トウコにTS転生した俺と変態ヒヒダルマ   作:三笠みくら

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ベルちゃん救出大作戦

 

カノコタウンは小さな町だ。だから買い物や子供たちの遊び場は必然的に隣のカラクサタウンになるわけで。

 

カラクサタウンの子供たちとも俺たちは仲良く遊んでいたし、悪くない関係だったと思う。まあでも。

 

 

「やめて、返して!あたしの大切なぬいぐるみ!」

 

「ふーんだ!このチラーミィのぬいぐるみは今日からおれのだ!自分じゃ何にもできないくせに!」

 

「うぅ……」

 

 

ベルちゃんをいじめるなら話は別だがな??

 

事の発端はベルパパからの相談だった。最近ベルちゃんの様子がどうにもおかしいと。だがパパさんには話してくれないから、幼馴染である俺たちに聞き出して欲しいとのことだった。

 

実際最近のベルちゃんはあからさまに元気がなかった。好きなミルククッキーだってあんまり食べないし、おなじみのポケモンごっこだってやらなくなっていた。

 

そして俺たちが独自の調査をして発覚したのが、ベルちゃんがカラクサタウンの子供たちにいじめられている、ということだった。理由は不明だが、まぁベルちゃんがかわいいからとかそういう理由だろう。

 

 

「やーい、泣き虫ベル!弱虫ベル!なんとか言ってみろ!」

 

「う、うぅ……」

 

 

特にひどいのがボスのクソガキだ。あいつがベルちゃんをターゲットにし始めて、周囲の子供たちもベルちゃんをいじめるようになったらしい。しかもあいつの父親は強いポケモントレーナーらしく、あいつの側にはワルビルが居座っている。多分ボスになったのもワルビルのおかげだろう。

 

まぁ。

 

 

「やめろクソガキーーー!!」

 

「!? トウコ!?」

 

 

俺は突撃するけどね!!

 

 

「げっ、トウコじゃん!なんだよ、ベルを助けにきたのか?」

 

「お前、顔だけじゃなくて性格まで悪かったのかよ。そんなんだからモテねえんだよ」

 

「うるせー!!おれの父ちゃんはサイキョーなんだ、ワルビル、やっちまえ!」

 

「ヒヒダルマ!!」

 

「ごおおお!!」

 

「ひっ!?」

 

 

俺のボールから豪快にヒヒダルマが登場し、一気に悪ガキどもの威勢は失われた。まあそりゃそうだろう、まさかいきなりヒヒダルマが出てくるとは思うまい。ちなみに事前に打ち合わせをして、ヒヒダルマには獰猛なゴリラポケモンを演じてもらっている。流石に喋られたら困るんでね。

 

 

「ごおおお!!」

 

「う、うわあ!やめろ、やめて!!返す、返すから!!」

 

「ふん、最初っからこんなことすんなよな」

 

 

べちっ

 

俺は悪ガキの頭を軽く引っぱたいて、チラーミィのぬいぐるみを取り返した。乱暴に扱われたから多少くたびれてるけど、まあベルママの裁縫技術なら大丈夫だろ。

 

 

「はい、ベル。もう大丈夫だから」

 

「うぅ、トウコ……」

 

「おい」

 

「な、なんだよ……」

 

「なんでこんなことしたんだ、ベルに謝れ」

 

「お、俺は別に……」

 

「そうか、悪い子供は魂をほのおタイプのわざで焼いて良い子にさせるって聞いたことあるな。試してみようか?」

 

「ごお!!」

 

「ひいっ!!ご、ごめんなさい!!」

 

「わたしじゃなくてベルに謝れって言ってんだろ」

 

「ごめんなさい……」

 

「………」

 

「許さなくっていいぞ、ベル。こいつはやりすぎだからな」

 

「……なんで、あたしのこといじめたの?」

 

「え、それは……」

 

 

急に悪ガキがどもる。え、もしかしてあれか?かわいい子はいじめたくなるタイプか?イマドキそういうのいるのかよ。

 

 

「…ベルが、おれのことすごいって言わなかったから」

 

「はあ?」

 

「みんな、ワルビルを見たらすごいって言うのに、ベルは言わなかったから……ベルなら、すごいねって言ってくれると思ったのに……」

 

「……はぁー、幼稚すぎだろ」

 

「だって…ワルビルはきみのパパのポケモンでしょ?すごいのはきみのパパだもん」

 

 

まさに正論。悪ガキは顔を真っ赤にしてうつむいている。ベルちゃんはこういう正論をカワイイ顔して放つから良いんだよな。

 

 

「帰ろーぜ、ベル」

 

「うん……」

 

 

ベルちゃんの手を握って、カノコタウンに戻る。ベルちゃんは道中、ずっとうつむいて黙っていた。

 

 

「ねえ、トウコ…ありがとう、助けてくれて」

 

「ん?うん、当たり前じゃん」

 

「あたし……怖かったの。あの子にいじめられてから、カラクサタウンの子たちがみんなあたしのこといじめるようになって。だから……もしバレたら、トウコたちもあたしのこといじめるんじゃないかって……」

 

 

なるほど、要するに俺たちが同調圧力にやられると思ったんだな。まあでもいじめられたら実際そんな感じになるよなあ。だがその考えは気に食わん。俺はベルちゃんのほっぺをむにゅっと握った。

 

 

「ふにゅ!?トウコ、どうしたの?」

 

「あのなあベル。わたしたちはそんなことしない。だってベルのいいとこいっぱい知ってるから。優しいところ、歌が得意なところ、お菓子作りが得意なところとか……」

 

「わあ!やめて、恥ずかしいよお……」

 

「こんなにいい子なベルをいじめる訳ないじゃん。それにわたしたち友達だろ?」

 

「……うん!!えへへ、トウコ大好き!!」

 

「やめろよ〜、歩きにくいじゃん」

 

 

ベルちゃんが俺に抱きついてくる。ベルちゃんってなんというか……ホットケーキみたいな匂いするんだよな、甘くて優しくていい匂い。この匂い好きだな……

 

 

「でしたら私のことも大好きと言ってくださらないでしょうか!?」

 

「くたばれぃ!!」

 

 

ええい、この変態め!!せっかく任務遂行できたから褒めてやろうと思ってたのに!!

 

 

「えへへ、ヒヒダルマもありがと。大好きだよ!」

 

「ウッフフ、幼女からの感謝の言葉……これだけで数日間は生きられますな」

 

「そうか、じゃあメシ抜きでいいか?」

 

「ああ、冗談です!!」

 

「うふふ……トウコとヒヒダルマ、すっごく仲良しだねえ!」

 

 

仲良しなのだろうか?俺はこいつの変態性を人質に鎖に繋がれているとしか思えんのだが……

 




ちなみにボスの悪ガキはベルちゃんのことが好きでした

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