ただ帰りたい人生だった 作:因みに私は独身です
お願いします。
「今日も定時上がりは出来ず...か」
俺はしがない平凡サラリーマン、只今の時刻は23時である。
「さっさと帰ろう...」
俺の職場は家と結構近い、そこが数少ない利点だろう。
「ああぁぁぁ疲れた...今日もアレやるか」
俺はため息をつきながらスマホのとあるアプリを開く。
『ブルーアーカイブ』
そう、5周年を迎えた人気ソシャゲ、ブルアカことブルーアーカイブである。
タイトルの掛け声はランダムで数多くのキャラから選ばれるのだが、俺の推し生徒が掛け声を担当してくれた、運が良い。
「さて...ケイと臨戦アリスのガチャもミッドナイトパーティーも終わったし...新しいガチャでも引くか」
ちょうどガチャ石が10連分溜まっていたので運試しに引いてみることにした。
「...くっそ!青かよ!」
敗北である。
「ん?しょ、昇格ゥゥゥ!?!?」
しかし俺は大抵のソシャゲにはある演出、昇格演出を引いた。
「さあ誰だ?...あ"あ"あ"あ"キサキィィィィ!?!?!?!?!?」
先述した推し生徒が来てくれた、名を竜華キサキと言う、かわいいよ。
「まぁ持ってるけど、まぁ持ってるけど!運命だなこれ」
そうして運命を感じられた俺は明日の地獄に備えさっさと寝る支度をした。
「おやすみキサキ、愛してんで」
『次のニュースです。英雄と讃えられたシャーレの先生の補佐役、【暁海 ルイ】さんが何者かによってヘイローを破壊される事件が起こりました。
現在も回復の目処は立たないまま1ヶ月が経っています、これに対し先生からは...』
「...妾が其方を毎日見舞いに来てからもう1ヶ月が過ぎているというのか」
生命維持装置を取り付けられ、病院のベッドに横たわる少年を見つめる一人の少女。
「なに、気にすることはない、妾はいくらでも...其方が目覚めるその時まで側にいさせてほしいのじゃ」
少女は少年の手を取る。
「しかし、ヘイローが破壊されようとも生きているとは...其方の力か?それとも...」
ここ、キヴォトスの人間にはヘイローと呼ばれる物が頭上に浮かんでいる。
ヘイローは個人の命や人格に関わる極めて重要な存在であり、消失してしまえばその人物もろとも消えてしまう。
しかしヘイローは観測できる概念のような存在であり干渉は不可能である。しかし少年はヘイローを破壊されてしまった。
だが彼は生命維持装置ありとはいえ生きている、怖いね。
「門主様、面会時間の終了が近くなっております」
「...もう少しだけ居させてくれ」
「しかし」
「いつ彼が死ぬのか分からない、せめて最後の時くらいは妾が見届けたいのじゃ!」
「...畏まりました」
本来であれば如何なる人物もこの部屋には入れない、あの先生ですら1度きり入れたくらいだ。
しかし彼女は少年の残した言葉、そして彼女自身の権力によって許されている。
「...出来れば最後など、見届けたくはない」
「その目を開けてはくれぬか、ルイ」
彼女が少年の名前を呼ぶ。
その刹那。
「ん?」
彼が目を開けた。
「...は?」
少女は目の前の光景に絶句するしかなかった。
「知らない天井だ...あれ...キサキィィィィ!?!?!?!?!?」
「...」
少女の目から涙が溢れる、しかし少年は戸惑っているままだ。
「な、なんで泣いてるの!?ごめんよキサキ!許してくれ!何でもするからぁ〜!」
「俺が、殺された?」
「うむ...何者かによって其方はヘイローを破壊されたのだ、何か覚えていないか?」
いや...転生したことも、この肉体の持ち主が暗殺されかけていたことも、目の前に推しが居ることも情報量が多すぎて理解が出来ない。
「犯人が分かり次第...妾がそのゴミをさっさと始末してくれよう」
「ちょ!ストップ!一旦俺の話を聞いてくれ!」
「記憶喪失じゃと?」
「そうなんだ、何故か今までの記憶が全て消えていて...本当だったら君の名前も存在も忘れているのが定番だろうけど...」
「其方は妾の名前を呼んでいたからの...じゃが、妾との関係性は思い出せんのじゃろ?」
「ああ、そうだね...」
転生前この世界がゲームでそれやってたから知ってるとか転生したとか言えね〜
「妾が教えよう、其方と妾は運命を約束された婚約者なのじゃ」
「...????????????」
俺の顔には困惑と驚愕、あと幸福が混ざりあった訳の分からない顔面になってることだろう。
だってキサキと結婚出来るんだぜ?幸せだろ。
「冗談じゃ、変な事を言ってすまんの」
「は、はい...」
「じゃが...本当に結婚しても良いのじゃぞ?」
キサキが小声で何か言っていた、しかし
「え?なんて?」
「...忘れるのじゃ」
う〜んこれは反応的に...
「いや別に、俺はキサキ...竜華さんとなら結婚してもいいですけど」
「...///!?冗談はやめるのじゃ、変に期待してしまうじゃろ」
ごめん。
「あと名前でも構わないぞ、むしろそちらの方が妾的には良い」
「あ、分かりましたキサキさん」
「さんは要らない」
「キサキ」
「宜しい」
なんだこれ。
「話が脱線したが...其方が回復したとなると、キヴォトス中が大騒ぎになるじゃろうな」
「えなんで?」
「其方、キヴォトスの英雄じゃからな」
「...えぇ」
やっぱり前の持ち主はいい意味でイカれてたんだな...
「取り敢えず先生に連絡じゃ、一応先生の補佐だったからの」
「はぇ〜先生の補佐...ね」
凄すぎだろ。
「というか、先生も覚えておるのじゃな」
「まぁ、大体の生徒は名前くらいならまだ...」
ゲームで覚えてますからね...
「...妾だけではなかったのか」
え?なんて?
次回は先生との会合とかそこらへんですかね、お疲れ様でした。
キサキかわいい。
追記
最初は名前を隠して伏線にでもしようと思ったんですが圧倒的に書きづらくなるので名前を主人公に追加します。
でも極力名前は言わせないように頑張ります。