪」

 

 

「ヤチヨだけずるい〜!!かぐやは!?」

 

 

「はいはい、可愛い可愛い」

 

 

「なんか雑くない!?」

 

 

「彩葉ツンデレだね〜、ほら見てかぐや。彩葉、意識しちゃって耳まで真っ赤だよ」

 

 

「ほほ〜う?」

 

 

「ヤチヨ余計なこと言わないで!!かぐやもニヤニヤしない!!」

 

 

ショートパンツと白いシャツに、黒いワンピースを纏ったかぐやと、黒のノースリーブワンピースを着こなしているヤチヨ。

 

どちらも高レベルというのは、周りの視線も惹きつけていることから明白だ。

 

 

「いいから!!早く水族館行く!」

 

 

「語彙力が低下してましてよ〜?」

 

 

「ぐぬぬ……」

 

 

こうして、三人は水族館へと向かった。

 





リアルが数週間忙しくなるので、次の投稿は7月12日の予定です!!
前編後編構成になるとは執筆中の私自身思っておらず……

そしてこの後の話でどちらが見たいかのアンケートを置きました!!
タイトルのみですので難しいとは思いますが、どちらもif√の話になってます。(超かぐや姫!なのでバッドエンドifではありません)

活動報告にあるリクエストありがとうございます!!
ごちゃごちゃになるので返信はしていませんが、全て目を通しています。
実現できるもの(作者的に物語を壊さない程度)ならどんどん書いていきたいので、引き続きよろしくお願いします!!今回はその内の一つである旅行回ですね。


どちらの方が見たいですか?(結果はあくまでも参考程度の扱いになります)

  • あの頃をもう一度
  • 学び舎の一等星
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