五条悟は若人のハッピーエンドを守りたい   作:かるあるおみ

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皆さん(多分)お待ちかねの戦闘シーンです。作者も書きたくてうずうずしてました。
戦闘回には作者なりの設定の補足を後書きに記載しているので、最後まで読んでいただけると幸いです。


世紀の竹取合戦 ~最強を添えて〜

 

 

『注目のイベントが始まろうとしています!!王者ブラックオニキスが、異例の速度でのし上がった超新星かぐや・いろPに宣戦!そして求婚!───』

 

 

その高らかな実況とともに始まろうとしているのは、かぐや争奪戦。

ファン数100万超を達成し、43位にまで駆け上がった二人にプロゲーマーユニット『ブラックオニキス』が持ち掛けた勝負だ。

 

 

そんな戦いを僕は、観客席から芦花とともに観戦している。

 

 

「いや、僕は戦いたかったんだけどね」

 

 

「まぁまぁ、五条君は秘密兵器ってことだから〜」

 

 

最初は二人とともに出場しようと画策していたのだが、ほら来たと言わんばかりの笑みを浮かべられ、そのまま芦花と彩葉におだてられてしまい、渋々観戦という道を選んだ。我ながら彩葉のことを言えないくらいには甘いと思う。

 

 

「ってゆーか、なんでダメなわけ〜?僕"何も"してないのに」

 

 

「どちらかというと何かしそうだから真実に任せたというか……」

 

 

芦花が若干引いたような顔をしてそう言う。

心当たりはない。……ない。無いったらない!

 

 

『───黒鬼、ご来臨〜!』

 

 

「ヒュ〜、派手にいくね。かっくい〜」

 

 

そんなことを話している間にも実況は進み、遂に対戦相手、ブラックオニキスの面々が姿を現した。

僕も派手なのは好きなので、ここは素直に褒めておく。

 

 

「芦花はこの勝負、どう観る?」

 

 

「え、うーん、彩葉はプロ並みの実力持ってると思うし、かぐやちゃんは何かしてくれそうな感じするし、意外と心配ないと思うけどな〜」

 

 

「確かにねー、二人の相性は抜群だと思うよ。でも、僕はちょ〜っと怪しいよりの予想かな」

 

 

「そう?」

 

 

僕を肯定派だと思っていたであろう芦花が不思議そうに聞いてくる。

 

 

「僕は苦手よりなんだけど、この『SENGOKU』は団体競技。それぞれに役割がある。その点では、あの二人は互いの弱点を補い合えると思うよ」

 

 

「なら───」

 

 

「でも、相手がそのまま2-1で分かれようと、トライデントをしてこようと、必ず誰かは個人競技を押し付けられることになる。そこで勝ち切る力があるかといえば、ない。100パーない

 

 

「……」

 

 

普段出さない戦闘狂()の一面とその圧に、芦花が思わず押し黙るのを感じる。

 

 

「別に二人を信じてないわけじゃないよ。彩葉の実力は確かだし、かぐやのクレバーなとこは間違いなく二人の長所だ。でも、彩葉は自分を過小評価しすぎるくせに、誰かを自分が個人として(・・・・・・・・)勝つための戦略の一つに組み込もうとしない。かぐやはメンタル面の心配はないけど、このゲームの原則、ハンマー職な以上単純な1対1じゃあ致命的な隙が生まれる。そこを見逃すほど、あっちも甘くない」

 

 

「…つまり?」

 

 

芦花が普段の軽いフットワークを収め、僕の意見を聞く……というより、僕自身(・・・)を品定めするような目で続きを促す。

 

 

「二人は絶対にツーマンセルで動くことになるのが、これまでの配信で研究されてる。プロゲーマーなら尚更ね」

 

 

かぐや・いろPは有名になりすぎた。コラボの時も周りに手札をバレないようにカジュアルマッチしかやらないような僕とは前提から違う。

プロゲーマーならそこら辺の対策も常に持っとくもんだけど、かぐやたちはライト層向けのストリーマー程度のゲーム活動で、普段はゲーム以外の幅広い分野で活動するライバーだ。勝負する土俵がズレてる以上、そこは絶対ディスアドバンテージになる。

 

 

その補足を聞いた芦花は、何処か安心して、何処か悲しそうに納得のいった笑みを浮かべた。

 

「そっか、五条君は凄いね…二人のことをちゃんと見てる……」

 

 

「───だから、そこを僕が担う」

 

 

「……?」

 

3対3のゲームだと言うのに、今更何を言っているんだろうという目で、芦花がこちらを(うかが)う。

 

 

