[悲報]虎杖成り代わり、縄文時代に立つ[言葉が分からん]   作:夕暮れの家

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「おぉ…」

 

 入学式が終わり、母が帰ってしまった後。正真正銘アパートの部屋に一人きり。2人の人間がいたときは随分と狭く感じていた自らの城は、いくつかの家具が設置されているだけでいやにがらんとしていて。

 

 つい数時間前まではここに母に加えて更にもう一人、兄までもが来て騒がしい空間になっていたことなど信じられないほどに静かだった。

 

 兄もプロゲーマーとしての活動があってとても忙しいはずなのに。入学式に出られなくて悪かったという言葉とともにお土産まで持ってきてくれたのだ。それを見た母に色々言われてはいたが、それらすべてを柳に風とばかりに受け流していたのはさすがと言う他無い。

 

 先程まで囲んでいた丸テーブルを見る。自分の他に人がいたことなど全く読み取れないほどに片付けられていて、流石、と思わず笑ってしまった。

 

 人気のない玄関に立って、カーテンの開けられた窓から見える満月を見上げると、“あぁ、一人だな”という実感とともになぜだか何でもできるような気持ちになった。

 

 何をするのも自由で、何をするにも自分の責任となる。望むところだ、と口元に笑みを浮かべる。

 

 悠仁くんが私を呼んでくれた。初めて私にお願いをしてくれた。応えたかった、言葉にするだけで伸ばしてくれないその手を取ってあげたかった。

 

「悠仁くんは…」

 

 悠仁くんは、何で私にこっちに来てほしかったんやろ。それは考えても分からない。自信満々に、それは悠仁くんが私に会いたいと思ってくれているからだ、なんて言えたらどんなに簡単だろうか。

 

 あの時悠仁くんは私がいないと寂しい、なんて言ってくれたけど。きっとあの時の胸のうちはそれだけじゃない。それくらい、私にも分かっている。

 

 あの時の目は、私を見ているようでどこか違うところを見ていた。

 

 何でそんな顔をするんだろう。何度も見たことのある目だった。その度に私は悠仁くんがどこか遠いところに行ってしまうような気がして、怖くて。

 

 繋いだ手を離さないように握ってみたり、どうにかその瞳の中に自分がいることを確かめようとしてみたりしていた。

 

 だから、あの時。悠仁くんがお兄ちゃんについて東京に行ってしまうなんて聞いたときには、自分の心臓が嫌な跳ね方をした音を聞いた気がした。

 

 ここで譲ったら、二度と会えないような気がして。嫌な想像が止まらなくて。

 

 あの時と同じ、何も無いはずなのに喉の中程になにかが詰まって呼吸ができなくなるような、あの感覚。

 

 何も出来ないのは嫌で、それでもまだ子どもの私に出来ることなんて何も無くて。だから、積み重ねた約束に頼るしか無くて。

 

『私の入学式と卒業式には必ず出ること』

 

『一緒に幸せになること』

 

 他にも、沢山。そんな子どもが言い出した約束を盾に、私は私に沢山のものをくれた大人の男の人を縛ろうとしていた。

 

「…でも、それじゃ」

 

 それじゃダメだ。それでは私が一方的に悠仁くんを約束で雁字搦めにしているだけ。もしかしたら。もしかしたら、悠仁くんはそれでもいいよなんて笑ってくれるのかもしれないけど。

 

 もしかしたら、それで悠仁くんはどこにもいかなくなってくれるのかもしれないけど。

 

 ダメだ、それでは。そんなの、只の呪いだ。私は鎖の先を持って歩きたいのではなくて、手を取りたいんだ。

 

 私の手を、取ってほしいんだ。

 

 だから、嬉しかった。お願いしてくれた。私にも出来ることがあると教えてくれた。それが本当に私を頼ってのことではなかったとしても。

 

「…私だって、悠仁くんがいないと寂しい」

 

 頭を撫でてくれた。私の姿を瞳に入れると笑ってくれた。出来ることが増えると褒めてくれた。私が泣いたら根気よく最後まで話を聞いてくれた。いつだって、会いたいと思えばそこにいてくれた。

