緋弾のアリア 猟犬たちの幻肢   作:Alcatraz:アルカトラズ

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第2話始まります。
今回はオリキャラが二人ほど登場します。

本編どうぞ


第2話 東京武偵校

 

「…ここか」

 

朝の一悶着から難を逃れた俺は、武偵校のとある部屋のドアをノックする。

 

コンコンコンッ

 

「どうぞー」

「失礼します」

 

ドアを開けて一礼してから中に入る。

正直、部屋に入るだけでここまで緊張する場面はそうそうない。

 

ここは武偵校三大危険地帯が一つ『教務科(マスターズ)』。

武偵校が誇る教師たち(バケモンども)の巣窟。

好きで行きたい場所では無いんだが、今の俺は転入生である都合上、必ず寄らなければならなかった。

 

「今朝は大変でしたね?転入初日だったのに…」

 

中に入って最初に出迎えてくれたのは、いかにも優しそうな先生である、高天原(たかまがはら)ゆとり先生。

探偵科(インケスタ)の教諭で、この学校の良心とも言える人のことだ。

 

が、この穏和で優しそうな雰囲気とは裏腹に、現役時代は『血塗れの(ブラッディ)ゆとり』と呼ばれた凄腕の傭兵だったそうだ。

つまりは怒らせてはいけない人物ということ。

 

「転入早々にトラブルとは…恐れ入るな、真」

「無事で何よりだぜ、ジョニー」

 

と、そんな中で俺に掛けられる声が二人分。

そちらの方へ振り向くと、二人の男子生徒が俺を見ていた。

 

「颯馬、蓮希…」

「よう、間に合ったようだな」

「間に合っただぁ?お前らが空港で置いてきぼりにしたから遅れてトラブルに巻き込まれたんだろうが」

 

俺を"真"と呼んだ方が通信科(コネクト)の"高杉(たかすぎ)颯馬(そうま)"。

"ジョニー"と呼んだ方は装備科(アムド)の"坂本(さかもと)蓮希(れんき)"だ。

 

二人ともニューヨーク武偵局での俺のチームメイトで、主に後方支援の役割を担ってくれていた。

 

「そろそろ始業だ。挨拶もそこそこにしておこう」

「じゃあな。また後で会おうぜ、ジョニー」

「あぁ、後でな」

 

一通り会話を重ねたところで、ゆとり先生の元に戻る。

 

「すいません。お待たせしました」

「じゃあ香坂くんも来たことだし、行きましょうか神崎さん」

「今朝ぶりね〜…ジャック〜?」

「うげっ」

 

な、なんでここにアリアが!?

まさかアリアも転入組ってことか!?

表情こそ笑顔だが、雰囲気は全然笑ってない。寧ろ怒ってる。コワイ!

 

「二人とも仲良しねぇ。もしかしてこ「知り合いです。幼い頃からの」あら、そうなの」

「えぇ、そうです」

 

ゆとり先生の勘違いをすぐに否定して、会話をさっさと打ち切る。

アリアが爆発寸前だからこういう話題を振るのはやめて欲しい。

最悪眉間の風通しが良くなってしまう。

 

「あなたたちのクラスはこの2-A組よ。私が担任だからよろしくね」

「よろしくお願いします」

「……よろしく」

「それじゃあ、中に入りましょうか」

 

先生と共に、俺とアリアの二人で教室に入る。

それまでワイワイガヤガヤと盛り上がっていた教室内はその瞬間、シーンと静かになった。

転校生自体は珍しいものではないが、二人が同じクラスというのは珍しいから無理もないだろう。

 

教壇のすぐ横に立つと、後ろの方の席に遠山武偵もといキンジが座っているのが見えた。

どうやら彼も同じクラスだったようだ。

 

「女の子の方は皆さんの知っての通り、三学期から転校してきた、神崎・H・アリアさん。男の子の方は今学期から入学することになった香坂 真くんです。皆さん仲良くしましょう」

「「「はーい」」」

 

おいおい、どこのジュニアスクールだよここは。

あながち、()()()()()()()()という表現も間違っていないようだ。

 

