[悲報]虎杖成り代わり、縄文時代に立つ[言葉が分からん]   作:夕暮れの家

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「彩葉のお母さんに会ったことあるかって?」

 

 夕飯を食べた後、台所で並んで食器を洗いながら、かぐやは隣に立つ彼女よりも頭一つ分以上大きい同居人の唐突な質問に首を傾げた。いつも通り料理をするためにポニーテールにしてそのままになっていた彼女の長い髪の毛が頭の動きに合わせてふわりと揺れる。

 

「…アルヨ」

 

 複雑そうな顔で、目を逸らして。片言で発せられた返答に、今度は質問した方が首を傾げることとなった。

 

「何かあったのか?」

 

「あったというか、私がしたというか…」

 

 人差し指を突き合わせながら、既に逸らしていた顔を身体ごと、真反対の方向迄逸らして。怒られるのでは、とでも考えたのか、冷や汗迄流してどう説明したものかと言葉を探すかぐやの様子を見て、汚れを落とした皿から水を切っていた虎杖が笑う。

 

「やっちゃったか」

 

「うっ…。うん」

 

 ソファに座って会話に耳を澄ませていたヤチヨの方に虎杖が視線を向けるも、無言で首を振る。どうやら何も知らないようだ。

 

「私はねー、うん。かぐやよりも生々しい情報を沢山持ってるから…」

 

 その時は義体もなかったし、碌なことにならないと思って。とこちらも同じように目を逸らす。どうせなら一緒に言ってやればよかったんだ、とそれを見たかぐやがぶーたれる。

 

「反省してないな、さては」

 

「いやぁ、ソンナコトナイヨ?」

 

 そのやり取りを見ていた虎杖が喉の奥を鳴らしてくつくつ笑う。そんなことないと言いながらも、全く反省の色を見せないかぐやであった。結局問題起こすなら私も行けばよかったな、とその様子を見ていたヤチヨが人差し指を立てながら冗談めかして言う。

 

「でも、ヤチヨもスマホか何かから見てたらよかったのに。凄かったんだよ、主に私が」

 

「行く前にあれだけ彩葉に大人しくしてるようにって言われてなかったかにゃ~?」

 

「無理だね!彩葉だって多分分かってたし!だって怒られなかったっ!」

 

 腕を組んで誇らしげに胸を張って見せるかぐやの頭がこら、という声と共にぺしりと叩かれる。力は全く込められていなかったが、胸の前で組んでいた腕を頭に持っていって大袈裟に痛がって見せる。

 

「やっちゃったことは仕方ないが、それを自慢しちゃダメだ」

 

「うん、…ごめんなさい」

 

 しゅん、としてしまったかぐやの頭を偉いぞ、と撫でて。結局具体的にはどんなことがあったのか聞いていいのかと迷った末にヤチヨに視線を向けた虎杖が見たのは、知りたい知りたいと目を輝かせる自らの相棒の姿。

 

 心なしかソファから身を乗り出している。そんなに知りたいのか、と無言で首を傾げて見せると、こくこくと首を縦に振っての肯定の意が返ってくる。

 

「…結局なにをしたんだ?」

 

「…えっとね」

 

 視線をさ迷わせて、怒らない?と普段よりも体を縮こまらせて、上目遣いに聞く。それを見た虎杖は、結局悪いことをした自覚はあったんだな、と苦笑して。怒らないよ、ともう一度強めにぐりぐりとかぐやの頭を撫でた。

 

「だってね、酷いんだよ。彩葉の首席での卒業が決まった時に行ったの。それなのに、『少しはましになったかと思てたのに、甘ちゃんは治ってへんみたいね』だの、『まさか満足なんてしてへんよね、聞かせてもろた目標にはまだまだ届いてへんみたいやけど』とか、そんなことばっか言うからさぁ…」

 