 

 私が助けて欲しいと手を伸ばした時、必ずその手を取ってくれたから。

 

 今度は、私が。

 

 手を伸ばして欲しい、何かあるなら助けてと言って欲しい。そんな、悲しそうな目をしないで欲しい。私が、悠仁くんの姿を見れば直ぐに安心できるように。

 

 私だって、あなたにとってのそんな場所になりたい。

 

「…そっか」

 

 ようやく分かった。あの時の母の言葉の意味。

 

『手を離したらあかん』だなんて。あの時の私は、悠仁くんや私の家族が私のことを置いて何処か遠くに行ってしまうだなんて考えもして無くて。

 

「そっかぁ」

 

 分かってなかった。本当は私はずっと前に知っているはずだったのに。見てみぬふりをしていた。小さい頃のことだからと言い訳をして、記憶に蓋をしていた。

 

「私は」

 

 今まで曖昧で手の内に収めることの出来なかったもやが形になる。ずっと胸のうちに確かにあったのに、言葉に出来ていなかったそれが初めて口に出来るような気がした。

 

「私は、悠仁くんの“大丈夫”になりたいんだ」

 

 声に出した途端、胸の中にすとんと収まった音がした。悠仁くんに結んでもらった髪の毛をするりと片手で解く。

 

 約束を交わしたときの重ねた手の温度も、結んだ指の感触も、今も私の手の中にある。消えたわけではない、約束したすべてがどうでも良くなったわけでもない。

 

 でも

 

『約束したやん…』

 

 今までのように約束を盾にとってわがままをいうのはやめよう。それでは私はいつまでも子どものままだ。

 

 隣を歩きたい。悠仁くんが躓いたときには、私が先に立って手を引きたい。私が今までずっとそうしてもらっていたように。

 

 同じものを見たい。悠仁くんが悲しそうな目をするなら、何を見ているのかを教えて欲しい。分け合えば、きっとすごく背負うものは軽くなるはずだから。

 

「だから…」

 

 だから、どうすれば良いんだろうか。道を示してくれる母も、優しく手を引いてくれる父もいない狭い部屋の中で、早速一人首を傾げた。

、早速一人首を傾げた。

 

 

 ふと、机の上に目をやってみる。そこには未だに目になじみのない、片手で持てそうなほどの大きさの黒いケースが鎮座していた。

 

 スマコンだ。昨日までは持ってなかったものが今は当たり前のようにそこにある。何故かと言うと、兄が置いていったものだ。「入学祝いだ」なんて言ってぽんと置いていくものだから反応するまでに少しの時間を擁してしまった。

 

 きっと実家にいた頃の兄ならばやらかしたことに対して母の拳骨が火を吹いていたのだろうが、今ではひらりひらりと躱すまでになっていた。

 

 恐る恐る持ち上げてみる。バイトでもう少し貯金が出来たら最初に買おうと思っていたものだ。それが思いもかけないタイミングで手に入ってしまったことでとても嬉しいのだが少し複雑な気分だ。

 

 いつ使おう、最初は何をしよう、などと手に持ちながら色々考えて。触り始めたら他が手につかなくなりそうだ、と断腸の思いで元の場所に戻した。

 

 寝る前にヤチヨの配信を見ようかな、と荷物の中にあるタブレットに手を伸ばしかけたところでふと思い至る。

 

 確か、ヤチヨの配信はツクヨミの中ならば大画面で見ることが出来るのではなかったか?と。

 

 一度思いついてしまったのならもう止まらない。そりゃあタブレットで見るのでもいいが、どうせなら大画面で見て楽しみたい。

 

 使い始めたら時間が溶けていきそうだな、とか。初めてログインするときは悠仁くんに案内してもらいたいな、とか色々考えていたけど。

 

 うーん、と腕を組んで首をひねる。悠仁くんに電話をしてみようか。でも迷惑かな、と一人で室内をうろうろと歩き回ってみても、考えは固まらなくて、時間だけが過ぎていく。

 

