続きは脹相転生inキヴォトスが行き詰まったら出すつもりです。
今回はほぼ陰実原作と変わらないかも……?
きっかけが何だったかはあまり覚えていない。ただ、物心がついたときにはもう僕は『陰の実力者』に憧れていた。
主人公でもラスボスでもなく、物語に陰ながら介入して実力を見せつける存在。
僕はそういう陰の実力者の姿に憧れ、そんな風になりたいと思った。
出来ることは何でもやった。普段の学校生活では人畜無害なモブAを演じつつも、その裏では肉体を鍛え、精神を鍛えた。
また、空手やボクシング、剣道、総合格闘技といった強くなるために必要なものは全力で習得した。
だが、時が経つにつれて不安が押し寄せてきた。そう、現実と向き合う時が来たのだ。
こんな事をしていても、無駄なのだ。巷に溢れている格闘技をいくら習得したとしても、物語の世界の陰の実力者のような、圧倒的な力を手に入れることは出来ない。
仮に世界最強の格闘家になったとしても、完全武装の軍人に囲まれたら勝ち目はない。
いや、もしかしたらなんとかなるかもしれない……だが、仮に軍人を倒せたとしても、頭上に核が落ちてくれば蒸発する、それが人間の限界なのだ。
これだけは断言できる。僕が憧れた陰の実力者は核で蒸発することはないのだ。だから僕も、核で蒸発することのない人間にならなければならない。
そのために僕が目を付けたのは、魔力や気力、オーラといった、現代の科学では発見されていないエネルギーだ。それこそが、僕が現実と向き合った末にたどり着いた答えなのだ。
だが、それからの修行は困難を極めた。魔力、マナ、気、オーラといったものを習得する方法なんて誰も知らないのである。
それを得るために僕は今、山に籠って大木に頭を打ち付けている。それによって物理的に雑念を排除し、脳に刺激を与えることで未知なる力の覚醒を促しているのだ。
まるで脳震盪でも起こしたかのように視界がぼやける。
――その時、目と鼻の先に揺れる光を見つけた。
「魔力……?」
僕は足元がおぼつかないながらも、光の方へと歩み寄っていく。
「魔力魔力魔力魔力魔力魔力魔力魔力!!!」
気づけば歩みは駆け足になり、光のようなものが徐々に強まっていく。ついに、僕は魔力をとらえたのかもしれない……!!
ついにその光をとらえたと思った瞬間、僕はトラックにはねられて死亡した。
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こうして、僕の陰の実力者への道は唐突に断たれたかのように思われた。だが――
「はっはっは!!クレアは弟を欲しがっていたからなあ、きっと喜ぶぞ!!」
目が覚めると、大きな男性と女性の顔が僕を覗き込んでいた。
「でも、変ね。全然泣かないわ……」
(なるほど……)
「……おぎゃぁぁぁあ!!」
「おお、元気な鳴き声だ!!」
「気のせいだったみたいね……」
どうやら、転生をしたようだった。取り敢えず、今の僕は生まれたばかりの男児。意識がはっきりしたばかりだし、時間の間隔もあいまいでよく分からない。
周りには父と母と姉?と使用人?の姿が見えた。
そして何より、嬉しいことに僕はついに魔力を得たのだ。その結果だけが全てであり、そこまでの過程はどうでもいい。
前世での修業は無駄ではなかったのだ。この力があれば……!!
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恐らく、10年くらい経ったと思う。僕が生まれた家は貴族だったらしい。“ハンター”と呼ばれる“オーラ”で身体を強化して戦う戦士を代々輩出する家系だ。
些細なことではあるが、僕が魔力と呼んでいたものはオーラと呼ばれているらしい。まあ、そんなことはどうでもいい。
そして、僕はこの家の期待の嫡男……ではなく、優秀な姉に隠れたごくごく平凡な弟を演じていた。
陰の実力者とは、まさに肝心な場面でその力を発揮してこそ、その名にふさわしい存在と言えるのだ。
この世界についても紹介しよう。ここレムナントには、人間だけでなく獣人(ファウナスと呼ばれる)もいるらしい。そして、この世界のモンスター的存在であるグリムが人々を脅かしている。それらを倒すのが、先ほど話したハンターたちなのだ。
そして、オーラとダスト。レムナントの……というより、僕が住むミストラルの文明レベルは中世に毛が生えた感じだ。石炭とか石油、電気みたいなものは存在していないのだが、ダストのお陰でかなり便利な暮らしが出来ているのだ。あくまで、ミストラルがそうだってだけで、ヴェイルとかアトラスとかいう国はもっと文明が進んでいるらしい。
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――話を戻そう。陰の実力者になるためには戦闘経験は不可欠だ。
だが、日中は貴族としての勉強やモブAになりきるための付き合いやらで自由な時間は決して多くない。そういうわけで修行は自然と夜遅く皆が寝静まってから行うことになる。当然睡眠時間を削っているわけだが、僕はオーラによる超回復と瞑想を組み合わせた独自の睡眠法により超ショートスリーパー化しているため全然問題ないのだ。
最近、近くの廃村にならず者が住みついたらしい。調べてみると、それなりの規模の盗賊団がいた。試し斬りにはちょうどいいだろう。
山賊は見かけたらちょくちょく斬っているけど、盗賊団レベルにもなると年に一度の一大イベントだ。もっと治安が悪くなって山賊が蔓延る世の中になればいいのに……
