緋弾のアリア 猟犬たちの幻肢   作:Alcatraz:アルカトラズ

4 / 5

第4話です。
前回、真が受け取った弾がホローポイント弾だと書きましたが正確にはJHP、ジャケテッドホローポイント弾です。
それと後書きの銃解説でRMRドットサイトを間違えてAimpoint製と書きましたがTrijicon製の誤りでした。誠にごめんなさい。
では始まります。


第4話 星伽 白雪

 

 

夕飯の支度の為に冷蔵庫を開ける。

 

ぱかっ

Surprise Motherf●cker……

ぱたん……

 

びっくりした。

中には水が二本……冷蔵庫としての尊厳を辛うじて保てている状態だ。

 

「キンジ…」

「な、なんだ?」

「お前いつもは何食ってんだよ…?」

「下のコンビニの…弁当……」

「……」

 

男子高校生らしいと言えばらしいが健全な食生活とは言い難い。

今日のところは仕方ない。

 

「アリア」

「…なに?」

「夕飯を作ると言ったな」

「えぇそうね。作るんでしょ?」

「あれは嘘だ」

「……」

 

アリアの鋭い眼光が俺に突き刺さる。

だってしょうがないじゃん!こんなに何も無いなんて思いもしなかったんだもん!だからそんな目で俺を見るんじゃない!

 

「明日の朝からなんか作ってやるから、今日はコンビニで買うので我慢してくれ」

「はぁ…分かったわ。せっかくジャックの手料理が食べられると思ったのに…残念ね……」

「つってもそんな上等なもんは作れねぇよ。キンジの分も買ってこようか?」

「いや、俺も行くよ」

 

三人ともそれぞれの財布を手に、寮の下にあるコンビニに向かった。

 

 

 

 

 

数分後。

コンビニで買い物を済ませた俺たちは三人でテーブルを囲んでいた。

俺の隣にアリア、正面にキンジという配置。

 

キンジはハンバーグ弁当、アリアは好物のももまん(売ってるのが驚きだ)、俺はホットドッグにザワークラウトを乗せて*1食っている。

 

ついでに俺は明日の朝食の材料を色々と買っておいた。

 

「で、強襲科(アサルト)に戻れってどういうことだよ?言っておくが、俺はあそこがイヤでこの学校で1番マトモな探偵科(インケスタ)に転科したんだ。あんなトチ狂った所に戻るなんて絶対にムリだ」

 

話題が先程のドレイ宣言の時のものに戻る。

ここまで言うということは余程イヤなんだろうな。

さっきも武偵自体をやめるつもりとも言ってたし。

 

「アタシには嫌いは言葉が三つあるわ」

「おい聞けよ」

「『ムリ』、『疲れた』、『面倒くさい』。この3つは、人間の持つ無限の可能性を自ら押し留める良くない言葉。アタシの前では二度と使わないこと。いいわね?」

 

懐かしいセリフだな。俺も初めて会った時同じこと言われたな。

 

「良くない、そもそもなんで俺なんだ。真がいるじゃないか」

「太陽はなんで昇る?月はなぜ輝く?キンジは質問ばっかりの子供みたい。仮にも武偵なんだから少しは自分で推理しなさいよ」

 

言っていることは武偵として正しい。

とはいえ、何故アリアが日本に来たのか、何故俺やキンジと共にパーティーを組もうとしているのか……。

アリアの目的を推理しようにも今は情報が足りない。

 

「なんだよそれ……とにかく今日は帰ってくれ」

「まあ、そのうちね」

「そのうちっていつだよ?」

「さっき言ったでしょ。キンジが強襲科(アサルト)に戻ってアタシのパーティーに入るって言うまで。じゃ、アタシお風呂入って来るから」

 

そう言うとアリアは着替えを持って風呂場まで行った。

 

「お、おい!まだ話は──」

「諦めろキンジ。こうなったらもうテコでも動かねぇ」

「諦めろって……お前はいいかもしれないが──」

 

ピン、ポーン…

 

「!」

 

突然聞こえてきた慎ましやかなチャイムに、キンジが肩をビクッと震わせる。

 

「知り合いかなんかか?」

「まずいぞ真!星伽白雪…俺の幼なじみなんだが、あいつにアリアが見つかったらぶっ殺される!なぜか俺の周りの女子はみんなあいつにボッコボコにされてきたんだ!」

 

だいぶ暴力的ではあるがきっとそれは嫉妬からだろう。

にしてもホトギシラユキ……この学校の生徒会長の名前がたしかそんなだったような……。

 

「まずはアリアをどうにかしないと……っ!?」

 

その時、キンジがテーブルに足を引っ掛けてガタッと音を立ててしまった。

 

「おいおい大丈夫かよ?」

「……だ、大丈夫だ」

「だがどうする?音で居ることが気づかれたぞ。居留守は使えない」

「どうするって言っても……」

「…よし、俺はアリアをなんとかするから、キンジはホトギシラユキの対応を頼む」

「大丈夫なのか?」

「なんとかやるさ」

 

