俺は、孤独だった。
生まれつき白い体のせいで、群れはおろか親からも迫害された。気味の悪いものを見るような視線に耐え切れなくて、すぐに群れを飛び出た。
生きるのに必死だった。美味いきのみはすぐに他のポケモンに取られるから、木の枝や葉っぱをかじって生き延びた。しかしそれで足りるわけがなかった。だから必死に、周囲のポケモンたちと戦った。
他のポケモンたちは、傷ついたらすぐに助けがきた。それがどうしても気に食わなかった。俺はひとりなのに、どうしてお前たちは。けれどそんなこと考えても腹の足しにはならないのでやめた。
やがて俺はその辺りでは誰にも負けないくらいには強くなった。でも孤独だった。いくらきのみを食べても、安全に寝ても満たされない。草むらから、人間たちを見た。小さな子供は、親に守られている。愛されている。
でも俺は?親も群れも、俺を気味悪がった。みんなが俺を見捨てた。
「おい、見ろよ!白いイーブイだ!」
「マジかよ……ゲーチス様に献上したらきっと喜んでいただける!」
ああ、また人間が面白半分で俺を傷つけに来たのか。いいだろう、返り討ちにしてやる。
けれど、すぐに大きなポケモンがやってきて、俺の意識は途絶えた。
なんだ、この感覚は。暖かい、柔らかい。それになんだかいい匂いもする。とても優しい……包み込まれている。ずっとここにいたい、幸せだ……
「あ、目ぇ覚ました!」
うっすらと目を開けると……そこには2つの山があった。いや、山にしては柔らかいような。フニフニしているし、それになんだか人間の声が……
「大丈夫か?」
「!!!!」
そう覗き込む人間の顔を見て、俺は心を射抜かれた。なんだこの優しい視線は。なんだこの明るい声は。
「いやあ、プラズマ団がなんか騒いでたからぶっ飛ばしたけど……あんなケガさせるなんて。もうポケモンセンターで回復してもらったからな。大丈夫だぞ」
「トウコさん、気絶したプラズマ団どもはどうしますか」
「捨て置け」
トウコ、トウコと言うのかこの人間は。初めて見る種類の人間だ、優しくて暖かくて……そうだ、俺はこれを求めていた。俺を慈しんでくれる、包んでくれる存在……ママを!!
「ぶい♡」
「んん?なんだかわいいなあ」
ああ、俺の体をゆらゆらしてくれている!!なんて幸せなんだ!!その視線、そしてこの2つの山!!この母性……なかなか見られるものではないぞ!!
「ばぶ、ぶい〜♡」
「ははは、いい子いい子」
できうる限り目をキラキラさせて、トウコママにアピールをする。イーブイという種族は人間から見てかわいいらしい。かわいい俺をもっと甘やかしてくれ!!
「………」
「………」
何やらヒヒダルマとあの人間からの冷たい視線を感じるがどうでもいい、今の俺はトウコママに夢中なのだ!!
「ぶい、ぶい」
「ん?おなか空いたのか。じゃあ……はい、モモンのみ食べるか?」
「ばぶ〜〜〜♡♡」
誰かにきのみを食べさせてもらうなんて初めてだ……なんだか今まで食べたどのきのみよりも美味しい気がする。
「はは、人懐っこいなあ。かわいいかわいい」
「…トウコさん、そのイーブイ」
「シャーッッ!!」
邪魔すんじゃねえクソゴリラ!!今俺はトウコママに満たされているんだっっ!!
「おお、怖かったねえ。お前の顔迫力あるんだから」
「……いやあの、はい」
「ばぶ、ばぶ〜〜♡」
「ん〜?もしかして一緒に行きたいの?」
「ぶいっ!!」
「はは、かわいい〜〜。じゃあお言葉に甘えて、ほいっと!」
トウコママがモンスターボールを俺に当てる。そのまま静かに、カチッと音が鳴るのを待った。これで俺は正真正銘トウコママのポケモンだ!!
「やった、イーブイゲットだぜ!」
「………」
「出ておいで、イーブイ」
「ぶい!ばぶ〜〜」
「はぁ〜かわいい。やっぱイーブイは可愛いねえ」
トウコママが俺にほっぺをスリスリしている!!ああ、柔らかい温かい幸せ!!決めたぞ、俺はこれから一生トウコママに甘やかしてもらうんだ!!
「……どう思います、トウヤさん」
「アウト」
「ですよね」
イーブイ♂(色違い)
特性:きけんよち
色違いかつ隠れ特性というとんでもねえイーブイ。特性のおかげで九死に一生を得てきた。トウコと出会いバブみに目覚める。
トウコ
なんかプラズマ団が騒いでたからヒヒダルマにボコらせた。バブみがあるらしい。