 ついさっきあんな決意を固めたばかりなのにこんな事で甘えても良いものか、と考える自分と、それとこれとは話が違う、つべこべ言わずに電話しろと考える二つの心が胸中でせめぎ合って火花を上げている。

 

 喉の奥からうめき声を上げながらスマホを手にとって戻して、と繰り返して。結局ヤチヨの配信開始時間が迫ってきたことに気がついて色々と諦めることを余儀なくされてしまった。

 

 それでも大画面で堪能するヤチヨの配信、という魅力的な言葉には逆らえなくて。

 

 恐る恐る、生まれて初めて自分の目の中に進んで異物を入れるという行為を敢行した。迫ってくる時間に焦りながら奮闘すること早数分。

 

 何度目かのチャレンジでようやく成功した事を喜びながら目の前の鏡に写った自分の姿を見る。

 

 目の輪郭をなぞるようにぼんやりと光の輪が私の黒目を囲んでいる。最近はでは外を歩いていてもたまに見かけるようになったもの。とは言え自分の姿でそれを見るのは感動もひとしおだ。

 

「すっご…、どうなってんだろうこれ」

 

 目に一度入れてしまえば違和感もほとんどない。コンタクトレンズでも何か目の中がゴロゴロするなんてよく聞く話なのに、それよりも目に入れたら悪そうなこれが全然違和感がないとはどういうことなのか。

 

 ぺたぺたと確かめるように顔を触ってみてから、一息ついて。よし、と気合を入れ直しながら目を閉じて、勢いをつけて開き直した。

 

 視界が裏返るように急速に変化して、そのままの勢いで頭から水面を突き破る。波しぶきが立ち上がり、大きな赤い鳥居が現れた。足元には果てしなく続く浅い湖が広がっている。

 

『太陽が沈み、夜がやってきます』

 

「や、ヤチヨ!?」

 

 きょろきょろと視線を忙しなくあちこちにやっていた私の前に厳かに月見ヤチヨが顕現する。

 

 そう言えば、ツクヨミのチュートリアルにはヤチヨがでてくる、というのは聞いたことはあるけど。こんなに急にでてくるなんて聞いていない。

 

 感動と驚きがないまぜになって言葉が上手くでてこず。思わず私の足が一歩後ろに下がる。そんな私を見たヤチヨは薄く微笑んでから、ぱたぱたと足元で水しぶきを上げながら此方に走って近づいてきた。

 

「えっ、えッ!?」

 

 困惑して更に一歩下がった私に対してそれ以上の歩数で距離を詰めたヤチヨが私の手を両手で握る。そしてにっこりと微笑んだ。

 

「仮想空間ツクヨミにようこそ、彩葉!」

 

「えっ、名前…?」

 

 何で知ってるのか、と思いかけたけどもそう言えばスマコンの個人認証のときに名前も入れたなぁと思い返す。まだツクヨミ内でのユーザーネームも決めてないし、だからなのかなと勝手に納得した。

 

「私は管理人の月見ヤチヨ、此方はFUSHI!」

 

 ぴょん、とヤチヨの肩に乗ったウミウシ型のマスコットのFUSHIが自分たちがツクヨミを作ったんだと胸を張る。存じています、と頷いていると、唐突にまだ握られたままだった手を胸の辺りまで持ち上げられた。

 

「ねぇ、彩葉はこのツクヨミで何がしたい?」

 

「ぇ、あ、あの。ヤチヨの配信が見たい、です…」

 

 あとライブも、としどろもどろになりながら返事をする。自分で言って気がついたが、これからはチケットに当たりさえすればツクヨミ内で行われるヤチヨのライブに参加できるのか。

 

「そっか、じゃあそんな君にプレゼント!」

 

 ぽん、と軽い音がして私の目の前に一枚の紙が現れる。ひらひらと舞うそれは、未だ握られたままの私の手に触れるとポリゴンの粒子を残して吸い込まれるように消えていった。

 

「明日あるミニライブのチケットだよ、特別にあげちゃうのです」

 