「スクリーンを見てみ」

 

 

「ん?……あ。」

 

 

そこに映っているのは、到着した帝たちと、真実が倒れたことで困り果てているかぐやと彩葉。

 

 

「で、でも、こういう時にはお助けのヤチヨが入ってくれるから………」

 

 

『おおっと!突如ステージ内に黒服・黒目隠しの男が現れた!!』

 

 

『あれはゲーム配信者五条悟。以前かぐや・いろPとコラボしていた方ですね!巷では明らかに活動名が本名っぽい不審者系ライバーだという噂も流れているようです!』

 

『ヤッチョも見たことあるけど、かなり腕が立つみたいだよ〜』

 

 

『失礼すぎない……?』

 

 

「え?」

 

 

そう会場に轟く実況乙事照琴(おっこてること)と、解説忠犬オタ公・いつの間にか解説席に座るヤチヨ、そして聞き覚えしかない呆れたような声。

まさかと思い隣の席を確認した苦労人(芦花)の目には────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────『メンゴ!』と書かれた五条の書き置きが置かれていたのだった。

 

 

─────────────

 

「悟が入ったはいいけど、どうすんの、作戦とか。悟が『SENGOKU』してるの見た事ないし、何気に『SETSUNA』も初心者の頃に軽くやってたけど最近コラボでしかやってないし、悟は大丈夫なの?」

 

 

「ま、僕もあれからかなり上達したから、そこは安心して」

 

 

「作戦の答えになってないし……」

 

 

「作戦なんてガーッと行ってしゅたたたた〜、そんでバーン!!」

 

 

「かぐやに至ってはアレだし、嘘でしょ……」

 

 

「りょ〜か〜い」

 

呆れたように彩葉がそう言い放つと、かぐやが自信満々な様子で二人の前に立ち、気合いを入れて作戦を発表する。が、そんな擬音語(もの)がまかり通るはずもなく、彩葉は眉間に力を込め呆れをドン引きに昇華させた。

 

ちなみに僕はそんな様子は全く見せずにリラックスしてる。

彩葉とやったのは無下限呪術を試運転するどうこう以前の話だし、何より────

 

 

 

 

 

 

 

「───僕、最強だから。負けるつもりはないよ」

 

 

この言葉はあまり使いたくはないが、士気を上げるために言っておく。

 

 

「彩葉はかぐやと二人で行動して。向こうも今までの配信からそれは読んでるだろうけど、僕があっちの二人を引き受けるから」

 

 

「相手はプロゲーマーだよ!?本当に悟一人でいけるの?」

 

 

準備運動をするようなポーズを取りながら、しれっと作戦を伝える。ツクヨミだから運動したって意味ないんだけど。

何やら彩葉が心配してるみたいだが、関係ない。

 

時間にして16年。久しい強者との戦闘に眠っていたはずの心が踊る。

 

「こっちは勝てるポテンシャルも、相手が油断するほどの前評判もある状態で来てる。それに、僕は一人の方が動きやすいから無問題(モーマンタイ)……勝てるよ」

 

 

「…任せるわよ?」

 

 

「ハハッ誰に言ってんの〜?」

 

 

「ちょっと、かぐやもいるんだけど!?絶対勝つ!」

 

 

「はいはい……行くわよ」

 

そうして試合開始の音を告げる法螺貝の音が鳴り響き、ブラックオニキスとのKASSENが始まった。

 

『試合開始です!』

 

 

───────────

 

開始早々、かぐや・彩葉は2Dマップで言う上の道、トップレーンを進み、僕が下の道、ボトムレーンを進む。

 

 

『おーっと!黒鬼はトライデント!トライデントです!』

 

相手の黒鬼はトップ・ミドル・ボトムそれぞれに一人ずつ配置するトライデントを選択したようだ。

舐められてるのは癪だが、僕の実力がリサーチされていない+今までの活動で『SENGOKU』をやらず地味な戦いで目立ってこなかったことも重なりあまり警戒されて────

 

 

 

 

 

 

 

(──いないってより、未知数だから一旦様子見ってとこかな?)

 

ほんとに警戒してるなら、僕に二人向かわせるはず。僕の配信アーカイブを見た上で測りきれなかったから、後で勝てると踏んで1試合捨てた可能性もある。

 

そもそも飛び入り参加、知らないやつだから完全に舐めてかかってるって場合もあるけど。というか、そっちの方が有り得そう。

 

「まぁ何にせよ、敢えて僕を殺りに来たことは確かだ……ねっ!」

 

 

ビタァっ

 

次の瞬間飛んできた矢を無下限で止める。今居るのは竹林の中、矢を撃った刺客、相手方にとってはちょうどいいステージってワケだ。

 

 

ビタっ……ビタビタビタっ!

