リユニオン ウィズ ジ ディシースト   作:うどん米

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第5話・第一世代魔術の欠点

 

 

 アポロとアフェが去った後のクランで、先ほどまでの彼らの行動を観察しているものがいた。

 男女の二人組で二階から覗き込んでいた。

 

「化け物だな。あの第一世代魔術師」

「だな。気持ち悪いくらい魔力操作と干渉力、Sランク冒険者って言うのも間違いないだろう」

 

 化け物とアポロを形容した彼女は試しにもう一人の男の眼前に魔法を発動させようとする。

 だが、魔力が練られると同時にはじき出される。

 

 それこそ、これを成功させるためには助走をつけて針に糸を通すくらいの精密さが求められるだろう。

 

「やっぱりできないや。ザレクは雑魚だけど、それでも難しいだろうね」

「あいつも曲がりなりにも魔術師だからな。それにしても……」

 

 男の方は今だに喚ているメリーとザレクを見下げている。

 

「ここも、もう駄目だな。あんな程度の低い奴が受付だなんてな」

「あの噂も眉唾だと思っていたけど、あの受付嬢を見るといよいよね。あんたはどうするの?もう、他のクランに行く気?」

「ああ、もう内定も得たよ。来月にはおさらばだな。フレムは?」

「あたしは今週末よ。ふっ、ここが大手クランって言われるのもいつまでかしらね……」

 

 二人はこのクランの現状を憂いながら、泥船からの脱出を画策するのだった。

 

 

 

 ***

 

 

 

 一方、僕たちは報復を警戒して少し走った後路地裏に身を潜めていた。

 ちらっと顔を出し尾行されていないことを確認した後やっと一息ついた。

 

「ごめん、あたしのせいで……」

「いいや、アフェのせいじゃないよ。むしろ、君が怒ってくれてすごく嬉しかった」

「でも、あたしがじっとしてればアポロなら実力で黙らせて加入して、きっと今日には迷宮に入れたと思う」

 

 彼女の言う通り、あの場で実力を証明する手段なんていくらでもあった。

 そうすれば、僕の目的を達成するのにも大きく近づくだろう。

 

「ううん、いいんだ。ていうか、あんな人を馬鹿にするクランになんか入りたくないしね。あんなところにいくらいなら君の隣にいた方が何倍も楽しいよ」

「そうね。あたしも、そう思う。それにしても、情報が古かったのかもしれないわ。あんなのが大手クランなんて世も末ね」

「大雑把な手段をとるクラン。略して大手クラン。なんてね」

「ふふっ、言えてるわ」

 

 少し顔色が悪かった彼女もこの冗談で笑ってくれた。

 本当に、彼女の言う通りあれで大手クランと呼ばれているならその下はとんでもないことになるだろう。

 

「それにしても、あの女!今でもイラつくわ。あたしのアポロを散々馬鹿にしてきて、第一世代の何が悪いのよ!」

「実際、悪い事尽くめなんだけどね。第二世代以降と違って発動は遅くて、暴発の危険性も高いし、威力で負けることも多いから」

「で、でもアポロがやったみたいに座標を指定して相手の顔面にぶつけちゃえばいいじゃない」

「強みだけど、弱味でもあるかな」

 

 僕のように相手の顔面ギリギリに魔法を出すなんて芸当は実力差があるからこそ成立するのだ。

 座標指定も一目見て大まかな距離と大きさを測らなくてはいけない。

 

 正直、第一世代だけのメリットと言うのはほぼない。

 

「特に人間相手だと、座標を口に出すから大体どこに魔法が出現するかバレちゃうんだよね」

「……第一世代ってもしかして良いところ全くない?」

「そんなことはないけど、わざわざ第一世代を使う必要はないかな。僕も使えるなら第二世代以降の魔法を使ってるよ」

 

 それゆえに、同じ第一世代の魔術を使っている人は見たことがない。

 あそこまで侮辱されたのは久しぶりだが、一般的に才能と生まれに恵まれない物の証でもあるため下に見られるのも仕方がない。

 

「それでも、あの受付嬢の対応はありえないわ!絶対にどっかで文句言ってやる」

「やめて、アフェ。問題事をこちらから起こす必要はないよ。それに……」

「それに?」

「悪は栄えるけれど、屑は衰退するのが世間のお約束だからね」

 

 大手クランの看板を背負っておきながらあのような対応をした二人がどうなるか、それはある程度予想できる。

 もし、クラン側がそれを罰せなかった時はクランも末と言う事だろう。

 

「よしっ、じゃあどうしよっかな。今日は適当な宿屋に入って休む?」

「いや、まだ日は昇ってるわ。それに、考えがあるの。ついて来て、あまりいい方法ではないけれど」

 

 そのまま、彼女に言われるがままついて行くとこれまた一際大きな建物にたどり着いた。

 だが、ルフトズのクランハウスとは違う白い壁と金のかかってそうな看板ははこの建物の高貴さを感じさせた。

 

「冒険者ギルド本部よ」

「本部!?そうか、ラビリンスにあるんだ。じゃあ、ここで依頼とか受けれるんだね」

「うーん。まあ、そうね。大体迷宮に入る手続きが中心だから個人の依頼を受ける人間は少数だけど」

 

 確かに、個人の依頼は報酬を受け取られるが周囲に迷宮がたくさんあるならそっちに行った方がいいだろう。

 だからと言って、個人の依頼を軽視すべきではないのだが

 

 扉を開けようとしたとき、ついさっきの光景がフラッシュバックしたが気にせず僕はギルドに足を踏み入れた。

 

 

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