 精一杯の物まねなのか、人差し指で眉間に皺を寄せながら京なまりの台詞を諳んじて見せるかぐやに、聞いている方も眉を顰める。当然だ。幼少時代から彩葉の相談をチャット越しとはいえ受けていたヤチヨと違って、彩葉からは話を聞いていても実際に掛けられる言葉を聞いたのは初めてなのだから。

 

 当時の彩葉の様子と合わせて、その心情は察するに余りある。自然と表情が険しくなりそうなのをこらえながら、続きを促した。

 

「彩葉があんまり気にしてなさそうだったから最初は我慢して聞いてたんだけどね。ホントだよっ?」

 

 信じて、我慢しようとしてたんだからね、と自分の腕をつかんで必死に言い募るかぐやの様子を見た虎杖は、僅かに表に出ていた表情の険を落として。分かってる分かってるほほ笑んだ。

 

「あんまりにもずぅっと続くから、思わず…」

 

「やっちゃったと」

 

「お菓子が入ってたお皿の中身ごと、『彩葉の何がわかるんじゃーっ!』って」

 

「おぉ…」

 

「やっちゃったねぇ」

 

 

 虎杖とヤチヨの二人がそれぞれに反応を返しながら、目線を斜め上に上げて当時のその場面を思い浮かべてみる。二人とも彩葉の母の姿は正確には知らないのでそこは想像だ。

 

 二人の頭の中では、机に片足をかけたかぐやが木皿を片手に持ちながらいきりたち、それを慌てた様子の彩葉が羽交い絞めにして止めている、と言った場面が鮮明に浮かび上がっていた。それはもうありありと。

 

「お菓子ごとって、…ぶつけたの?」

 

「ううん、ひっくり返しただけ。お菓子もなんかカラフルで小さい奴だったし」

 

 食べたことないやつ、美味しかったけど名前知らない、と少し落ち込んで見せて。すぐにがばっと起き上がって再起動を果たす。

 

「そっからはもー凄かったよ。何言ったか全然覚えてないけど。彩葉が私のこと止めようと慌ててたことと、彩葉のお母さんになんかじっと見られてたことは覚えてる!」

 

 そう言って胸を張って見せるかぐやに、先ほどまでの自分たちの想像が殆ど事実だったことを確信したヤチヨがこれでも控えめに想像したつもりなのになぁと自分の事ながらなんだか愉快になってしまって笑いをこらえきれなくなっている横で、虎杖は静かに腕を組んでかぐやの言葉を咀嚼しながら考え込んでいた。

 

「そっかぁ。彩葉のお母さん、どんな人だった?わたしは話したことはないから…」

 

 ヤチヨの質問に、かぐやが当時の記憶をたどるように斜め上を見上げる。軽く話してはいるが、彼女にしても進んで思い出したい記憶ではなかったらしい。思い出しただけでほんの少しだが苦いものを食べた時のように表情が変化している。

 

「えーとね、彩葉に似てたよ、でも似てなかった」

 

「?どういうこと?」

 

 

「かぐや」

 

 静かな声で自分の名前を呼ばれたことでかぐやの身体がびくりと跳ねる。恐る恐るという風にヤチヨから虎杖の方へと振り返ると、腕を組んだまま自分の事をじっと見ている虎杖の姿があった。

 

「終わった後、彩葉に何か言われたか?」

 

「え?えっとね、『ありがとう』って。『かぐやはいつも私の為に怒ってくれるね』って言って笑ってた。…食べ物粗末にしちゃダメって怒られもしたけど」

 

「そっか」

 

 もう一度、その内容を噛みしめるように目を閉じた虎杖を前に、当時のことを段々と鮮明に思い出し始めたかぐやも、その時の自分が何を考えていたのかを思い出して、視線を下に向ける。最初は我慢しようとしていた、というのは決して嘘ではない。誰よりも彩葉の事情と、そして本音も知る者として仲良くまではいかなくても多少良く思ってもらえたらくらいには、彼女も思っていたのだ。

 