そう言い俺は浴室へ、キンジは玄関へと向かう。

 

「キ、キンちゃんどうしたの?大丈夫?」

「あ、あぁ大丈夫。すぐ開ける」

 

キンジと目配せし、それぞれ持ち場につく。

俺が脱衣所に入ったところで玄関ドアの開く音が聞こえてきた。

あとはアリアに対処しつつタイミングを見計らってここから出るだけだ。

 

ガララッ

 

俺がそう思っていた時……浴室からアリアが出てきた。

アリアの赤紫(カメリア)色の瞳と俺の青い瞳が見つめ合う。

最初こそポカンとしていたアリアだが、段々と顔を真っ赤にし……

 

「〜〜~っ!!」

「っ!」

 

悲鳴をあげようとするアリアの背後に回り、口と暴れないように腕を体ごと抑える。

その結果、裸のアリアを後ろから抱きしめるというかなり危ない絵面になってしまった。

 

アリアはその状態を理解して何とかして離れようとするが、今離れられたら二人の危険が危なくなるので、何とかして押さえつける。

 

「訳は後で話すが、今は危険な状況だから声を出さないでくれ」

 

外に声が聞こえないようにアリアの耳元で囁く。

心做しか喋る度にアリアが身悶えしているように見えたが気の所為だろう。

 

《ワカッタ、ダカラ、ハナシテ》

 

とアリアが指信号(タッピング)で返して来たので、俺はアリアを見ないように離した。

するとアリアは素早く浴室の中に戻ってドアを閉めた。

あー、どうしよう。後でぶっ殺されるだろうな、コレ。

 

「…ねぇキンちゃん…私に何か隠し事してない?」

「か、隠し事?ない!ないない!隠してることなんて一切ないから!」

「…そう。少し上がらせてもらうね」

「お、おい白雪!」

 

まずい…気配がこっちに近づいてきてる……!

とりあえず一旦脱衣所から出てキンジに加勢しよう。

 

「ふぅ…上がったぞキンジ……って君は生徒会長のホトギさん…だったかな?」

「は、はい…!生徒会長の星伽 (ほとぎ)白雪(しらゆき)ですっ……あなたは…?」

「申し遅れました、ニューヨークから転校してきた香坂 真です。今日からキンジと同室になったんで、よろしく」

「こ、こちらこそキンちゃんをよろしくお願いします!」

 

こちらに向けてぺこりと頭を下げるホトギさん。

…というか、なんで巫女服着てるの?

 

「そういえば、キンジをあだ名で呼んでたようだけど。二人は近しい間柄なのかな?恋人だったり?」

「こっこここ、恋人だなんてそんな…私なんかには恐れ多い……」

「恋人じゃない。幼なじみだ」

「あ〜」

 

なるほど幼なじみか。俺とアリアみたいだな。

 

「あ、そうだ。これたけのこご飯だから良かったら二人で食べて。男の子二人だと少ないかもしれないけど」

「わざわざありがとう。今日はもう夕飯食べちゃったから、明日の朝にでも頂くよ」

「あ、ありがとうな」

「じゃあ、明日から恐山に合宿で早く出る必要があるからもう帰るね」

「あぁ、それじゃあ」

 

白雪さんはさわやかな笑顔を作ると、身を翻して去っていった。

直後にキンジがさっさとドアを閉める。

さて、第一の修羅場は去ったが、この後は第二の修羅場が待っている。憂鬱だ……

 

「アリア……もう出てきて良いぞ」

 

とりあえず浴室にいるアリアに声を掛ける。

俺の声が聞こえたようで、浴室から脱衣所に移動する音が聞こえてきた。

 

 

 

 

「アリア、その……本当に申し訳ない」

 

少し経ってから、パジャマ姿でリビングにやってきたアリアに向けて頭を下げて謝罪する。

 

事情があったとは言えど、俺がやったのは年頃の少女を辱める行為だ。

到底許されることではない。

 

「別に…怒ってないしいいわよ…」

「え…?」

 

何だって?別に良い……?どうして?

 

「事情があったんでしょ?ジャックが理由なしにあんなことをする奴じゃないって分かってるから」

「あ、ありがとう」

 

女神か?あんな事をしでかした俺を許してくださるなんて……。

てっきり、だがコイツ(M1911)が許すかな!ってなると思ってた。

 

「でも、次からはあんなことしないでよね?ア、アタシだって恥ずかしいんだから……」

「あ、あぁ」

 

頬を紅くしてはにかむアリアの姿に俺は少し見惚れてしまっていた。

 

 

 

 

その夜、アリアによって部屋が要塞化されたのはまた別のお話。

*1
これが結構合う




以上、第4話でした。
個人的にホットドッグにはチーズよりもザワークラウト派です。
ちなみにしばらくの料理担当は真なのですが、基本的にアメリカ料理中心になります。

次回は真のスペックを一部公開です。
では、また次回。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。