 

続けざまに矢が飛ぶが、僕の無下限は耐久値があるバリアじゃない。

 

「何本撃っても変わんないよ〜?」

 

 

『それ、どーゆう仕組みー?やめてほしいんだけど〜?』

 

 

何処からかそんな声が聞こえてくる。

呪力の反応で位置は誤魔化せないけど、ここで相手の手札を割っておきたい。

 

「わざわざそっちがやりやすい竹林を選んであげた(・・・)んだから、それくらい頑張りな〜?」

 

 

『……ムカつくこと言ってくれるじゃん?』

 

 

『おっと!?乃依の狙撃を五条が止める〜!!見たこともない技だが、これは一体〜!?』

 

 

『これは魔術師の派生、EX的な職業だね〜。近・中・遠距離全てに対応出来る代わりに、相当な才能がなけれは使うことすらままならない…ヤッチョもここまで使いこなしてる人を見るのは初めてだよ〜☆』

 

 

『……ということです!ここに来て超新星かぐや・いろPの隠し玉、五条悟の実力が垣間見えることに〜!』

 

 

ツクヨミ管理人のヤチヨが解説というのは信憑性の塊のようで、何とか炎上せずに済みそうだ。

 

 

(ここまで贔屓の様な真似をする理由は不明だけど、おかげで今まで試せなかったことも存分に試せる。ここはありがたく利用させてもらうよ)

 

 

相手……乃依に、何本撃っても当たらないと割り切られ策を講じられるのも厄介だ。敢えて一度マニュアル式の無下限を解き、呪力で強化した身体で竹林の中を駆け巡っていく。

 

 

(相手に何かしらの制限付きだと錯覚させられれは御の字だけど、どうか───)

 

 

そうしていると、大袈裟な程大きいアナウンスがこちらにまで届くようになる。

 

『おーっと衝撃の告白だ〜!!帝といろPは兄弟だったー!?更に、いろPが着ぐるみを脱ぎ素顔を公開!』

 

 

「───なって、え、マジ?何それウケるんだけど……っと!」

 

乃依の矢を、無下限を解いているため飛んでくる矢を避けながら、突如として明かされた速報に驚く。

これが『KASSEN』じゃなかったらからかえ……じゃなくて、リアルなリアクションを拝めたのに。

 

 

「よそ見してる場合?」

 

 

ビタアッビタッビタッビタッビタッビタッ

 

 

『ここで乃衣の鈍足連射だ〜ッ!!』

 

 

『猶予1フレームです。このまま押さえ込むつもりでしょうか』

 

 

一撃一撃が必殺級の矢が彗星の如き速さで、更に絶え間なく飛んでくる。

新しい手札を切ってきたため、僕はマニュアル式の無下限を再度展開、受け止めて、その矢たちを軽い動作で退けた。

 

 

(さっきみたいに無下限を解いて誘い込むのはナシだな。こっちが1フレームの間を無理矢理耐えても、あっちは手数でカバー出来る以上、そう簡単には決着を焦らない。僕の配信アーカイブを見てたとしても、安易に近接戦を挑めばフルボッコにされることくらいなら分かるだろうし、突破して相手に即引きされるのも面倒だ。ウザいけど、ここは耐えるのがbetterかな)

 

 

「そっちこそ、距離詰められて焦ってんじゃなーい?」

 

 

そんな思考を回しつつも鈍足連射までの間に距離を少し詰めたことで、呪力探知無しで乃依が見える距離まで漕ぎ着けてはいる。

 

しかし、乃依も黙って見ているだけではない。

いつの間にミニオンを倒したのであろう。必殺技(ウルト)かスキルかが溜まるエフェクトが立ち昇っていく。

 

 

「どうか、な!」

 

 

ビタァンッ!!

 

 

「これ、当たるとどうなんの?」

 

 

超速の矢が止まったことによる風圧で後ろの竹が何本か吹き飛ぶ。

そのまま据え置きだったエフェクトが光り輝き─────

 

 

 

 

 

 

ピガ”ァ”ァ”ァ”ァ”ンッッ!!!!