「あんなに言われても、彩葉はずっとお母さんを嫌いになれないんだ」

 

「彩葉は『気にしない』って言うよ。本当に気にしてないんだと思う。でもさ、でも、さ」

 

 言葉を詰まらせる。それまでのかぐやは、母のことは彩葉が話してくれたことしか知らなかった。彩葉とそりが合わなかったことは知っていた。きついことを色々と言われたことも知っていた。彩葉がどれだけそれで思い詰めていたことも、知っていた。

 

 でも、彩葉と母の電話の内容も、気を使って聞いていなかったから。実際に会うまでは知らなかったから。その時のかぐやの胸中に渦巻いていた感情は、怒りよりも悲しみの方がずっと大きかった。

 

「だからって何言ってもいい訳じゃないよ。“気にしない”と“傷つかない”のは違うんだよ。気が付いてなくても、少しずつ傷はついてくの」

 

「私、彩葉がずっとお母さんに褒めて欲しかったこと、知ってる。今はそんなこと思ってないかもしれないけどさ」

 

「一言、一言だけ彩葉に向かって『偉いね』って言って欲しかったって思うのは、悪いことかな…」

 

 すん、と鼻を鳴らす。かぐやは本当はとっくに思い出していた。あの時、自分は彩葉がどれだけ凄いかを、言葉を尽くして伝えようとしたのだった。こんなに頑張ってるんだ。こんなに凄いんだって。だから、だから。

 

 一言だけで、いいからと。

 

 分からなかった。かぐやにはどうしても分からなかった。こんなに酷いことを言われるのに。顔を合わせる度に鋭い棘を指してくるのに。どうして嫌いになれないんだろう。10年前、彩葉が飲み込んで音にならなかった言葉が、今になって胸を刺す。かぐやには、母親がいないから。

 

 家族はいる。何よりも大切な人達がいる。どうあっても嫌いになどなれないと思う。でも、分からなかった。きっと、これからも分からないまま。

 

「彩葉は笑ってたんだろ?」

 

「…うん」

 

「それなら、かぐやのしたことは間違ってない」

 

 やり方はちょっとあれだけどな、と虎杖は冗談めかして笑う。それでも、口にしたことは間違いなく彼の本音。彩葉は母親と喧嘩をすることは出来ても、一方的に怒ることは出来ないから。今でも母は間違ったことはしない、という意識は消えていないから。

 

 かぐやのように、自分以上に怒ってくれる人の存在はかぐやの思っている以上に彩葉の救いになっている事だろう。

 

 大丈夫だ、と太鼓判を押してもらったことで少し楽になったのかほほ笑んで。そうしたら後悔よりも怒りの感情が上回ったのかぷりぷりと怒り出す。

 

「聞いてよ、二人とも!」

 

「うんうん」

 

「ヤチヨもちゃんと聞いて!酷いんだよ。なんかさ、おはぎかな?最初に出されたんだけどさ。お母さん一口食べて、「甘すぎるわ、これはあんたにお似合いやね」ってさぁ!!あんこだからそんなことあるわけないのにさぁ!」

 

 それが最初の一言だよ、信じられる⁉と再び荒ぶり始めるかぐやをどうどうとなだめながら。ヤチヨもなんだか腹が立ってきたな、とむっとした顔をする。

 

 当然だ、ヤチヨ程幼少期の彩葉がどれだけ苦しんでいたのかを知る人物はいないのだから。直接言葉を交わしたわけではない。それでも、画面越しに送られてくる文面からは彩葉の心の軋みがいつも聞こえてきていたから。

 

 叶うのならば、すぐにでも傍に行きたかった。一人は寂しいと泣く彩葉の手を握りたかった。

 

 でも、そのどれもヤチヨにとってはかなわぬ願いだったから。せめて自分のやっていることが少しでも彩葉の救いになればと居直りながらずっと過ごしていた。

 