「えぇ!?」

 

 目の前に表示されたウインドウを食い入るように見やる。そこには確かに月見ヤチヨミニライブ観覧チケット、と書かれていて。信じられない出来事の連続に目を白黒させていると、そんな私を見たヤチヨがほんのり笑った。

 

「ずっと応援してくれてたよね、知ってるよ」

 

「だから特別なのですっ!他の人に言っちゃダメだよ〜?」

 

 こくこくと頷いて。その後は促されるままにキャラメイクをして、気がついたらツクヨミの始まりの門の前にぽけっと口を間抜けに開けながら立っていた。目の前のウインドウに踊るチケットの文字だけが、先程の出来事が夢ではなかったことを教えてくれている。

 

 推しに名前を呼ばれて、手を握られて、おまけにずっと応援していた事をちゃんと知ってくれていて、プレゼントまでもらって。チュートリアルとして全員に同じ事をやっているとはいえ、私にとってはあまりにも刺激が強すぎた。

 

「夢…、じゃ、ない」

 

 手を伸ばして現実で自分の頬をつねって。痛みを感じるのに全く夢から覚める気配がないことでここが現実であることを確かめる。身体は確かな満足感に包まれており、今日はもういいかな…なんて思ってしまうけど。

 

 最初にログインしようとした目的を忘れてはいけない。もうすぐ配信が始まる時刻になってしまう。遅れないように、とスクリーンが投影される場所を探して足を一歩踏み出した。

 

 

 

『それでね〜、ヤチヨは最近ドジョウ掬いを練習してるんだー。すっごく面白い踊りだから紹介するねー。あ、それっ♪あ、よいしょっ♪』

 

 広場のような場所にあるモニターの前に陣取って。私は今絶賛ヤチヨの配信を堪能中である。

 

 手元にキーボードを出してコメントも打てるし、画面は大きいし。これからはこっちで見ようかなぁなんて思いながら笑っていると、ヤチヨがある一つのコメントを拾ってみせた。

 

『「お兄さんはいつ配信に出られるんですか?」う〜ん。ヤッチョにお兄さんはいないよ〜?』

 

『でもねぇ、とっても大事な家族はいるから。いつか皆に紹介できたらいいなぁ』

 

 その話題は直ぐに流れて他の話題に移り変わってしまったけど、嫌に印象に残って。配信が終わった後、モニターの周りに集まっていた人がはけてしまった後もその場に一人残って考え込んでいた。

 

 ヤチヨの家族。明言されていないまでも、断片的な情報をつなぎ合わせてなんとなくの姿は浮かび上がって来ているその人のこと。

 

 情報を零すだけ零して一向に配信には現れないその人は、聞けば聞くほどに悠仁くんに似ていて。

 

 そんな訳ない、と思いつつも考えてしまう。

 

 思えば悠仁くんは自分の家族の事を話してくれたことが無い。私から踏み込んだことも、ほとんど無い。表情は変わらなくても悠仁くんの目が何処か遠いところに焦点を合わせて、透明になってしまうのが嫌だったから。

 

 そう言えば最近でも、悠仁くんがそんな目をしたことがあったな。あれは髪の毛の色の話をしていたときだったか。

 

 ヤチヨと同じ、綺麗な白髪。ヤチヨ、と同じ。

 

 やっぱり、と考えを巡らせる私の思考を断ち切るように、何処かで聞いたことのあるような声が耳に入ってきた。

 

「あの、困りますっ!」

 

 見ると、しかの角を生やしたアバターの女の子が配信用のカメラだろうか、宙に浮いた球体状のそれにちょっかいをかけられて困り顔をしているところだった。

 

 カメラ自体につついてみたり、レンズらしきものの前に割り込んでピースをしてみたり。随分とあからさまな迷惑行為だ。止めなきゃ、と一歩踏み出そうとして。

 

 一度思い直した。確かツクヨミ内ではSENGOKUで使うような武器が使えるんだったな、と。手早くログインボーナスでもらったふじゅ〜を突っ込んで目当てのものを購入。

 