 

 

大きめの結晶となり、ただでさえ狭い道しか無かっただった竹林が更に狭くなった。

僕は結晶となる前に後ろに飛んだため、自然と前の道が塞がれる形となってしまう。

 

 

「矢と結晶化、更にそれで道を塞ぐ三段構え。器用だね〜」

 

 

「じゃ、そう言う事で、じゃあね〜♡」

 

 

奥で中ボスである牛鬼が倒される音が聞こえる。

 

挑発したつもりだったが、そこは勝負の世界で上に君臨し続けてきたプロ。それには乗らず、連射での行動スタンを一時的に捨てて、こちらからの妨害を遮断して櫓を取るつもりらしい。

 

 

(櫓を確保して後はのらりくらりとこちらの足止めに回るつもりか……慣れてるな)

 

 

 

 

 

 

ゴーン……!!

 

 

『トップレーンの櫓が黒鬼によって占拠!!かぐや・いろPの健闘虚しく突破されてしまうー!!』

 

 

更にそこでかぐやたちのいるトップレーンの櫓が制圧された知らせが届く。

2対1とはいえ相手はプロ。二人が弱いわけではないが、少し荷が重かったか。

このままボトム(こっち)の櫓が占拠されればコールド負けになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………仕方ない、悪いけど、少し強引に行かせて貰おうか」

 

 

(ヤチヨの解説フォローは本当に入ったし、もう渋る必要も無くなった。ま、勝つためだったらどっちにしろ気にしなかっただろうけ……ど………)

 

 

『お、おぉっと!?これは〜!?』

 

 

『今まで素顔を隠していた五条悟が、目隠しを下ろしていく〜!!』

 

 

「──────"位相"・"黄昏"・"智慧の瞳"

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

電子の世界に顕現した蒼きエネルギーが、詠唱により出力を上げ生成されていく──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──────術式順転 蒼!!

 

 

 

バキバキバキバキッ!!!

 

 

「……なーにそれ〜」

 

竹林を凪ぎ、結晶をスクラップにし、全てを飲み込む"蒼"は乃依にまで届き、ノックアウト。そのままボトムレーンの櫓を支配した。

 

 

 

 

バーン!!

 

 

『………し、しかし!既に天守閣へと向かっていた雷が、トップレーンを制圧済みの帝により出現した大将落としを叩き込み、そのままWIN!波乱の1回戦は黒鬼の勝利となりました!!』

 

 

「………やるね」

 

 

(初めての挑戦にして成功。蒼が発動出来たのは大きいけど、それに一喜一憂してもいられない、か)

 

 

電子の世界で蒼が成功したという高揚感。しかしそれでも尚届かなかった相手に、五条悟のボルテージは序盤にして既に最高潮にまで昇っていた。

 

 

 

 

「───楽しくなってきた」

 

 

「はい、さすがにやり過ぎだよ〜」

 

しかし、その後五条悟に登場する機会はなく、交代しに来たヤチヨにより強制退場させられてしまうのだった。

 

 




以下補足を4つほど
・なんで1試合で五条を退場させたのか→作者的に帝vsかぐや・彩葉の1対2を勝てたのって、ヤチヨが3戦目で彩葉に頼ってと言って心理的負担を減らしたのが要因かなと思ってますので、五条を交代させる必要がありました。戦闘狂悟くんは怒りますねこんなん。

・五条がプロローグで同時処理が何とかと言って無下限を破られていたのになんで今回の矢(例:鈍足連射)は大丈夫だったのか→時系列的に、五条自身が特定の条件下においてこの世界でも無下限が破られることにまだ気づいていないため無下限バリアを使いましたが、シンプルに処理落ちする前に無意識下で止まった矢を退けていること(懐玉玉折でQのナイフを退けてた{あれは歩いたからですが}のをイメージ)が主な理由です。

・蒼は何故楽な部類として一発成功させたのか→あれは1ピクセルに力場を集中させて引力を作る(術式で電子を1箇所に吸い込む)ことで再現しているので、あくまでも現実の蒼と仕組みはほぼ変わらないことから使用しやすいです

・反転術式と赫・茈が使えないのは何故か→これは後々本編でも説明を入れますが、ツクヨミでは身体を構成するのが電子なので、反転術式を"肉体の再生"というより"アバターと同一のものを再現"するという形で使用する設定にしています。なので原作を見ても技術面において0→1より1→100が得意そう(作者の偏見)な五条はまだ使えません(電子を動かしているのはあくまでも無下限呪術のためツクヨミ内で反転{というより再生技術}を習得しなければそれを流し込んで発散反応をつくる赫も運用出来ない)

無理矢理感ある設定と独自解釈ですが、こうでもしないと初手で瞬間移動して領域展開はいお疲れ〜解散解散ができちゃう(性格的にしなそうですが)ので許してください

初めてちゃんとした戦闘シーン書いたのでかなり緊張しながらの公開ですがいかがだったでしょうか?


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