悪人は私刑、この世界の田舎では割とまかり通っている。裁く人なんて都会にしかいないからね。だから僕が裁いてあげよう、というわけだ。
そして本日は最近試している新兵器の記念すべき実戦投入である。その名もグリムボディスーツ。 説明しよう、グリムボディスーツとは――
この世界にはオーラがある。人はそれを使って身体や武器を強化して戦う。だが、オーラを扱う際には必ずロスが生じる。例えば普通の鉄の剣にオーラを100流しても、実際に伝わるのはせいぜい10程度なのだ。
そこで僕はグリムに目をつけた。元が液体でありながら頑丈だから、自在に形を変えられる武器になると思ったのだ。だが、開発を進める中でいくつかの問題が浮かび上がった。
一つ目はグリムにオーラを送ろうとしても、逆に排出しようとしてくることだ。原因は分からないが、グリムにはオーラが無いみたいなのでオーラを拒絶するようにできているのだろうか。そしてもう一つ、グリムは倒してしまうと霧散してしまうということだ。だから、某狩りゲーみたいにモンスターの身体を使って武器を、なんてことができないのだ。
色々試していた結果、僕は一つの気づきを得た。別にグリム100%じゃなくてもいいんじゃないか、ということだ。まず、試しにオーラ伝導率の高いダストを組み込んでみることにした。
そうして修行と試行錯誤を重ねた結果、僕はグラビティダストと液状化したグリムを6:4で混ぜるという黄金比に辿り着き、グリムジェルを発明。そして、ついに自在に変形する装備、グリムボディースーツやグリムソードを開発することに成功したのだ。
現在、僕はグリムジェルを使ったブラックのボディスーツを着用している。グラビティダストを使っているのもあってか、鎧と違って軽く音も鳴らず快適だ。さらに身体の動きを補助してくれる。勿論防御力も折り紙付きだ。
ゆくゆくはもっと陰の実力者に相応しいデザインを考えてみてもいいかもしれない。
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そんなわけで廃村に到着した。深夜だというのに明かりがついている。どうやら商隊の襲撃に成功して宴会をしているらしい。
盗賊なんてみんな計画性がないから、奪ったものはすぐに使い果たしてしまう。だから襲撃の直後くらいしか、まともな物を持っていない。盗賊のモノは僕のモノ、こうやって将来、陰の実力者になるための資産が増えるのだ。
僕はテンションマックスで宴会に飛び込んだ。不意打ちはしない、練習にならないからね。
「ヒャッハー!!物資置いてけー!!」
「なっ、なんだ!?このガキ……!!」
「物資置いてけつってんだろ!!」
僕をガキ呼ばわりした男を蹴り飛ばすと、ようやく盗賊達も武器を手に取った。
「死ねやクソガキッ!!」
そう言って盗賊は僕に斧を叩きつけてくる。だが、この程度じゃグリムボディスーツの防御力を上回ることはない。
「おらぁ!」
僕は斧を叩きつけてきた盗賊の首を軽く斬り飛ばす。もちろん武器もグリム製、必要な時だけ取り出せる優れものだ。さらにこのスライムソードにはまだまだ便利機能がある。
便利機能その1は伸縮自在なことだ。
「おらおらおらおらおらぁ!!!」
僕はグリムソードを伸ばして周囲のモブ盗賊を一掃する。ムチのようにしなやかに伸びながらも、切れ味はまさに剣そのもの。実戦で使うのは初めてで少し不安だったけど、これなら十分に実用できる。
「おらおらおらぁぁぁ……あれ?」
調子に乗って斬りまくっていたら随分と静かになっていた。後一人しかいなくね?
「貴様何者だ……?」
「仕方ないなぁ、便利機能その2は君で試そうかな」
「何を言っている?」
「頑張れば2分くらい持ちそうだから、頑張ってね?」
そう言って僕は最後に残った仮面の女に斬りかかろうとしたのだが――
「……あれ?いなくなっちゃった……」
どうやら、仲間が全滅したことに警戒を覚えたのか尻尾を撒いて逃げたようだ。
「オーラの残穢も残ってないし、多分だけど転移系の能力かな?」
その2を試せなかったのは残念だったけど、物資は残っているみたいだし……まあいいか。
辺りに転がる盗賊の死体を横目に僕は戦利品を漁る。
「美術品と食品はパス、現金宝石貴金属カモン」
僕はまずまずの戦利品をゲットした。現金換算で400万リエンぐらいかな。リエンというのはこの世界の通貨単位のことだ。これが全て陰の実力者の活動資金となるのだ。
戦利品を持って帰ろうとした時、その視線の先に檻のようなものを見つけた。
「奴隷かな? 捌けないからパスだけどさ……」
もしかしたら中にいいものが入っているかもしれないので、僕は念のため檻の覆いを剥ぎ取った。
「こ、これは……!!」
中にはボロボロで衰弱しきっている少女がいた。服がそれなりにいい物だったので、恐らく身代金目当てだったのだろう。それにしても……
「凄いオーラの量だ……」
これだけのオーラを持ちながら、こんなにボロボロになっているということは、彼女はオーラを扱うためのゲートが閉じている状態なのだろう。もし僕のオーラで彼女のゲートを開くことができたなら、僕はさらに精密なオーラ操作を手に入れ、より陰の実力者に近づけるはずだ。
「うん、これは使える……!!」
僕は少女に手を伸ばし、オーラを流し込んだ。
盗賊というだけでシド君の犠牲になったブランウェン盗賊団に黙祷……
次回からはRWBY要素をどんどん出せるはず……?
脹相転生inキヴォトスは来週から通常投稿で再開します。
脹相転生inキヴォトスはこちらから
https://syosetu.org/novel/400708/