武偵校では専門的な事を学ぶが、一般教科(ノルマーレ)も一応はある。

しかし、必要最低限ということで偏差値はかなり低く、普通の高校なら定員割れする程だ。

 

「先生、アタシアイツの隣に座りたい。ジャックもアタシの隣よ」

 

アリアは俺に赤紫色(カメリア)の瞳を向けながらそんなことを言った。

その言葉にクラス内からは一瞬音が消え、それから一斉にどよめきだした。

というか、俺の意見とかは聞かないで決定事項なのかよ。

 

「な、なんでだよ……」

「よ、よかったなキンジ!なんだか分からんがお前にも春が来たようだぞ!先生!俺、転校生さんと席代わりますよ!」

「お、俺も香坂と代わります!」

 

絞り出すように呟くキンジを他所に、二人の男子が席を立つ。

一人は立ち上がるとかなり大柄で高身長なのが目に付いた。

先生も先生で「最近の女子高生は積極的ねぇ」などと宣っている。

 

「キンジ、これさっきのベルト。ジャックのネクタイは後で返すわ」

 

そう言うと、アリアはキンジの机にベルトを放り投げた。

見てみるとアリアのスカートのホックが壊れていない。

恐らく予備だろう。

 

「理子分かった!分かっちゃった!これ、フラグバッキバキに立ってるよ!」

 

席につくと、キンジを挟んでアリアの反対側、俺の右斜め前に座っている女の子がガタッと勢いよく立ち上がった。

身長はアリアと同じくらいで金色の髪をツーサイドアップで結んでいる。

 

だがアリアと違って体型…スタイルがいい。

出るところが出ていて男受けが良さそうな見た目だ。

制服もあれは改造制服だな。ロリータ系のフリルがたくさん着いた制服だ。

 

「キーくんはベルトしてないし"シーくん"はネクタイしてない!そしてその二つをツインテールさんが持ってた!これ謎でしょ謎でしょ!?でも"理子"には推理できた!できちゃった!」

 

推測するに、「キーくん」はキンジの、「シーくん」は俺のあだ名だろう。

また一つあだ名が増えたが、これまた可愛らしい名前をつけられてしまったものだ。

 

「キーくんはベルトを、シーくんはネクタイを彼女の前で取るような何らかの行為をした!そしてそれらを彼女の部屋に忘れてきた!つまり三人は少し、いやだいぶアブノーマルな恋愛の真っ最中なんだよ!」

 

その一言に教室中が沸き立つ。

 

いいですか皆さん。

これは名推理ではなく迷推理です。

まったくもって見当違いな推理だ。普通ならこんな推理を信じる奴はいないだろうが……

 

「キ、キンジがこんなカワイイ子といつの間に!?」

「影の薄いヤツだと思ってたのに!」

「転校初日からそんなこと……」

「ニューヨーカーって大胆だ……」

 

ここは武偵校。

お世辞にも頭が良いとは言えない出来だ。

こんな迷推理ですらこんなに湧き立つ…先が思いやられる…。

 

「お、お前らなぁ……」

 

キンジが頭を抱え、机に突っ伏した時──

 

パァパァンッ!!

 

と鳴り響いた二連発の銃声が、クラスを一気に凍り付かせた。

 

横を見ると顔を真っ赤にしたアリア。

そしてその両手には銃口から硝煙をあげる二丁のM1911が握られている。

つまり抜きざまに二丁の銃を撃ったということだ。

 

「れ、恋愛だなんてくだらない!」

 

ちなみに武偵校では校内で発砲してもとくに咎められたりだとか文句を言われたりはしない。

ここは銃や刀剣の携帯を必須としている学校。

生徒同士のトラブルが銃撃戦であるということも少なくはない。

 

……まぁ、自己紹介で発砲するやつなんて前代未聞だろうが。

 

「全員覚えておきなさい!そういうバカな事を言うやつには───」

 

この時のアリアの台詞は、後に学校中の流行語になった一言だった。

 

 

 

 

 

 

「───風穴開けるわよ!!」

 

 





以上、第2話でした。
次回は真とアリアの関係と真の新たな銃というかメインアームが登場します。

では、また次回。
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