 そして、手首のスナップを効かせて手の内に出現したそれを投げはなった。

 

 ひゅ、と空気を切る音と共に私の手から放たれたワイヤーは狙い違わず配信者と思われる女の子の手の届かないようにブロックされていた球体状のカメラに巻き付いて、私の元に引き寄せてみせた。

 

「走って」

 

「えっ、…え?」

 

 自分に向けて飛んでくるそれをキャッチしながら走り出して女の子の手を取って。そのまま他の人が我に返る前に、とその場を離脱した。

 

 

 

「ごめんなさい、手荒に扱ってしまって…。大丈夫?壊れてない?」

 

「う、うん。大丈夫だと思い、ます」

 

 配信、映っちゃったかなぁとか、台無しにしちゃってないかなぁとか色々考えながらも表情には出さないように気をつけて。

 

 配信止めますね、と言ってカメラを止めた女の子のアバターをもう一度ちゃんと見直してみる。高い背丈、頭から生えた二本の角。そして腰よりも下まで伸びた編まれた長い髪の毛。そしてどこか聞き覚えのある声。

 

 …待て。

 

「あの、本当にありがとうございます。助かりました。…お礼、させてもらっても」

 

「芦花?」

 

「え?はい、ROKAですが…。私のこと知ってるんですか?」

 

「そりゃそうでしょ、何言ってるの」

 

 なんだか会話が噛み合っていない気がして、二人して首を傾げる。芦花だって言ってるのに、おんなじ名前なだけの違う人なのかな、と少し不安になり始めた時。怪訝そうな顔しながら私のアバターをしげしげと見ていた芦花が大層驚いたような表情を浮かべた。

 

「えっ、もしかして。…彩葉?」

 

「うん」

 

 よかった。大丈夫だった?そう聞くと、芦花は何度か言葉に詰まった後にうん、と言って笑ってくれた。

 

 

 

 

 

 綺麗な娘だな、と思ったんだ。入学式で皆の前に立って堂々と挨拶をしてみせた人は、私よりも頭一つほど小さな女の子で。

 

 その時の姿から、勝手にいつも凛と立っているクールな人なのかな、と思っていたけど。

 

『ほんとっ?』

 

 目元が似てるね、だなんてたった一言で心から嬉しそうに瞳を輝かせて。そこで私は自分が抱いていた印象が全くの間違いだったことを悟った。

 

 確かに綺麗な女の子だ。立ち姿が綺麗で、新入生代表なんだからきっと勉強も出来て、大勢の前で堂々と胸を張れるその姿はかっこよくて。

 

 でも、それ以上に笑顔がとても可愛い私と同い年の少女だった。友達になれるかな、もっと仲良くなれたらあの男の人のことだってもっと詳しく聞けるかな、とか。

 

 一番に話を聞けて、相談相手になれたりしたら楽しいかな、なんて思っていた。

 

 

 

 いた、のに。

 

 

 

『走って』

 

 私の手を引いてくれた時の横顔は凛々しくて。私と分かってなかったなら助ける理由も、メリットも無いはずなのに迷わず間に入ってくれたその心根は眩しくて。

 

 見惚れてしまった。泣きそうなほどに、綺麗だったから。

 

 胸の奥の、大事に抱えていた蝋燭に静かに、しかし確かに火が灯った音を聞いた気がした。

 

 

「どうしてだろうな…」

 

 なんであなたなんだろ、とツクヨミの空に浮かんだ偽の月を仰いでそう零した。




 ヤチヨの話し方というのは本編と比べても随分意識しているところです。ヤチヨの情報お漏らしや行動についての理由は…。まぁ最終盤あたりで分かるんじゃないですかね。

 多分あと2.3話で原作に入れると思います。整理しなきゃいけない部分が後いくつかあるので。気がついたら原作前の文章量が本編よりも此方のほうが既に長いんです。どういうことですか。

ifの扱い

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  • 普通の後日談も交えつつ書く
  • 書かんでいいから後日談だけ書く
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