 ヤチヨだって思うのだ。誰よりも分かっているヤチヨだからこそ思うのだ。自分たちでは代わりにはなれても、母親にはなれないから。それに、代わりになると言っても彩葉の中のその立ち位置の一番は、10年間の大遅刻だ。不甲斐ないことこの上ない。

 

「悠仁はもっと彩葉を甘やかすべきだとヤッチョは思うのです」

 

「もっと、と言ってもなぁ」

 

 そう言われた虎杖の視線が彩葉がいるであろう2階の方に向かう。それを見たヤチヨの表情も、少しむくれていたものから苦笑に変わった。

 

「まだかかりそうかな」

 

「そうだな」

 

 2人の視線の先には、固く閉じられた彩葉の自室のドアがある、数時間前からピクリとも動かないそれに、3人して気を使って触れないようにしていたのだ。

 

 起きてすぐは大丈夫だったのかにこにこしながら虎杖と会話していた彩葉であったが、昼を過ぎたあたりから記憶をなくしている間の自分の行動をようやく客観視してしまったのか羞恥心が凄い勢いで湧いてきてしまったらしい。自室から出てこなくなってしまったのだ。

 

「ふにゃふにゃだったからねぇ」

 

 ずぅっと虎杖の後ろについて回って、他に注意が向くと自覚があるのかは分からないが寂しそうな顔をして服の裾を引いて自分に視線を向けて欲しいと控えめに示す。

 

 最初こそ高校生の頃の状態に戻ってしまった彩葉を心配して構い倒そうとしていたかぐやとヤチヨの二人だが、そんな様子を見て二人にしてあげたほうがいいかな、と気を使った結果があれだった。ヤチヨは盛大に拗ねた。

 

 今度はそのことを思い出してしまった彩葉が羞恥にもだえる番という訳だ。世界に名だたる酒寄博士のアイデンティティクライシスである。

 

「やりすぎると毎回あぁなりそうなんだが」

 

「いい…んじゃないかな。薬だよ、薬」

 

 ヤチヨだけはなんとなく察していた。彩葉は虎杖に対して父親を重ねている節があることを。勿論それだけではないだろうが。いろんな感情が絡み合って良く分からないことになっているんだろうなぁと普段の様子を見ながらのほほんと考えている。

 

 自分の事はすっかり棚に上げていた。

 

「ねぇ、聞いてるっ⁉」

 

 そこで未だ怒り冷めやらずといった様子のかぐやがカットイン。今の今まで沸き上がる怒りを言葉にし続けていたようだ。

 

「最後にさぁ、『また来ぃや』ってお土産渡してきてさ。それが甘すぎるって嫌味に使った奴。もう何がしたいのか分かんないよっ」

 

「え?あれ以降行ってないよね」

 

「うん。どんな顔していいか分かんないし」

 

 彩葉はねー、年に一回くらいは会ってるけどねぇというかぐやに、ヤチヨが何かを思い出した、というように人差し指を立てて見せる。

 

「あ!でも彩葉が『次はいつ来てくれるん』って言われたって」

 

「う゛ぇー、もー行ーかーなーいー」

 

 そんなことを言われるという子と思ったよりも嫌われてないんだな、と意外そうに眼を見開く虎杖。そして、少し考え込んで首を傾げた。

 

「かぐや、彩葉の卒業が決まった時なら3月か?」

 

「え?えーとね。うん、そうだったよ」

 

「そうか…」

 

 それだけ言って腕を組む虎杖の様子を不思議に思ったのか、かぐやその肩をゆさりと揺らす。そもそもこの話を始めたのは虎杖の方だが、かぐやは知っていた。彩葉は未だ虎杖に対して母親に会って欲しいとは言い出せていないことを。

 

「悠仁、彩葉にお母さんに会って欲しいって言われてたっけ」

 

「いや、言われてないぞ」

 

「そうだよね?」

 

 ならなんでこんな話してるんだろ、と首を傾げると、その様子を見た虎杖が口元に手をあてて苦笑する。彩葉の言いたいことくらい自分にも分かるさ、と言っていた。

 

「いつかは必要だと思ってたしな。…かぐや、ヤチヨ」

 

「なに?」

 

「なにかなー?」

 

 急に自分たちの名前を呼ばれたことで、少し困惑しながらも返事を返す。呼んだ本人は、じっと二人の目を見て少し口ごもる。

 

「…本人がいないところで決めることではないと思うんだが」

 

「うん」

 

「二人は、お母さんに彩葉を褒めてあげて、欲しいか?」

 

 二人で顔を見合わせて、笑う。そんなことは決まっている。もしかしたら自分たちの自己満足なのかもしれない。でも、自分たちは。いつだって彩葉にとっての一番が何なのかを考えてしまってやまないのだ。

 

「「もちろん」」

 

「そうか、じゃあ」

 

 任せておけ、と胸を拳で叩く。二人からしたら無理無茶無謀、と三拍子そろっているようなことを簡単に引き受けてしまった様子を見ても、二人とも微塵も驚く様子は見せずに安心したように笑って見せた。

 

 

 

 

 

 

 夢を見ていた。夢の中の自分の視点は、とても低くて。そんな自分の手をとても大きい男の人の手が優しく引いてくれていた。辺りはとてもたくさんの人で溢れていて、どこからか特徴的なお囃子の音が響いてきている。

 

「彩葉、はぐれんようにな」

 

 つないだ手の先の主が優しい声でそう言う。そうだ、この人は。

 

「ほら、見てみぃ」

 

 その声と共に視点がぐいっと高くなる。見れば父の顔は自分のすぐ横にあって。いつも父が見ている高さから、指差す先にあるものが良く見えた。

 

「今日は宵々山やからなぁ、人も店も沢山や」

 

「わぁ…っ!」

 

 自分の意志とは関係なしに、口から声が漏れる。宵闇が差し込んでくる時間、出店の光が辺りを柔らかく照らし始めていて。いつも見ている場所がなんだかとてもきらきらした場所に見えて。

 

「お父さん、来年も一緒に行こな!約束な!」

 

「お友達といかんでえぇの?」

 

「お父さんがえぇの!」

 

 うれしいなぁ、と父の目の横に刻まれた笑い皺が深くなる。約束や、と結んだ指は互いの手の大きさの違いでとても不格好で。

 

「お母さんも来年はいけるとえぇなぁ」

 

「お母さんは忙しいお人やから。…でも、来年はお父さんがお母さんもつれてきたるからな」

 

「ほんまっ⁉」

 

 遠目に友人たちと連れ立って歩く兄の姿を認めて手を大きく振ってみる。横目にこちらに気が付いた兄は、小さくだが確かに手を振り返してくれて。笑ってしまった私を見ながら父も微笑んでいた。

 

「彩葉も大きくなったなぁ。来年はこうやって抱っこできひんかもしれんなぁ」

 

「…嫌や、ならもう大きくなりとうない」

 

「そうなったらお父さん泣いてまうかもしれんけど、遠慮せんと大きなりや??」

 

 嫌や、とそっぽを向く私に父は苦笑して。そうだ、その後は。来年の彩葉がどんな子になってるか、見るのが楽しみやと言って笑ったのだった。

 

 

 

 

 

 

「…うそつき」

 

 今さら囚われていないと思っていたのに。存外父との約束は胸の奥に刺さっていて。誰が悪い訳でもないのに、誰かを責めたくなってしまった。

 

 夢の中の景色とは似ても似つかない自室の様子をぐるりと首を回して眺めてみて。立ち上がると、父ほどではないけどあの時よりも高くなった普段の視点が戻ってくる。

 

 いつの間にか寝てしまっていたのだな、ともう遅いよー?と自分を呼ぶかぐやの声に返事をして、遅くなってしまった夕食を取りにドアを開けた。

 




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